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皇帝に成りたくない男の不本意奴隷ハーレム  作者: サイリウム


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23/25

23:襲来



今日はダンジョン攻略から離れ、ゆっくりとした時間を過ごせる休日。


こんな日こそ積んでしまっている本や資料を紐解いたり、リシエラさんから見た過去の記憶を文字に残したりと、文化的な活動に励みたいものだが……。ウチにはもう一人、ライカという奴隷。もとい従業員がいる。


体を動かすことを好む彼女からすれば、そんな退屈な時間は堪えがたいようで。


朝食を食べ終わったと思えば、木剣などが入った箱と共に私へと突撃。とりあえず彼女の話を聞いているうちに、何故か私も一緒に鍛練することになっていた。いつも通りリシエラさんがニヤニヤしていたので、彼女の入知恵であることは解ったが……。



(まぁ自身としても体が鈍るのは困るし、やりたいこともあった。3人一緒に庭で鍛錬というのも悪い話じゃないよね。) 



幸いなことに、気候は晴れ。


優しく照らしてくれる太陽と、汗をすぐに乾かしてくれるような心地よい風。前世の日本であればこの時期は湿気に酷く悩まされたものだが……、この異世界は別。住んでいる地域が比較的乾燥的なこともあって、かなりカラっとした気候となっている。まぁこれだけ聞けば水の問題などが思い当たるが、その辺は便利な魔法。もしくは魔道具で何とかすることが出来る。


まぁ何にせよ、正に鍛練日和と言えるような良い天気なのだ。


ライカの言葉に頷き、3人一緒に家の庭へ。相変わらず年齢制限がかかりそうなことを言い始めたリシエラさんをいつも通り流し、健全な準備運動をした後。木剣を使った訓練となったのだが……。



「むぅ???」


「……これ何度目でしたっけ?」


「ちょうど15回目くらいね。……頭の回転自体は速い方だと思うんだけど。」



3人そろって、頭を捻る。


今日の目標は、“より良い連携”。さっきやりたいと言っていたのが、コレだ。


つい先日に攻略したボス。ダンジョン10階層のオーガ戦にて浮き上がった問題の対策と、それに合わせた新しい戦いの模索。自身としては結構な急務だと考えている。


確かにライカの力量を思えば次の区画である11~20階層でも、そう苦戦することは無いだろう。しかし戦い方ってモノはそう簡単に変えられるモノではない。余裕があるうちに色々と模索して、次のボス戦や、今後苦戦するだろう相手に備えていこうってわけだ。


それに……。



(オーガ戦自体も、満点ではない。怪我無く勝てたけど、ライカは無茶な攻撃をして歯を痛めてしまったし、私も『司令塔』として成果を残せたとは言い難い。)



折角リシエラさんがその経験を持って私達に指導しようと言ってくれているのだ。


その言葉に甘えながら、より良い“連携”。私が『鑑定』をもって相手の動きを察知し、的確な指示を飛ばし、ライカがそれをなぞる様に動く。


その練習をしていたのだが……。



「?????」


「数字による即座の情報共有、出来る限り簡素にしたんですけど。」


「うん、まぁ良く出来てると思うわ? でも動く本人が無理となると……。うん、無理ね!」



動きと、それに割り与えた数字。


その組み合わせが全く覚えられずに頭を抱えているライカに、普通にもう覚えちゃったせいで彼女を置いて行ってしまった私達。


……まぁ、はい。最初に頓挫しちゃった感じですね。



(でもこれ以上は、なぁ?)



前回のオーガ戦では、自身が『鑑定』を使って敵の動き。筋肉の動きなどを見て推測することで、ライカに指示を飛ばしていた。『左下から回り込んで』みたいな感じで。ただこれは結構色々な問題があって……。戦闘終了後にリシエラさんから苦言を呈された形になる。


まず1つ目に、ライカの負担が多くなってしまう事。


前回までは大まかな動きを私が示し、その細部はライカが現場判断で動く、という形だったのだが……。これでは今後、問題が起きてしまう。



(ライカの気質的に、何かを考えながら戦うのは向いてない。つまり現場判断に任せすぎると、パンクして動きが鈍る。)



リシエラさんとの鍛錬でもその片鱗は見えていたのだが、指南役である彼女が搦手を多用し出すと、ライカはすぐに対応しきれなくなり吹き飛ばされてしまう、というのが何度かあった。


