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ただ一つの命令で、虹は消えだす。 


戦いは終わった…


でもなんか終わった気もしないのが本音。


俺は今…


「あんたのせいだからねっ!?」



真理にめちゃくちゃ怒られている。

どうも真理の素足にPP弾が思いっきり当たったらしく、無駄に跡が付いたらしい。

真理だけ、スカートだったしな…。それはかわいそうな事をした思う。


ああもうなんで、俺ばっかり…


周りを見渡してみると、みんな敵同士だったのがどこへやら…なぜか和気あいあいと話し込んでいる。


一番、意外だったのがやっぱり月路とルナだった。

びっくりするぐらいに仲良くなっていたのには誰もが驚いた。


そして月路はなぜかシタッパの方まで行くのが見えた。


おいおい、まさか都築や遠藤に飽き足らず、敵サイドのイケメン枠にもなんかする気か?と思って止めようとしたが…


「おい…」


後ろの物陰から声が聞こえてきた。


リーダーだった…



「なに?」


「あのさ、頼みがあるんだけどさ。お前の迎えの車に俺も乗せてくれない?」


なんか、とんでもないお願いをされているが、なぜだ?



「悪いけど、俺らの車、定員きっちりなんだよ。だから、お前の仲間の誰かに乗せてもらった方がいいんじゃないか?」


「いや、それだと困るんだよ…なぁ頼むよ…。お前がルナのオヤジの車に乗ってけば、俺がそっちの車に乗れて助かるんだよ。たのむよ。」


すごく変なお願いをされている。

もし仮に俺が断ったら、多分こいつは俺以外の奴に同じことを頼むだろうが、


「ダメだな。多分ほかの仲間もそんなお願い受けられないから、諦めな」


「そんな、つれないこと言わないでさ、なぁ頼むよ。金ならほら払うからさ…」


これがあの時、すごい殺気を出して俺をぶっ殺そうとした奴にはとてもじゃないけど見えなかった。

今の遠藤とは大違いだ。


とその時だった。


すっごいダサい軽自動車がすごい勢いで、サバセンの駐車場まで入ってきた。そしてすごい勢いでこっちに向かってくるので、何かと思った。


「げ、ヤバ…」


窓が開いて


「あ゙ずがぢゃん。帰るわよ!」


車にはこれまた、声にも濁音が付くぐらいのダミ声、顔はなぜか平成の黒ギャルみたいなメイクと茶髪、体型は滅茶苦茶太っており、服装は全身ウンコ色のブランド服で固めたおばさんが顔を出していた。


「お前のせいだからな!」


リーダーはなぜか俺のせいにしてきたが、そんなこと知った事か!

リーダーはその平成のギャル感が抜けてないおばさんに無理やり車の中に詰め込まれ、帰ってしまった。


言われてみれば、あんなお迎えはイヤかもな…。


多分、リーダーは自分のお迎えを見られたくなかったのであろう。


俺はまた、月路の姿を探す。


そしたら、俺はまた見たくない光景を目にした。


何と月路がシタッパの手を両手で握って、シタッパにニッコリ微笑んでいたのであった。


ぬぁんだってぇ――――――っ!!!


それも…シタッパとなんの会話をしていたのか謎だが、


「ありがとう。」


とまで言っていた。


でそれを間近で見ていたルナが不機嫌そうな顔をして


「ちょっと、あんた…」


と言いかけていたが、


「おい、行くぞ」


俺は月路とシタッパの間に割って入って、そのまま月路を連れて行った。


「バイバーイ」


とそれでも元気に挨拶をしていたが、もう引きずってでもシタッパから離したかった。


「ちょっと、まだ他の人に挨拶してない。」


「いいから行くぞ。」


俺にはいつも挨拶もせずに黙って帰るくせに、こいつらにはしっかり挨拶していくのかよ!

都築にはキスまでしておいて平然としてるし、遠藤にはボーナスでもあげたぐらいに優しいし、おまけにシタッパの手を握って「ありがとう」ってなんだよっ!

今日ほど、腹立たしい日はなかった。


「それにまだ、八木さん来てないよ。」


「ああそうだな。」


どちらにしても迎えには来るなら、今はそんなことどうでもいい。


「夏祭り来てくれるんだよな?」


問題はそこだ。


「条件があるといったはずだけど、それ聞いてくれたらって話だったよね?」


「は?このサバゲ―に勝つというのが条件じゃないのかよ?」


「あたし、そんなこと条件に出してない。」


俺はてっきり、この試合に勝つことが条件だと思っていたが、そこまで甘くはなかったみたいだ。確かに月路は、条件の内容はまだなにも言っていなかった。


「で?その条件は?」


「一週間以内にあたし以外の女の子たちと、ちゃんと縁を切ってくれたらいいよ。」


なんだって!!?


