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報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
第1章 邪神
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異世界の扉

登場人物

昭公しょうこう…………国の第二十五代君主。三公により魯国を追放される。

季平きへい…………魯国の司徒しと。三公のひとり。三桓氏さんかんしと呼ばれる。

叔孫豹じょそんひょう…………魯国の司馬しば。三公のひとり。三桓氏と呼ばれる。

孟献もうけん…………魯国の司空しくう。三公のひとり。三桓氏と呼ばれる。

王子喬おうしきょう…………冥界より派遣された方士。

蚩尤しゆう…………邪神。

陽虎ようこ…………三公に仕える魯国の若き重臣。

裴巽はいそん…………魯国の若き将校。あやかしの飛廉ひれんしもべに持つ。

蒼頡そうけつ…………妖し。剣の手練者。蚩尤に仕える九黎のひとり。

赫胥かくしょ…………妖し。短槍の手練者。蚩尤に仕える九黎のひとり。


かん…………狸に似た隻眼せきがんの妖し。

鐸飛たくひ…………怪鳥の妖し。人面で一足。

飛廉ひれん…………風を自在に操る妖し。

夸父こほ…………巨人の妖し。性質たちは狂暴。隻眼で緑の皮膚。

 合掌がっしょうを解いた蚩尤しゆうは、再び頬杖を突いて蒼頡そうけつ赫胥かくしょを交互に見遣みやった。

おびえるのが仕事のようだ。季平きへい叔孫豹じょそんひょう孟献もうけん――。高位の官職に就く者だそうだ」

 蚩尤は、眼前に平伏す三公をあごで指すと続けた。

「そこに立ち尽くした反骨の相の主は、陽虎ようこ――。そして、向こうで伸びている兵卒が裴巽はいそんだ」

 蚩尤は、気を失い仰向けに寝そべる裴巽に六つの眼を向けた。

「余興で放った飛廉ひれんしもべにした。ゆえに、人を統べる将軍に就けた」

「ほう」

 感嘆の声を上げた蒼頡が、裴巽に視線をった。

 壁に背をもたせ掛けたままの赫胥も、興味の眼を裴巽に向けていた。

「覚えておくといい。どれも好きに使ってやれ」

「はっ」

「…………」

 云った蚩尤に、蒼頡は拱手きょうしゅを、赫胥はうなずきを返した。

「……な、何てことだ……」

 愕然がくぜんとなった陽虎は、小さな声が漏れ出た。

 得体の知れない者の出現により、世が一瞬で激変したようだった。屍体したいが転がる鮮血に塗れた玉座の間を夢と信じたかった。それは、異世界にでも迷い込んだような感覚だった。

「それにしても不味まずいな」

 顔をしかめた蚩尤が呟いた。まるで夸父にほふられた民の魂で腹を満たしているようだった。

「さあ、民草どもに新たな王の姿を見せねばな。季平、叔孫豹、孟献、陽虎。貴様らも付いて来い」

「――――⁉」

 蚩尤はおもむろに玉座から立つと、屍骸しがいを踏み越え玉座の間を後にした。

 三公と陽虎は、青褪あおざめた顔でずと蚩尤に従うほかなかった。

 その様子を眼に、北叟笑ほくそえんだ蒼頡が続いた。

 表情ひとつ変えず、壁から背を離した赫胥も後続した。

 風が血生臭い匂いを運んできた。

 外からは、男とも女ともわからない喧噪けんそうと悲鳴が聞こえていた。


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