つまり前回のオーガのような単調なパワータイプであれば“格上”でも何とかなるかもしれないが、トリッキーな動きをしてくる強敵となると、勝つのが難しくなってくるというわけだ。これを何とかするために、外部からより詳細な補助をしようってわけだね。



「む! アタシ1人でも出来るぞ!」


「無茶言っちゃダメよライカちゃん? 『分身』使ってると共有してる情報で一杯一杯になって、余裕なくなるのは事実でしょうに。単純な戦法ならまだしも、高度な作戦行動は出来ないでしょう?」


「まぁそれは、そうだけど……。」



リシエラさんの言葉に渋々頷くライカを見る限り、やはり『分身』が送って来る情報というのは単に便利というわけでは無いらしい。


意識や感覚、やろうと思えば視界共有も出来るスキル、その有用さはこれまで彼女が示してきてくれたことだが……。その強さがデメリットにもなっている。先のオーガ戦でも先後まで『分身』を使わなかったのは、切り札としての使うつもりだったというのもあるようだが、そう言った“負荷”の問題もあるのだろう。


これを考えると、彼女に現場判断を任せる今のやり方はあまり好ましくない。



(つまり、可能なら1から10まで私が指示を出した方がいい。『鑑定』を使える以上、そっちの方が正確で安全になる。)



ライカは現在スピードとパワーを目一杯使った一撃離脱型の戦い方を構築しているが、『分身』を考慮すれば“このまま”の方がいいと、指南役のリシエラさんは判断している。


どんどんと数を増やせる以上、『一撃離脱』が『絶え間ない連撃』になる日も近い。剣術の向上自体は必須だが、小手先のテクニックを学ぶよりは身体能力や基礎を高めて速度と力を上げていったほうが良い、ということだ。



つまり。そんな彼女を十全に扱えるだけの指揮を、私が取る必要がある。



まぁ後ろでずっと見ているだけなのは、非常に辛い。部下であるライカやリシエラさんの代わりに戦うことは出来ないが、その手助けぐらいはしたいところ。これ以上引け目や罪悪感を感じないためにも、求められている『司令塔』としての役割をぐらいは熟しておきたい。


つまり1つ目の問題の改善策としては、分業。自身の『鑑定』を有効活用して小難しいことに対応している間に、彼女が全力で攻撃を行う。



(この方向性で、より深めていくってわけだね。)



んで2つ目の問題。戦い方を変えるべきって理由が……。


指示が“そのまま”過ぎるってこと。


現在私達はダンジョンで魔物退治しか行っていないが、今後もしかすると“対人”の戦闘が必要になって来るかもしれない。ダンジョンでも、それ以外でもだ。私としてはライカにもリシエラさんにも人殺しなんかしてほしくないが、自衛のことは常に考えるべきだ。



(11~20階層には、この迷宮都市の“稼ぎ場”が存在している。つまり人同士のトラブルが増えるし、迷宮内で活動する盗賊みたいなのも出てくる。そして、あまり考えたくないけど……。ダンジョンの外、戦線に放り込まれる可能性も。)



まぁそんな“人”相手の時。言葉によるそのままの指示は結構問題なのだ。


魔物相手であれば言葉が通じないため問題は無いが、相手が人となるとこちらの作戦が筒抜けになってしまう。幾ら『鑑定』で相手の動きや思考を覗けても、こっちのやり取り合わせて変えられてしまえば意味が無いってワケ。



(とまぁそんなわけで……。パーティ内だけで情報共有できる何か。“暗号”みたいなのが必要だったわけだ。)



当初はこの指摘をしてくれたリシエラさん、彼女が過去に使っていたという暗号をそのまま使わせてもらおうかと思っていたのだが……。少々複雑すぎた上に、800年以上前のエルフ言語なせいで私もライカも解読が難しいという欠点があった。


そして何より……。



『え? バレないかって? あはー! 大丈夫よ! なにせコレ使ってた私の故郷、森ごと燃やされて滅んでるし! 結構経ったから同郷も全員死んでるだろうし、私以外解んないわ! 800年前だから古語だし、暗号としては最適じゃない?』


『……あ、あの。』


『先輩、ソレご主人が答えられん奴だぞ。』


『あら、ブラックが過ぎたかしら? 確かに人間族が燃やした奴だけど、マジで気にしてないし、ジョークだったんだけど……。』


『おぅふ』


『……わざとか?』



とまぁドえらいものをぶん投げられたのだ。


暗号として使えなくても800年前のエルフの文化を示す資料になるかなぁ、なんて考えワクワクしてた気持ち諸共、色々吹き飛んでしまった。本人は気にしてないとか言ってるけど絶対嘘だよソレは! いつも通りニコニコして『ジョークよジョーク!』って言ってるけど、むしろ怖いよ! その笑みの中に何隠してるのさッ!?