「やっぱりいるんだね。」


月路はにっこり笑っていた。

こんな話をしているのにそこまで笑って話せるなんて。


「無理はしなくてもいいよ。」


月路にそんなことを言われ、

不覚にもサバゲ―が終わるまで、日芽子の存在をすっかり忘れていた。

まずいぞこれ。



それに今思い出したが、月路はなぜか俺に経験人数まで知っている。



ついでになぜだか知らないが、そんな俺のことを責めるわけでもなかった。

その事実を知っていても、デートのお誘いにそこまで冷静に対処しているぐらいだ。


そんな月路に「もうほとんど関係ないです」なんて、いいかげんな報告を出しても、すぐに見破られそうだ。


「それができなきゃ、なしね。」


すごいきっぱり切り捨てた。




「これ!」



月路は一枚のメモを渡してきた。


メモには…赤坂呉羽、橙山夕里、黄鈴々、緑川悦子、青柳麗、藍沢千恵美、紫藤四季子の7名の名前が記されていた。


というかそもそも…


この中で付き合いあるの夕里と悦子ぐらいだ。藍沢は無視しとけばなんとかなるし、鈴々と呉羽はほとんど接点ないぞ。青柳は面倒だけど、こっちから関わらなければなんとかなる。でもしつこい。


「夏祭りに一緒に行くとしてさ…

少なくとも、この子たちに邪魔されるのはやだ。」


月路はきっぱり言っていた。

何もかもがいきなりで、滅茶苦茶いうよな。


「鈴々は、もう全然関わってない。」


「それはほんと?」


「なんかアイツ最近いい噂、聞かないから近寄りたくもなくて。」


「じゃあこの子はいいか…」


といって、月路は速攻で、鈴々の名前の上に×をうった。

なるほど関わってない言えば、何とかなるんかこれ?


「呉羽も引きこもってるから、まず大丈夫思う。」


「だめだね。」


「なんで!?」


「あんたの気持ちの問題が少しも解決してないだろ?」


というか呉羽本人は出てこない。妹の色羽はあの後行方不明。

どうしろと⁉


「まぁこの件は考えとく。」


考えとくって、呉羽の件をこれ以上いい方向にもっていくって?他に何があるんだよ?

俺がもう、赤坂一族とは関わりたくもないんだよ!


そして話はまだ続く。



「この中で一番の問題は、青柳さんだよね?」


「…!!!…」


すごい勢いで言い当てられた…

こいつの暴走は止まらないし、話も通じないから厄介だ。


「これはあたしが何とかする。」


「は?」


なんとかするって…

お前でもさすがに青柳は無理な気がするが…


「次、青柳が現れた時…わざと捕まって。話し合いの場だけ設けて、ここに連絡してくれたら駆けつける。ただ、夕方以降じゃないと無理だから、わざと捕まるにしても、その時間帯でお願い。」


「あ、あの…」


あっさりnineアドレス(SNSみたいなもの)教えてもらえたが…


「いい?これあたしのアカウントじゃなくて借りものの奴だから、その時の待ち合わせするまでしか使えない思って。」



「は??なんだよそれ?」



「あたし、こういうの持つ気ないから。」


持つ気ないって、スマホなんて今時、誰もが持ってるんですけど?

あんたいったいどこまでアナログ人間なんですか?


ただここで、俺は日芽子だけが、なぜかここのリストに入っていないことに気が付いた。あと真理もいない…


それをはっきり聞こうとした時だった…



「大空美星様ご一行様。お迎えに伺いました。こちらにお集まりください。」


八木さんのお迎えが来た…




というか、行きは何の説明もなく、この車に乗らされたが…


「本日はサバイバルセンターをご利用していただきありがとうございました…」


と帰りの車でまるでどこかのバスの運転手のような挨拶をしてきた。


「あの…あなたは…?」


「ああ、私ですか?サバイバルセンターの専属で送り迎えをしているただの職員です。」


「は?」


「どちらにしても辺鄙な場所にございますから、こういうサービスがあるのです。ご存じございませんでしたか?」


といいながら、チラシが配られた。


確かにそれはサバイバルセンターのチラシであり、中には送迎サービスの案内まで、ちょっとわかりにくいところに記されていた。


高校生が支払うには結構な値段だったが、人数分でいけば普通の交通費全員分ぐらいの値段だった…。



「ごめん。まぁこうなってしまったのもあたしの責任だったので、今回の送迎費はおごりいうことで…。」



どうも月路が全部支払っていたらしかった…

てか太っ腹すぎないか?お前?



