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第15夜

ごっつい久しぶりの月狩更新です。

復活一発目は月狩にしたかったのです。

「みゅっ♪みゅっみゅ~♪」

エビルズタウンの商店街をご機嫌に歩くつぐみ。

その後ろには瑠美・鞘香・兎季・芹香・結華・深紅・せりかさんのうさぎ屋女性陣と両手に荷物を抱えた龍星が付き従う。

「ご機嫌ねつぐみ♪」

「うん!お兄ちゃんや皆と久しぶりのショッピングだからね~♪」

バニーガール姿の兎季がつぐみに話しかけるとつぐみはうさみみとうさしっぽをピコピコせわしなく動かしながら笑顔で応えた。

お兄ちゃん大好きっ子であるつぐみにとって龍星や皆とお出かけ出来る事が何よりの幸せである。

因みに前回つぐみが龍星とお出かけしたのは変態吸血鬼を捕まえた日の昼間。

つまり数ヶ月前の事だ。

ついでに言うとつぐみのご機嫌具合はうさみみとうさしっぽを見れば一目瞭然である。

うさみみとうさしっぽがせわしなくピコピコ動いているとご機嫌。垂れていけばいく程しょんぼりしているのだ。

ここ最近はりゅーさんのおかげでつぐみはそれなりにご機嫌ではあるが、代わりにりゅーさんと触れ合えないせりかさんがしょんぼりしていた。

つぐみを慰めせりかさんも慰める。

りゅーさん大忙しである。

今回のお出かけは実のところ大忙しなりゅーさんに休息を与える為でもあるのだ。



「つぐみは相変わらずのブラコン具合やね」

深紅が苦笑しつつ龍星に話しかけると龍星はニッと笑い、

「あれが可愛いんだよ」

と言い放った。

「(こっちも相変わらずの超弩級シスコンやねぇ)ほんに皆変わりのうて安心しますえ」

深紅がエビルズタウンを離れる前と変わらないつぐみや龍星を見て深紅はクスクス笑いながら言う。

「(わっちが以前調べた時に比べ最近の強硬派の妖魔達の動きに怪しい所がある。今までバラバラに動いとった奴等が徐々にやけど纏まってきとる。もしかするとわっちでも探れん程の夜の闇の奥深くで奴等を纏めるボスが現れたんとちゃうやろか?カグツチはんに頼まれ各地のギルド支所のマスターはん達にハンター同士の連携の強化を頼んだけど何処まで対応仕切れるやろか?)」

正直に言えばエビルズタウンのギルドに比べると他のギルドは上位ランクのハンターが少ない。

これは他の地に比べエビルズタウンには強硬派に所属する上位ランクの妖魔達が多く出没するからだ。

かつて変態吸血鬼やオカマタコは龍星や万里にあっさり倒された様に見えるが、奴等に対応したのが龍星や万里ではなく他のハンター達ならば逆に返り討ちにあっていたことだろう。

実を言えば変態吸血鬼とオカマタコはああ見えて強硬派でも上位に値する妖魔だったりするのだ。

このエビルズタウンには全ギルド内でもトップランクの龍星がいる。万里がいる。結華が冬樹が亮が優人がいる。

現役を退いてはいるがかつては戦女神と呼ばれていた美桜がいる。

だが、彼等にも弱点がある。

その弱点は彼等の身近に居るのだ。

「(もしわっちやつぐみ、芹香に兎季、白姫が人質になりでもしたら龍星達は手も足も出せずに殺られてまうやろな。皆はんお優しい方ばかりやからねぇ。・・・・・・足手まといはゴメンや。今日の夜にでも芹香達に話してみますえ)」