(で、でもまぁ別に暗号として使っていいのはマジだったみたい。ケドまぁ色々怖くて使えそうに無かったので、馴染みのある数字だけでやり取りできるものを作ってみたんだけど……。)



うん、ライカが無理だったんだよね。



「う、うん? 2、0、12? な、何をどうすれば?」


「2時の方向に進んで、0なので後ろに振り返り、12時の方向。正面に攻撃、という感じなのですが……。」


「……そう言えばライカちゃんって“時計”使ったこと無かったわね。確かにそう考えたら無理かも。」


「あぁ、なるほど。こちらの配慮不足でしたか……。」


「と、トケイ?」



この世界でも時計は魔道具の1つとして存在しており、24時間制を採用している。


けれど前世の軍隊のように『〇時の方向!』みたいなやり取り、クロックポジションなる概念をを聞いたことが無かったので、秘匿性もあり解りやすいモノかと思っていたのだが……。どうやら違ったようで。


リシエラさんによるとライカの故郷は閉じた一族だった可能性が高いらしく、人間族が作った魔道具。つまり時計とは縁遠い環境だったという。そしてその後の奴隷生活でも、濃度が時計を見る機会などなく、奴隷商館でもない。馴染みが無くて当たり前、といった感じの様だ。



「……とりあえず、ライカとリシエラさんの分の時計。用意しますね?」


「あらプレゼント? 素敵ねエド様♡ ほらライカちゃんも、一緒にお礼にぎゅーってしましょ?」


「お、おう? ……おう!!!」


「お礼は良いですが抱き着かないでください。……いやほんとにやめて?」



未だに頭をひねっていたがライカだったが、おそらく此方を揶揄えると思ったのだろう。少々悪い笑みを浮かべながら、リシエラさんと一緒に抱き着こうとして来る。


2人がかりで来られたら物理的に抵抗できないし、勘弁してくださいよホント。



(……リシエラさんの負担が増えるけど、ちょっとお願いした方が良いな。)



エルフであり長年知識奴隷として生きたリシエラさんの知識量は自身を軽く凌駕している。この帝国における常識や文化においても、だ。けれど“戦闘奴隷”として扱われていただろうライカには少々偏りがあるようで……。今回の時計も、その一端なのだろう。


自身としても、ライカがそれまでの教育不足で何かしらの不利益を被るのは避けたいところ。けれど自身では色々と限界があるし、聞き出そうとすればライカに恥をかかせてしまうかもしれない。その穴埋めは前々から付き合いのあるリシエラさん、母親役の彼女に任せた方が良いだろう。



「な、なので何か必要なものがあれば言ってください。用意するので。」


「そう? ならお言葉に甘えちゃいましょうか。あぁでも、ジャックの所のカリキュラムは大体覚えてるから、今日の夜ぐらいに紙に纏めて渡せると思うわ。あそこ比較的マシだったけど、戦闘奴隷は安く済ませちゃうからねぇ。解らないことが多くても仕方ないわ。ま、お姉さんに任せなさい♡」


「そ、それは何より……。あ、あの。お2人は何をしているので?」


「見て解らない? 胸で腕を挟んでるの。お礼よお礼。……あ、ライカちゃん、こうよこう。」


「こうか?」



自身の左耳に息を当てる様に、ライカに指示を出すリシエラさん。


まぁはい。左腕をリシエラさんにガッチリ拘束されて、ライカに右腕をたどたどしく拘束されてるわけですね。胸で。うん。


な、なんか気が付いたら、両側をロックされてるんですよね。さっきまで避けてたはずなのに、ちょっと思考を回した次の瞬間、確保されてるんですよね。




(…………は???)




あ、あの。今私達ね、庭先にいるんですよ。外なんですよ。


ちょ、ちょっと人の目というか。護衛さんたちの目があるのでマジでやめて欲しいというか……!!!



