25話:クズと勘違い
俺はクズだ……
俺は昨日のことを思い出していた。結局流されてルーイを抱いた。これじゃ地球にいた頃と変わってないじゃないか……
――ただルーイのおかげで気持ちが楽になったのは確かだ。
「なあルーイ、責任を取るよ。俺と付き合おう」
俺の言葉を聞いてルーイは笑った。昨日の妖艶さが嘘のように明るい純粋な笑顔だ。
「嬉しいけど、大丈夫です。まだ私のこと好きか分からないって言ってたじゃないですか……クオンが私のことを本気で好きになってからでいいですよ……それに……」
ルーイが顔を俯かせる。何かあったのだろうか? 体の相性が悪かったとか?
「何かあったのか?」
「はい……実は昨日言ってなかったけど私は妊娠が出来ないんです」
ルーイが深刻そうに言った。
俺はクズだ……何が体の相性が悪かったのか、だよ。そんなふざけたこと言ってるからダメなんだよ。
「ごめん、嫌なこと聞いちゃったな」
「いいんです。女性の幸せはそれだけじゃ無いことに気付けましたし……」
ルーイは俺にもたれかかってくる。
こんな調子じゃ昼間からまた始めちゃいそうだ。
……あれ、昼間? やばい! もうこんな時間だ。急いで作戦本部に行かなければならない。
「ルーイ、俺は作戦本部に行ってくるから、周りの軍人の指示に従って行動してくれ」
俺は服を着て急いで、作戦本部へ向かった。
――――
「ごめんなさい! 遅れました」
俺が作戦本部に着くと、もうそこには佐官以上の軍人たちが全員集まっていた。
「英雄色好むと言うもんね」
ベスが茶化してくる。何故知っているのだろうか、でも正直言ってありがたい、俺にこんな雰囲気は耐えられそうにない。
「クオン少佐、作戦はこれからなので大丈夫です。ただ緊張感は持ってください」
セレスが俺に言う。全くもってその通りだ。
「申し訳ありません」
俺が謝る時も、メラレーン戦線の総大将でもあるクリスはずっと笑っていた。
「ハハハ、面白いな、純白とは何故か気が合いそうだ」
「クリス中将、真面目に行きますよ」
セレスが言うと、作戦本部は静まり返り真面目な雰囲気になった。
「昨日、話した通り、少数精鋭の私たちと地の魔法師が初めにメラレーンの臍に登って行きます。そして頂上で地魔法によって、簡易的な防壁を作り、その間は私たちは敵の攻撃から魔法師たちを守ります。以上、皆さんにやってほしいのはここまでです」
俺はうんうんと頷いた。でも、それ以降はどうするのだろうか?
俺が疑問に思っているとセレス中将が話を続ける。
「……それ以降の作戦は、情報が漏れると失敗する可能性があるのでみなさんには伝えません、私たちに任せてください」
私たちとは誰だろう……嫌な予感がする
「ところでエリザベス中将、フェール大将はなんて言ってましたか?」
「了解した! って、でもお嬢は今、機嫌悪いからよくわからない」
セレスがベスの回答を聞いて、ため息を吐いた。
「はぁ、何故機嫌が悪いのですか……まあいいでしょう。ではこの作戦で行きます。メラレーンの臍を取れたら、私とクオン少佐とエリザベス中将で指示を出しますので、この3人に従ってください。あなた方の中には、クオン少佐を馬鹿にしている人もいるでしょうが、これは王国の命運のかかった戦いです。くだらないことはしないでください」
おいおい、臍を取った後の話を聞いてないぞ?
俺が疑問に思っていると、クリスが質問をする。
「えっと、臍を取った後の作戦は教えてくれないのか?」
セレスはクリスを睨みつける
「言ったでしょう! 情報が漏れたらいけないから教えないと、それにあなたに教えたところで指示を出さないのだから意味がありませんよね?」
クリスがとても哀れに見えた。
なんでこの人が総大将なのだろうか、俺が言えることじゃ無いけどな……それにこの雰囲気では、もう作戦を教えてくださいなどと言える度胸は俺にはない。
だが作戦を聞かなくても、多分なんとかなるだろう。要するに、上に要塞を作ってそこから攻勢を始めるんだろ? きっとそうだよな?
「では各自準備をお願いします! 精鋭部隊に選ばれている方は日が落ちてきたらメラレーンの臍を取りに行きます。その他の方々は後ろから付いて来てください」
メラレーン戦線の最大の戦いが始まろうとしていた。
「では王国に絶対の勝利を!」
「「「「勝利を!!!!」」」」
作戦本部に声が響き渡った。
「やっぱり、俺じゃなくてセレス少将が総大将でいいよな?」
クリスが呟く。
何故かその姿を見て、とても親近感が湧いた。




