シレジエン会戦
ちょっとラブコメ?
日中にも1回更新しています。
「知らない天井だ…」
「レイル殿、お目覚めか?」
「ああ、スカサハ。おはよう…って?!」
「レイル殿は魔力切れを起こして倒れられたのだ」
「ああ、わかってる。そこは自覚がある。けどね、一つ聞きたい」
「ん?なにかな?」
「なんで同じベッドで、しかも裸なのかな?」
「それを聞くか? 昨日はあんなに情熱的だったのに…」
「主殿は体力と魔力を使い果たしてたから、温めるのと魔力を補充する必要があったの」
ベッドの下からシリウスが顔を出して告げた。ってかいたのか…
「ああ、理解した。まあ、スカサハ、助けてくれたのは感謝するけどね…っておい」
「よかった。目覚めてよかった」
ぽろぽろと涙を流してスカサハがレイルにしがみついてくる。魔力を使いすぎると命に関わることもあり、未熟な魔法使いが命を落とす事故はよくあることだった。だからスカサハの言っていることは少しも大げさではない。
レイルは思わずスカサハを抱きしめた。目を閉じたままスカサハが顔をレイルに向ける。二人の顔の距離が徐々に縮まり、それが0になろうとする寸前ドアがノックされた。
「レイル、あ、目が覚めたのねって…お邪魔みたいねー」
「あ、待って姉さん、大丈夫、大丈夫だから!?」
「あ、そうなの? ひとまず水でも浴びて服を着替えなさいね。あと、邪魔してごめんねー」
レイルがふと隣を見ると、スカサハは真っ赤な顔をして撃沈していた。シリウスが肩をすくめやれやれとつぶやいている。ある意味いつもの光景だった。
「皆すまない、心配をかけた」
「いえいえ、シリウス殿という頼もしい味方ができたのですから」
「みなさん、よろしく…」
ペコリとお辞儀をするシリウス。なんか幹部クラスが妙にデレデレしている。まあ、基本的に受け入れられているようだからいいか。
「さて、物資の補給は終わっているか?」
「問題ありません。いつでも行けます」
「では出撃する。目的地はシレジエン!」
レイル軍は進発し、一路シレジエンへと向かった。途中、小部隊の奇襲を受けたが、被害なく撃退に成功し、遅延戦闘にもなっていない状態だった。
順調に行軍し、シレジエンの支配圏にはいる。シレジエン西の平原に敵の大部隊が布陣していると斥候から報告が入った。レイル軍10000と、オズワルド軍12000による会戦がここに繰り広げられることとなった。
起伏のない平原が続いており、地形としてはほぼ完全に変化がない。伏兵を仕掛けたりといった策をめぐらす余地がないともいえる。
両軍は横陣を敷いた。街道の上で向かい合っている格好なので陣列の幅は同程度だ。しかし敵軍のほうが数が多い分陣の厚みは上である。両軍はそのまま前進してぶつかり合った。
戦いは熾烈を極めたが、数に劣るレイル軍は押されることはなく、場所によっては相手を圧倒することもあった。敵は予備兵力を中央部に投入し、徐々に押し込んでくる。陣列は中央が押し込まれ、両翼が前進する。Vの字を描いたように変形していった。中央突破を狙い、それが果たされそうに見えた。
戦況の変化は劇的だった。敵の前衛が攻勢限界に達した頃合いでレイルが騎兵を投入し、両翼から戦線を押し上げたのである。後方から騎兵が回り込む形となり退路を断たれると思い込ませ、裏崩れを誘発した。
そしてとどめとなる一撃、セタンタ率いる親衛隊の投入であった。最前線の指揮を執っていた敵将が一撃で討たれ、前衛が一気に崩壊した。騎兵はリンとアレスが完ぺきな指揮を執り、敵は通過させてから最後尾に騎射突撃を仕掛け、一方的に被害を与えた。
シレジエンから退却支援のための部隊が陣列を敷いて防御態勢を整えていたが、そこにも騎射突撃を仕掛ける。後方から来た本隊の支援射撃を得て、円を描くように外周を削り取る動きから、一気に突破する直線的な動きへと変化した。本隊は取り逃がしたが、殿軍には大きな損害を与え、敵兵力を大きく削ることに成功したのである。
城外の戦い、圧倒的強さでシレジエン軍を蹴散らすレイル軍を見て、城内は動揺した。もともとシレジエン公国があり、オズワルドの衛星国であったのである。オズワルド軍の入城を締め出し、単独でレイル軍に降伏を決めてしまった。
レイルはシレジエンの民衆から歓呼の声を受け、入城を果たしたのである。オズワルドからの解放者として。
シレジエンを平定したあと、兵力と物資の補充を行うレイル。そこに北からの来訪者が現れた。