深紅は探査能力と幻術のレベルは高いが戦闘力はうさぎ屋の中でも下位の方である。とはいえギルドの中では中堅層に値する戦闘力はある。

だが、兎季・つぐみ・白姫・芹香の四人は戦闘力が低い。

身体能力が高い筈の芹香に至ってはつぐみより戦闘力が低いのだ。いや最早皆無と言っていい。


※尚、せりかさんはご存知の通り戦闘力が高い。

りゅーさんも実は龍星並み・・・いや、龍星より強かったりする。

なにせすばしっこいぷちな上に力も強いのだ。

その上、りゅーさんとせりかさんはコンビネーションが抜群だ。

せりかさんがちょこまか動いて相手の動きを牽制しりゅーさんが一気に決める。

若しくはりゅーさんが相手を牽制しせりかさんが相手の背後から忍び寄り一気に葱を突き穿つ。・・・・・・何処に葱を突き穿つかはご想像の通りなので割愛する(笑)


「せめて人質にならん程度にせなあきまへんなぁ」

深紅がそんな事をポツリと呟いたと同時に龍星が急に立ち止まった。

その視線の先には銀行を囲う様に人だかりが出来ていた。

「龍さん。どうやら銀行強盗みてーだ」

「って事はありゃ野次馬の人だかりかよ」

結華が龍星に言うと龍星は呆れた様に呟いた。

「お兄ちゃんどうするの?」

「どうするの?って警察に任せるしかねぇだろ。俺達はハンターであって警察じゃねぇんだからな。とはいえ、影ながらの協力は出来るか。取り敢えず中の状況が知りたいな」

「せりかっか♪」

「頼めるか?せりかさん」

「かっかー♪」

「あ、ほならコレ持っていき。ぷちでも使えるデジタルカメラや」

龍星の頼みを快諾したせりかさんは深紅からデジカメを受け取り、足元に不思議穴を開くと颯爽と不思議穴の中へと飛び込んで行くのであった。


所変わって銀行内。

「う"ぁい」

銀行員専用の更衣室の床に不思議穴が開き、せりかさんがひょこっと顔を出した。

「せりかっか(潜入成功。これよりミッションを開始します)」

せりかさんは不思議穴から出ると扉に張り付き外の気配を探る。

気分は何処ぞの傭兵である。

扉の外に人の気配が無い事を確認すると、せりかさんは音を立てずにそっと扉を開き更に奥へと潜入していくのだった。


「(かっかー♪(段ボールは無敵ですー♪))」ずりずり

段ボールをすっぽりとかぶりずりずりと廊下を進むせりかさん。

何度か犯人と思わしき覆面の男達と遭遇したが、段ボールのお陰で見付からずに済んでいる。

「(う"ぁーい♪(やはり潜入任務には段ボールが必需品ですね♪))」ずりずり

しっかりと犯人達の写真をデジカメで撮りながらせりかさんはフロアを目指して進むのであった。


一方フロアでは、犯人達が人質に銃を向けて脅しつつ外の警官隊に車を用意する様に言っていた。

「(はぁ。手ぶらでは悪いだろうと手土産を買う為のお金をおろすだけだったのに、私も運が悪いですね~)」

人質達が皆青ざめている中、一人だけ顔色を変えず犯人の様子を伺っている女性がいた。

「(フロアに五人。奥に・・・四人ですか。思った以上に人数が居ますね。ですが私なら制圧は簡単・・・・・・とはいえ人質の皆さんに危害が加えられては本末転倒。どうしますかねぇ?)」