「そういうわけでして、私はあなたたちを拾った笹ノ葉高校の駐車場までしか送ることしか、契約に含まれていないので、そこはご了承ください…」


ようやく、この送迎車の意味がつながった…


ここでまた疑問に思ったのが遠藤…

いつもより時間が遅くなっているのに、八木さんも高校の前までしか送らないと宣言しているのに、時間を気にしている様子が全くなかった…。

ホントに大丈夫かこいつ?と心配になってきた。



「さぁ到着いたしましたよ…。お疲れさまでした。」



八木さんは本当に俺たちを学校の前まで送ってくれた。

送迎車がなぜか普通の一般車だったいうことにはびっくりしたが、八木さん曰く、サバセンではそれが普通らしい。


さいごに…


「あ、天ノ川さん。こちら、買っておきましたよ。あとお弁当おごってくださってありがとうございました。」


八木さんが荷台から、レジ袋を二袋分ぐらい持ってきた。


「あ、ありがとう。なんか申し訳ないね。ほんとはこんなサービスまではさすがにないのに…」


「いいんですよ。天ノ川さんのお願いですから。」



と変なやり取りがあった…



「今日はありがとうございました!!!」



「ありがとうございましたー!」


月路に続いてみんな自然に八木さんに挨拶をしていた。



八木さんが行ってしまったそのあと…



「ねね、みんなこの後時間ある?」


月路がいきなり、言い出した提案は…




何と…俺の家で食事会だった。

そこで打ち上げ会をやろうとのことだった。


確かに俺の家が学校から一番近いけどさ…


そこへ…


「あ、俺が荷物持ちますよ。」


桜野先輩が、月路の荷物持ちをかって出ていた。


「ありがとう。桜野くん。ホント気が利くよね。」


「女の子に重たいもの持たせるのはたいへんだろうから。」


「桜野くんの彼女になる子は幸せなんだろうなぁ。」


「まだ、彼女はいないですけどね…」


そういえばこの間…

月路と一緒に買い出しに行った時、桜野先輩ほどスマートに荷物持ちをかって出てなかったことを思い出した。

それを思うと二人の会話を聞いていてなんかとてもやきもきしてきた。

今日はホントにヤキモチの連続だった。

そういえば、月路がいる時でこんなに大勢で合っていることはなかったことに気付く。


「あたしも桜野くんみたいな………ったかな……」


「え?」


「ううん、何でもない…」


って今、月路は何か言いだしてたよな…?



家につくと…

月路は夕飯作りに取り掛かりだした…



「何作るんですか?俺も手伝いますよ。」



おいおい…今度は都築が手伝いをかって出た…


てか今回俺、立つ瀬なしやん…


「ありがとう。ミートソースパスタだよ。」


「あ、いいですね」


「ね。これなら簡単でしょ?」


「そうですね。これなら大量に作ってみんなで食べれるし、俺もよく作りますよ」


「そうなんだ。都築君、よく料理するの?」


「ですね…うち兄弟多くてだいたいこういうメニューですよ…。

姉が一人いるのですが、料理苦手で結局俺が作ってます。」



「あたしも都築君みたいな人と結婚したかったかなぁー。まじめで誠実そうだし―。」


と月路がすごく無邪気に言ったとたん…



ぶ―――――――っ!!



と口に含めていたお茶を吹き出してしまった。


「ちょっとあんた!何やってるのよっ!!」


「美星くん大丈夫?」


「何か拭くものありますかぁ?」


真理も遠藤も桜野先輩も…都築や月路までもが、この時俺に注目していた…。

本当にみっともない姿を見せた…。

「もう、なんでそんな反応するのー?」


と月路にまで言われてしまった。

ほんとに何やってるんだか…恥ずかしくてしょうがなかった。



食事の支度は結局みんなで協力して作ったのですごく早く仕上がった。


そして…



「これもどうぞ…」



サラダに付け加え、サブメニューとして現れたのがオムレツだった…



「うわー、これふんわりしていておいしい。」


「うん、三種類あるからみんなで食べてみて。」


プレーンとチーズとひき肉入りのと三種類あった。

特にひき肉入りのは、絶品だった。


「都築君が手伝ってくれたんだよー。ありがとねー。」


「俺もありがとう。おかげで、家で作れるレシピが増えました。」


また都築かよ…?

