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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院4年生
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首都ランズでの買い物



 フローラ様の部屋、将来の私の部屋の壁紙と家具を買うため、フィロスに連れられて首都ランズに来た。ペガサスが引く馬車に乗って、空を飛んで。


ランズにある公爵家ご用達というお店に連れていかれる。


最初は、建具のお店。

広い店内には、たくさんの壁紙の見本帳と展示された家具。

あまりに多いので、どうやって決めればよいかわからなかったけれど、店員さんが、私の好みを知るためにといろいろ質問してくれて、お勧めの商品を案内してくれたので、そこからようやく選ぶことができた。


居室は窓が無いので、庭園に居るような気分になれそうな、ボタニカル柄の壁紙を選んだ。下半分に様々な色の花が咲き乱れ上半分が青空のようになっている。

逆に、寝室の壁紙は、淡く、光沢の無い銀色。白い貝殻で植物文様の花柄が浮き上がるもので、落ち着いた感じに仕上がるだろう。

書斎は唯一、窓があるから、どのような壁紙でも似合うだろうけれど、落ち着いて書き物ができるようにと薄い水色を選んだ。一色でなく、見る角度によって表情を変える。青空をみているかのような。

浴室とクローゼットルームは、思い切って可愛らしくした。アイボリーホワイト地に淡いパステルピンクの小花が散らされているもの。騒々しくなく、上品なイメージが気に入った。


家具は白と金を基調にし、椅子の座面は紺のベルベット。すべての家具に公爵家の家紋が彫り込まれる。

カーテンも椅子に合わせて、紺色。房が銀糸。

今、使っている部屋の家具が好きなのでそれを使いたいと言ってみたけれど、今の部屋もこれからずっと私の部屋だからダメだと言われた。その日の気分で部屋を使い分ければ良いらしい。

家具はこれから職人が作るため、搬入されるのは1年後だそう。

でも壁紙は在庫があるのですぐ届くと聞いた。


その後で、懐中時計を作るために宝石店へも行く。

贅を尽くした立派な個室に通され、フィロスからブラックダイヤを見せられたデザイナーは、こんな珍しい宝石を扱うことができるなんて、と狂喜し、デザイン画を次々とその場で書いてくれる。

デザインによってダイヤのカットもラウンド型か、オーバル型、ドロップ型と変わるようだ。

男性が日常使いしてもおかしくないものにしたいと相談した結果、白金に幾何学模様を彫り込み、真ん中にオーバル型のブラックダイヤを埋め込むデザインに決まった。

肖像写真は蓋の内側に焼きつけてくれるという。

写真は後日、宝石店のお抱えカメラマンが撮影に来てくれることになった。


撮影用のドレスも買わないといけない、とフィロスに言われ、ドレスメーカーにも連れていかれる。

どうせなら、フィロスとお揃いの色で揃えたいとお願いする。

「私は、黒しか持っていないのだが…。」

「では、わたくしも、黒のドレスにしたいです。」

「いや、それでは、君の美しい藍色の髪が目立たないではないか…。」

「フィロスの髪だって、黒髪で目立たないじゃありませんか。」

結局、私達のやり取りを聞きながら、必死で笑いたいのを我慢しているのが明らかだった店長から、「深紫色」の絹地を薦められ、私には大人っぽいかな…とは思ったけれど、首元に白いレースを取り入れたデザインで、2人分の服を急ぎ仕立ててもらうことになった。



 後日。

屋敷に壁紙が大量に届き、ドレスも届いた。


壁紙は、グレイスが大喜びで内装工事を引き受けてくれた。


ドレスが届いた日には、肖像写真を撮る専門のカメラマンも屋敷にやってきて、私達は新しい服を着て、屋敷の庭園…ちょうど、夏バラが咲き誇っていた…で、撮影してもらう。撮影の3日後には、懐中時計も届いた。


懐中時計の表蓋にはブラックダイヤが主張しすぎない輝きを放ち、蓋を開ければ、蓋の裏側に緊張して固い表情ながら微かに微笑んだ2人の肖像が、色鮮やかに焼きつけられていた。

裏蓋には公爵家の家紋と、その下に2人の名前のイニシャルが絡み合うようにデザインされて彫り込まれている。

そして、私は初めての自分の時計がとてもうれしくて、用も無いのに1日に何度も蓋を開け閉めして、フィロスに笑われた。




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