気配を探りなから悩む女性ではあったが、ふと近付く謎の気配を感じ取った。

「(あれは・・・・・・段ボール?)」

犯人達に気取られないように謎の気配の方を見ると其処にはずりずりと近付く段ボールがあった。

段ボールは女性に見られている事に気付くと女性の方にずりずりと近付いてくる。

「(かっかー♪)」

「(おや?貴女はせりかさんではないですか。私が師匠の所に居た時以来ですから六年ぶりですか?お久しぶりですね♪)」

この女性、どうやらせりかさんを存じているようだった。

「(貴女が居るという事は龍星も近くに居るのですか?)」

「(う"ぁい)」こくん

女性の質問にせりかさんは頷いた。

「(ならば、龍星に伝言をお願い出来ますか?犯人の数は9。制圧は可能ですが、人質達の安否の事もあり現状では不可能。陽動若しくは救援を乞う。以上です)」

「(せりかっか♪)」ひゅん

女性の伝言を聞くとせりかさんの気配が消える。

段ボール内で不思議穴を開き直接落ちて行ったのだ。

「(頼みますよせりかさん。そして龍星?)」



「せりかっか♪」ひょこ

「お帰りせりかさん。どうだった?」

野次馬に紛れせりかさんの帰りを待っていた龍星達の足下に不思議穴が開きせりかさんが顔をひょこっと出す。

「かっかーかっかーせりかっかー」

「何?中に慎が居るって?制圧は人質の事もあり現状は不可能。陽動若しくは救援を乞う・・・・・・か。しゃあねぇな」

せりかさんから女性からの伝言を聞いた龍星は両手に持っていた荷物を地面に下ろすとつぐみ達に顔を向ける。

「悪いな。少しばかり待って居てくれ。直ぐに戻るから」

そう告げると龍星はせりかさんを肩に乗せる。

「龍さん、手伝おうか?」

「いや、結華はつぐみ達の護衛を頼む。何があるか分からんしな。鞘香に瑠美もつぐみ達を頼むぞ」

「分かった。龍さんの方こそ気を付けろよ?今日はスウェンガナル・Dを持ってないんだからな?」

「りょーかい!」

「任されたわ」

「龍星、わっちも行きますえ。こういう時こそわっちの幻術が役立つ時や」

「それもそうだな。んじゃ深紅ついてきてくれ」

龍星は深紅と共に野次馬を掻き分けて警官隊の方に向かって行くのだった。


「下がって!近付いては駄目だ!」

必死になって野次馬達を下げる警官に龍星は近付いていく。

「忙しい所済まない。ハンター左島龍星だ。犯人達について話がある。隊長さんに合わせて欲しいんだが」

「同じくハンターの神埼深紅や。犯人逮捕に協力させて貰いますえ」

「左島さん!?」

龍星達が声をかけると警官が驚いた。

良く見るとその警官は牙狼鬼の事件の際に龍星と足長軽が声をかけた警官だった。

「あんたはあの時の警官か。あんたも大変だな」

「したっぱ警官の辛い所です。隊長はこの先に居ます。自分が案内しましょう。済まない、ここを少しの間頼めるか」

警官は近くに居た同僚にこの場を頼むと、龍星達を隊長の所に案内するのだった。


「警部!」

「どうした?」

「ハンターの左島龍星さんが犯人逮捕に協力させて欲しいとの事です」

警官は離れた所で龍星達を待たせると自身は警官隊を指揮する刑事の下に走って向かい龍星達の事を伝える。

「何?・・・・・・分かった。此方に、いや、私が出向こう」

刑事はその場を離れ龍星達の方に向かって走ってきた。

「エビルズタウン署の甲崎です」

「左島龍星です」

「神埼深紅と申しますえ」

甲崎と名乗った刑事は龍星と深紅に敬礼しながら名乗った。

龍星と深紅も甲崎に名乗り挨拶をする。

「早速ですが、犯人逮捕にご協力頂けるとか?」

「えぇ。神埼は幻術を得意としていますし自分達は犯人達に気付かれずに内部に侵入する手段があります。甲崎さん達警官隊の皆さんに犯人達の要求を飲む振りをしていただいて時間を稼いで欲しいんです」

「それは構いませんが、お二人だけでは危険では?」

龍星の提案に甲崎は質問を返す。

「実は先程このせりかさんが内部に侵入して内部の様子を探って来てくれました。その時に分かったんですが、中に私の兄弟弟子が居たんです。アイツと私、それに神埼が居れば9人程度なら人質に危害を与えずに制圧出来ます」

「せりかっか♪」ぺこり

せりかさんは龍星の肩の上から甲崎に向かって頭を下げると持っていたデジカメを甲崎に差し出す。

「・・・・・・これは!内部の様子を撮影して来てくれたのか。有難い」

甲崎はデジカメの記録を一通り見ると龍星に頭を下げる。

「左島さんの御言葉に甘えさせてください。機動隊が突入の準備をしていますが、人質の安否が気になって突入の指示を出せなかったんです」

「頭を上げて下さい。私も貴方もこの街の平和を守る仲間です。仲間を助けるのは当然じゃないですか。早速内部に侵入しますので暫く時間稼ぎをお願いします。せりかさん頼む」