「あら? じゃあお家の中ならいいのかしら。もっとこう、濃厚で、ねっとりして、沢山お互いを感じられるような……。ふふ、何されちゃうのかしら、ねぇ?」


「せ、先輩! あ、アタシが先だぞ!」


「えぇ、勿論。……でも次は、私。ね?」



そう言いながら私の服の中に手を伸ばすリシエラさんと、胸をさっきよりも強く押し付けるライカ。


彼女がいる右側はかなり強烈に押し込まれているので動かしようが無いが、もう片方。リシエラさんの左側はかなり緩く拘束されている。一見すれば逃げ出せない様な強固な拘束のようだが、籠められている力はかなり弱め。


つまりもし跳ね避けようとすれば、即座に出来る様な力加減。


そして左側の拘束を解いてしまえば、右側も何となる。……つまり、“逃げ道”は残っている。


だが、脳の奥がチリチリと焼ける感覚。自身の中の熱、欲がそれを拒否しようとしている。弾け飛びそうな理性が泣き叫びながら『生き残りたかったら逃げろ』と叫んでいるが、これまで抑え込んできた“ソレ”が逃走を許さない。


に、逃げ道はあるのにッ!


こ、これちょっと本当にヤバい奴ッ!


あ、あの! 護衛さんッ! マジで! マジで助けて! ヘルプ!



「ふふふ。主人が本番で恥をかかぬよう、お世話するのも奴隷の役目なのよ、エド様? でも今日ぐらいはなにも気にせず、お互いの愛をぶつけ合うってのもいいんじゃないかしら? それに……。ライカちゃんにも“ごほうび”。あげないと……ね?」


「ご、ご主人。あ、アタシも……。」



ライカが何か、自身の耳元で口にしようとした瞬間……。その鼻が動く。


即座に彼女が背後を向き、その直後にリシエラさんも同じ方向へと視線を向けるが……。その雰囲気の変化からして、乱入者。死ぬほどありがたい『この雰囲気を壊してくれる誰か』が来てくれたのだろう。


なけなしの理性を振り絞り、リシエラさんの左側の拘束を解除。無理矢理ライカ側の拘束も解除することで、何とか逃げ延びることに成功する。


だ、誰が来たかは知らないけど。今はちょっとまず呼吸整えないと色々マズイ……!



「……アレ誰? メイド服?」


「護衛の人ではないわね。ちょっと雰囲気が違うというか……。ッ!?!?!?」




何故か声にならない叫びのようなものをあげ、ライカを抱えながら私の前方。より“奥”に飛び去るリシエラさん。


何事かと思えば、即座にその場に平伏し、共に頭を地面に擦り付けている。ライカは何が起きているのか理解できていないようだが、リシエラさんの豹変から不味いことだけは理解したのだろう。最初は抵抗しようとしたようだが、すぐにそれを受け入れ彼女も頭を下げている。


……この変わり様からして、明らかなイレギュラー。何かの想定外が起きた様だ。


意を決して振り返り、“来客”を迎えようとするのだが……。




「しっかりと使える奴隷を買い、ダンジョンも最初の難関を超えた。普段は何事にもやる気がない貴方にしてはとても珍しいことです。少しは心を入れ替え励んでくれたのかと思い、誉めてやろうと顔を見せに来れば……。朝からとても“お楽しみ”だったようですね、エドモンド。“母”は悲しいですよ。本当に。」


「は、母上……」




何故か“メイド服”に身を包んだ自身の母が、そこに。




…………あの、その。




死んでもいいですか???????


コロシテ






〇反応


・ご主人エドモンド

コロシテ、コロシテ……


・ライカ

母上? ご主人のお母さんか?

……なんでメイド服???


・リシエラ

う~ん、凄いタイミング。

護衛さんたちの反応からして『ご主人が私達に手を出す』のはOKぽかったんだけど、お母さん。しかも雰囲気的に皇族が出て来ちゃった。この国の人間の価値観からすれば1人用のリアルオモチャと乳繰り合っていたようなものだけど、たぶん御両親のどちらかが“ちょっと違う”感じだろうし……。あ、でも奴隷に何かっていうより息子にちょっと失望してるというか、がっかりしてる感じが強いわね。つまり抱くのはOK?


というか、ご主人からすれば行為直前を母親に見られた訳か。んふふ、メンタルヤバそ。


……それはそうとして、この羞恥がひっくり返ったら楽しいことになりそうよね。見学とかしてくださらないかしら? あとなんでメイド服? そういうプレイ? ……いいわね!






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