こいつ、今日は月路からの株上げすぎ…



「都築君も、もう食べてて…」


「あ、では…」


やっぱり、この二人見てるとモヤモヤする…


この時の俺は、自分のことばかり考えていて、月路の気持ちのことなどさっぱり考えてなかった…。


それにしても月路はいろいろ立ちっぱなしだ…。

まだ何か作ってる。


「え?まだ何か作ってたんですか?」


「いいかげんあんたも食べなよー。」


「ああそうだねぇー。あーでももう食べたから大丈夫だよー。」


と自分の分のパスタが乗っていた皿を指さした。

そこにはすでに食べたと思われる空の皿が置いてあった。


「行儀悪いわよーあんた―。」


「えへへへ…ごめんごめん…」


真理から指摘されて、笑ってごまかしていた感じだった。


「私も手伝おうか?」


「あ。ありがとう。だったらそこにサランラップ引いてくれる?

あとは包んで終わりだから。」


「ハンバーグねぇ…。ほんとあんたすごいわねぇ…。でもこんなの作ってもみんなお腹いっぱいだけど…」


「ああいいの。ここの台所貸してもらったお礼に作ってるだけだからー。」


「え?そんな理由で…?」


「うん、冷凍保存しておけば、時間おいても食べれるでしょ?」


「え?月路それって???」


俺はそのハンバーグが誰にあてて作ったものかについてたずねた。



「もちろん。美星とお父さんへよ…」



何か、そこまでやってもらえる理由がわからなかったが…、月路の作る飯はうまいので、素直にうれしかった…。



「ありがとね。真理ちゃん。手伝ってくれて。」


「いえいえ、たいしたことしてないし…。」



それにしても月路は、今日はサバゲ―の時から動きっぱなしだ。

それだというのに、全然疲れというものを感じさせてない。

やっぱりこいつは化け物かもしれない…。


「あ、ちなみにこっちが今日のお父さんの分のパスタね。今日はこれ食べさせてね。」


とオヤジの分まで作ったらしいが、この間のカレーのことを考えると、これだけじゃ足りるかどうか…。それでも…


「ありがとう」


というしかなかった。



そしてこの後…月路はまたとんでもないことをしだした…。


「いぇーい!本日もやってきましたぁーーー。

シヘラザート天川劇場。拍手――――。」


都築と遠藤と桜野先輩は素直に拍手をしているが…これってまたあの…


「何が始まるんですか?」


「じゃーーーん!今日の物語はー「その名も、桃次郎!」拍手―!」


月路お手製のあの紙芝居シリーズをまた出してきた…。


「って?いつから次男坊になったんだよ?」


といつも通り、突っ込みを入れてしまった。


「…あの子……大丈夫?」


と真理まで心配していた。

まさか、こんな大人数の前で自分お手製の紙芝居を披露するとは、さすがに思わなかった…。

でもまぁ…前に発表された三作よりかはまともな出来具合だった。

また、制作した年齢が少し上がっていたらしい。



今回はさすがに俺も止めたため、一作だけで済んだ。




そして…



「みんなお疲れさまぁー。今日はありがとね。」



解散しようとした時だった…



「ちょっと、あなた一緒に来てくれる?」


といきなり月路に言いだしたのは真理だった…。


おいちょっと待て!!俺は今日こそ月路を送る予定だったのに…


それもよりにもよって女子同士で…こんな夜に一緒に帰るつもりか?


「あ、うんいいよ。」


月路も月路であっさり引き受けて…二人は道路の方へと一緒に消えてしまった…。



「じゃあ俺は遠藤と帰るわ…」


と都築。


「ごめんね。俺は家がみんなとは反対方向だから、さすがに時間的にも無理だしもう帰るね…。」


と桜野先輩…。


何か最後はものすごいバラバラに帰るという運びになってしまった。



おいこれ?


すごく疑問に思いつつ、やっぱり月路と真理が気になった。

女子同士ということもあるが、なんで真理がいきなり月路を連れだしたのかがすごく気になった。

だから俺は二人が消えた方向を追った…。



途中…何か声が聞こえてきた…。



「あなた、…………でしょっ!?」



真理の声だった…。


「最初見た時に、一目でわかった!」


「え?」


俺は耳を澄まして聞いていた。


「…しっ……それ今は言わないで…」


「どうしてよ?」


「いまは言えないけど、あの子にもそのうちわかるから…」


「あなた、美星だけじゃなく、都築や先輩まで…巻き込む気…?」


「そんなつもりないって…。みんないい子たちだから、絶対にそんなことしないよ。」


いい子たちって…。

俺はやっぱり月路からは男に見られてなかったのか?