「う"ぁーい♪」

龍星の頼みを引き受けたせりかさんが龍星の足下に不思議穴を開いた。

その不思議穴へと龍星は帽子を、深紅は着物の裾を押さえて飛び込むのだった。


再び銀行内部。

銀行員の更衣室の床に不思議穴が現れ龍星と深紅、そしてせりかさんが現れる。

「深紅」

「了解え」

深紅が幻術を龍星と深紅、せりかさんに掛け周りに見えない様にする。

「わっちらの姿を認識出来ない様にしましたえ。そやけどわっちの幻術は龍星クラスの気の力やと吹き飛ぶから極力力を押さえて制圧してな?」

「分かった。俺はフロアの方に行く。深紅とせりかさんは銀行内を彷徨いてる四人の捕獲を頼む」

「かっか!」

「了解や」

龍星の指示に深紅とせりかさんが頷き、せりかさんが龍星の肩から深紅の胸元に移動する。

「せりかさん?わっちはつぐみ程胸あらへんから入っても楽しあらへんやろ?」

「せりかっか~♪」

深紅の胸元に入り込んでご満悦のせりかさんである。

「一応言っておくが、何があるか分からんから気を付けろよ?」

せりかさんの行動に苦笑を浮かべ龍星は更衣室のドアに手をかける。

「龍星も気ぃつけなあかんよ?」

「かっか!」

「分かってるよ。んじゃまた後でな」

龍星はニッと笑ってドアから廊下へと出ていった。

直後、

『おらっ!』ズドンッ!

『誰も居ないのに声がばらぶぎゃ!?』ドシャ

龍星の声と何かを殴った音、犯人の声っぽいのと何かが倒れた音が聞こえた。

「・・・・・・ほんまに大丈夫なんやろか?(汗)」

「かっかー(汗)」

更衣室から出るなり犯人の一人と遭遇した龍星の引きの強さに深紅とせりかさんは額に汗を浮かべて苦笑するしかなかった。



次回に続け(笑)



オマケ【今日の万里さん】


「」死~ん。

「ちっ。手加減少な目にした途端にこれだ。おら万里。いつまでも寝てねぇでとっとと起きろ」

ぷす。

「いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」プシュウウウウウウウウ

最近特に良い動きをするようになった万里に褒美のつもりで若干何時もより手加減少な目にしごいた千里が見事に気絶した万里さんの額にデビル・カースを軽くぷすっと刺すと万里さんは即座に覚醒する。

「大袈裟な奴だな。軽く刺しただけだろうが」

「いや千里さん!?俺の額から噴水の様に血が吹き出してますから!?」プシュウウウウウウウウ

「まるで水芸だな」

「そんな身体を張った芸は習得したくないですから!?」プシュウウウウウウウウ

「うるせぇ」ズドゴンッ!

「ぷげらっ!」めきょ

いつまでも叫ぶ万里さんを千里は拳で黙らせる。

良く見ると千里の顔には一筋の切り傷がついていた。

「ま、この短期間で俺の顔にデビル・カースをかすらせる事が出来たんだ。後一月も地獄すら生温い修業を積ませりゃ良い感じに仕上がるか」

地面に顔をめり込ませた万里さんを見ながら千里は笑みを浮かべながら呟いた。

「・・・・・・とはいえ、余り時間もねぇか。さっさと強くなれよ万里。今度こそ大事なもんをその手で護れるようにな」

エビルズタウンの方を睨み付けながら千里は手に持ったデビル・カースを肩に担ぎながら万里さんの足を掴むと地面から万里さんを引き抜きそのまま引き摺って歩き出す。

何やら【がすっ】だの【ごん】だの何かがぶつかる音がするが千里は気にせず小屋まで戻った。その結果、万里さんが更にズタボロのボロ雑巾の様になったのは言うまでも無い。


終われ(笑)

せりかさん大活躍(笑)

潜入のお供に段ボール(笑)


・・・・・・万里さーん(泣)

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