「お出かけ」
黒羽が家に来てから数日経ったあとの話です。
「黒羽ー!」
凛が呼ぶと黒羽が凛の方を向く。
「なに…?」
「暇だし、どっか行くか!」
ニッ、と凛が笑うと黒羽がコクっと頷いた。
「ぁ…。そういえば黒羽。」
「ん…?」
「お前、その羽どうすんの…?」
凛が黒羽の背中についている真っ黒の羽を指差して言うと、黒羽はフッ、っと小さく笑って言った。
「大丈夫。隠せるから…。」
「うぇ!?隠せんの!?」
「うん…。」
「まじで!見して見してー!」
「はいはい」
黒羽は半分子供あやすように言って息を吐く。
すると羽がだんだん背中に一体化していく。
「おぉ…。」
凛はアホの子のように口をポカーンと開けながらその光景を見ていた。
数秒も経つと羽が全て背中に一体化した。
「黒羽、お前やっぱすげぇな!」
子供のように目をキラキラ輝かせて凛がそういうと黒羽は小さく笑って「ありがと…。」と言った。
「さぁて、服も着替えたし…、行くかー!」
「うん…。」
家を出て扉に鍵をかけると少し冷えてきた風を感じた。
「うぅ…、地味に寒い…。」
「だね…。」
そう言いながら並んでどこに行くかも決まってないまま足を進めて行く。
「あー、今日の晩飯買っていかないとな…。なに食いたい?」
「…、丼…。」
「あー、はいはい」
あの日、どんぶりを黒羽に食わせてやってから黒羽の好物はどんぶりになった。
「じゃあ今日は…、親子丼な!」
「うん…。」
「えーっと、まず卵からかな…。」
そう言って卵売り場へと向かう。
数分後、食材を買い終わり、店の外へ出る。
「ふう、疲れたー…。公園にでも行って座るか」
「…。」
「…?黒羽?」
黒羽は近くから妖気を感じていた。
「…まぁ、いいか…。」
凛に聞こえない声でそう言って凛のほうへ向きコクっと頷く。
「んじゃ、いっくぞー!」
「はーい…。」
公園の中に一歩入ってみると急に周りの景色が変わってさっきまで歩いていた人の姿もなくなってしまった。
「!?」
二人とも驚いてあたりを見渡すと公園の中に人影が見えた。
人影の周りにはまだ春でもないのに桜がふわり、ふわりと舞っていた。
「あれ…、まだ冬だよな?」
「うん…、もうすぐ春っていってもあと何週間かかるかな…。」
「な、なんだ…、あの人影だんだん近づいてくるぞ…ッ!」
じゃり、と砂の音がして気がつくと人影が目の前にいた。
「うぇえ!?いつの間に・・・!」
人影の周りに舞っていた桜が風でなくなって顔が見える。
「お前が・・・、東条凛だなぁ?」
人影はニッと牙を出して笑った。
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