それはかなりショックだった。


「いい?あなたはあなたの使命を全うしてほしい…。ただ…。」


「なによ?」


「あなたは絶対にあの子のことは甘やかさないでほしい…。」


甘やかさないでって…?俺は今までずっと真理から、甘やかされたことなどないぞ。


「あたしはね…。あの子が不憫に生きる姿も…あなたが犠牲になるのも見たくないんだよ…。」



「!!!?」


俺は月路のその言葉を聞いて言葉をなくした。どういうことだ?


あの子って?誰のことだ?俺のことか?真理が犠牲になるって?どういうことだ?


「あたしね。その甘やかした結果で、余計に苦しんでる人を見てきている分、わかるの。せめてあなたたちだけでも、自然に生きて欲しいの。」


「わかったよ…。それがあなたの望みだね?」


「ありがとう。全部任せた…」


「…ホントにそれでいいの……?」


「あたしもね…自分のバディには、あたしのわがままで面倒かけてしまった…。

よほどのことがない限り、あなたはそんな苦労を背負わなくていい。」


すごく重々しい話で、とてもじゃないけど入っていけなかった…。

それでもやっぱり、女二人の夜道という状況を放っておけるわけなかった…。



「おい…お前ら。こんなところで何してるんだ?」



二人は俺を見て驚いていた。



「美星」



二人ともハモっていた。


「どうしたの?あんた?」


という真理の声とは逆に、月路はどうも俺に会いたくなかったらしく、真理に背中に隠れて姿を消そうとしていた。


「月路!」


今日という今日は逃がさない思って、月路を呼び止めた…。


「あ、あはははは…。真理ちゃん!美星が送ってってくれるって。あたし行くね。」



といって、すぐ向こうにあった柵を飛び越えてそのまま、月路はそこから飛び降りていった。


「美星!あたしが出した条件、がんばるんだよー。」


という声と共に姿を消した。



「おい!あいつ、こんなところから、飛び降りて大丈夫か??」


「え?えっと案外高くないと思うから…コツが判ってる人なら大丈夫なはず…」


「ごめん。やっぱり心配だから追うぞ!」


「え?あ、ちょっと。」


俺は、少し向こう側にある階段から、遠回りして追うことにした。

月路が飛び降りたらしい場所についたが…やっぱり月路はもうそこにはいなかった…。


また逃げられた…



「ハァハァ…ちょっといきなり置いてかないでよ…。こわいじゃん」


真理が俺の後を追ってすぐやってきた。

今日は真理を送っていくことにした。

いくら相手が真理でもこの場合は真理を放っては置けない。


それに真理は俺のため?に特別な何かを背負っている存在である。


またしても、月路にやられた…。


俺はその時、月路と真理が喋っていた内容は、さすがにこわくて聞きだせなかった…。

真理が犠牲って?あれ…いったい何だったんだろう?




真理を送っていった帰り道…俺はとんでもない噂を聞いた…



「おい…黄来軒…つぶれたらしいぞ…」


「マジで?」


「お前知らないのか?あそこの娘ヤバいらしい…。」


「は?鈴々ちゃんだよな?」



サラリーマンたちのとんでもない噂に俺は仰天した…。

ヤバいって、鈴々ホントにヤバいことになっていたのか?





そしてまた、その日に見た夢がまた強烈だった。




まず、目の前には大きな天秤があった…


そして、その上には左に日芽子…右に月路が乗せられていた…。


圧倒的に日芽子の方が、下に降りていた…。

月路はかなり上の方から、こっちを眺めていた。


それもそのはず…日芽子の皿の上は、まるで虹でロックされているかのように虹がかかっていたのだから。





その虹の反対側のふもとには


7人の少女?達が、各色のカプセルの中に閉じ込められていた…

赤坂呉羽、橙山夕里、黄鈴々、緑島悦子、青柳麗、藍沢千恵美、紫藤四季子だ。


そして、空では時雨くんが静かに水を降らせていた





あと気になるのは、天秤よりも向こう側にある、かなり巨大な砂時計…

真理だけは、逃げることも座ることも許されないように、砂時計の上へ立たされていた。

それも足は鎖でつながれていた。

真理はかなり険しい顔で俺を見ていた。


「ごめん。私は時が来るまで、見守ることしかできない…」


といつもの真理らしくないことを言い放っていた。

真理の方も、かなりシビアで恐ろしい背景だった。




すべての状況を把握した時だった…


はるか向こうにいる何者かが、月路に向って何か投げてきた。

それを月路は器用にキャッチして、それが一本の矢に変わった。


本日、水晶の矢が一本、月の使者に渡されました…


と謎のアナウンスが流れたと思ったら。天秤の皿の上から、月路が下界に向かって、弓を引いて矢を放とうとしていた。


次の瞬間、矢が飛んできて、何かが割れた音がした…


鈴々が入っていた黄色のカプセルが割れた音だった。

鈴々はそのまま消えた…


黄鈴々 死亡…により脱落…。


カプセルは黄色の宝石になって…月路がいる方へ向かって飛んでいった…


そりゃもう鈴々と関わりは一切ない。

月路ですら、鈴々に関しては何もしなくていい言われてる。

だから、この場合まずは鈴々が消えても俺は特に驚きもしなかったが……

でも…死亡って…?大げさすぎやしないか?




その時だった…


「いっやぁーーーーーっ!」


という叫び声が響き渡った…

声主はあの藍沢千恵美だ…。

相変わらず、アイツはうるさい…。


他の虹女子たちも鈴々がいきなり殺されて、宝石になってしまったのを見て困惑していた。


その中でも…


「おもしろいじゃない…。次は誰だろうね…。」


と余裕気にニヤついていたのは赤坂呉羽だった…。

それと比較して鈴々が死んだ(脱落した)のを見て、おどおどしている青柳 麗はまだマシな方だった。

赤坂はこうしてみるとサイコパスなのかもしれない…。


おそらく…ここで出ている性格が、彼女たちの本性なんだろう…。


となると…?ここでじっくり彼女たちの本性を見ておいた方が、月路から出されたあの課題は楽になるのか?と思った時だった…



ギギギギギギ――――――



と大きな音がした。

それは天秤が動いた音だった。



少しだけ日芽子の皿が浮かび上がってしまった。


「あらあら…私も少しは軽くなってしまったかしら…」


はかりにかけられている二人の方の表情は、なぜか軽かった…。

そして日芽子の皿の上にロックされていた黄色の帯の部分だけが虹から消えていた…。

どうも、虹の帯の色が消えるたびに日芽子の皿は上へと浮かんでいくと見た。




これってまさか…?





と思った瞬間に目が覚めた…。





目が覚めたら…なんか物音がするのでリビングに行ったら、オヤジが帰っていた…



「ああ、美星起きたか…」


昨日、作ったミートソースパスタを食いながら新聞読んでいた…。


「なぁ黄来軒ヤバかったらしいぞ…。」


「は?」


「女の子が一人刺されたらしい…。痴情のもつれだって…。」


俺もめずしく、新聞に目を通してみた。


「こわいなー。恋人が性病うつされたという理由で、女性が刺したんだと…。」


それを聞いて、背中が急に冷たくなった。


被害者は本日の朝4時ごろに死亡が確認され、殺傷事件から殺人事件に変わったとのこと…。被害者は黄鈴々17歳…


…って……。


今日見た夢、確か「鈴々死亡」って言ってなかったか?


それって…?


俺はこの時、ものすごくゾっとする夢を見たということに気が付いた…。


というか笑い事ではない…。

じゃあ、夢の中で呉羽が言っていた通り…次に死ぬのは誰?ってことになる…。



ただ、俺は残酷にもこの一週間の間に、彼女たち全員をつぶしていかないという命令があった…。



そして、知らん間にnine(SNSみたいなもの)が一件届いてた。


月路からか?と思って慌ててみたら…都築からだった…。


それも…


“お前、遠藤にあんなでかいプレゼント何かと思ったら、すげぇナイスなもの送ってるやんwwwマジわろたwww”


とのことだった…。

どうやら都築は見せてもらったらしい。


そういえば俺、遠藤へのプレゼントは横流しして何を渡したのかは、俺自身が不明のままであった。それを先に都築に知られるとは…


いったい月路は何をプレゼントしていったのであろう…?


おい都築よ…。

いったい遠藤へのプレゼントはなんだったのか、ズバリ書いておけよ…。

もう俺は、お前にまでそれを聞けれなくなったじゃないか…。



そして、そんなことが原因で、次の標的があっさり決まってしまうのであった…。


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