第13夜
足長編しゅーりょーです♪
足長軽。
彼の二つ名は『賭博銃士』
その名の由来は彼の能力にあった。
彼の能力の一つであるクイックリロード。
これは彼が持つ多種多様な属性弾やノーマルな弾丸から一発を自動的にトンプソンのチャンバーにリロードするという能力だ。
但し選ばれる弾丸は足長の意志とは関係無く選ばれる為、彼自身にもリロードされた弾丸が何の弾丸なのかは発射しヒットするまで分からないという非常にギャンブル性の高い能力になっている。
故に・・・・・・。
ズダンッ!
足長の放った弾丸が牙狼鬼にヒットし牙狼鬼の負った傷が回復していく。
「あ、回復弾だった(汗)」
「足長ぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
故に敵を回復させる事もあったりする(汗)
「うぉいっ!?何やってんだよ!」
「うぅ、私達の苦労が水の泡・・・・・・」
男性は猛り、菊花は落ち込んだ。
「足長」
「うぃっす(汗)」
足長は龍星に言われて再びトンプソンのトリガーを引く。
発射された弾丸は牙狼鬼にヒットするとヒットした部分から凍り付いていく。
だが、牙狼鬼は意にも介さず雄叫びを上げ龍星達に襲いかかって来る。
「今度は氷結弾ですけどあまり効果は無いですね」
「て事は奴は氷属性って事か?」
「た、多分そうだと思います!炎撃符が当たった時に牙狼鬼は大ダメージを受けてました!」
龍星が牙狼鬼の攻撃を捌きながら考えていると菊花が叫んで龍星に教える。
「なら、属性的には俺と相性が良いって事か!」
龍星は捌きながらスウェンガナルDに炎を纏わせる。
「グルッ!?」
スウェンガナルDが纏った炎を見て狼牙鬼の表情が一瞬険しくなる。
「ふっ!」
龍星は息を短く吐くとスウェンガナルDを狼牙鬼に向かって降り下ろす。
しかし、狼牙鬼はスウェンガナルDを避けると龍星から距離を取る。
「・・・・・・まだ駄目だな。こんなんじゃセイさんから殴られちまう」
龍星はスウェンガナルDを構えると目を閉じる。
「足長。しばらく狼牙鬼の足止めを頼む。後少しで感覚を取り戻せそうだ」
「了解!」
足長は龍星の要請に応え、狼牙鬼の足止めに入った。
足長の持つトンプソンから弾丸が発射されクイックリロードで瞬時に弾丸が転送される。
因みに足長はコートの裏側に常時弾丸を仕込んでいる。
その数は百発以上に及ぶ。
しかもクイックリロードのおかげで弾丸を籠める事無く撃ち続けられるのだ。
足長の持つトンプソンはある種の拳銃型機関銃とも言えるだろう。
(剣を自身の一部とし自在に操れ。てめえの身体を自在に操れなけりゃ皆を護るなんざ夢の又夢だぞ!)
龍星の脳裏に嘗て初めて剣を握った時にセイガーから言われた言葉が浮かぶ。
「セイさん。貴方の教えは今も俺の中に生きてたよ」
龍星は微笑むとスウェンガナルDの柄を握り締めながら自身の気を通す。すると、まるでスウェンガナルDに自身の血が通うかの様な感覚が龍星を包み込んだ。
今、スウェンガナルDは龍星を主と認め本当の意味で龍星の愛剣となったのだ。
「スウェンガナルDが俺に馴染んでいく。これなら、セイさんの秘剣も使えそうだ」
セイガーより教え込まれた秘剣・業火剣嵐と百火繚嵐は今までの龍星には使えなかった。
どちらも殺傷能力が高い為に龍星は使う気がしなかったのだ。
だが、今ならば使える。
不殺の剣であるスウェンガナルDならば、相手を殺さずに済むのだ。
「俺の未熟は百も承知。だが!」
龍星がスウェンガナルDの刀身に炎を収束させる。
「俺は今、師匠セイガー・レンフォードの技の全てを受け継ぐ!!猛れ爆炎!」
龍星が叫ぶと同時にスウェンガナルDの刀身を凄まじい炎が包み込む。
「退け、お前等ぁぁぁぁぁっ!」
龍星の怒号に足長達が牙狼鬼から距離を取る。
「秘剣・業火剣嵐!」
それと同時に龍星がスウェンガナルDを突き出し炎の渦を牙狼鬼に解き放つ。
しかし、牙狼鬼は炎の渦に巻き込まれる前にジャンプして業火剣嵐を避ける。
「温いわ!!」
「間抜け。業火剣嵐はフェイントだ」
「なっ!?」
龍星は牙狼鬼が業火剣嵐を避けるだろうと予測しており、既に次の行動に移っていた。
「受けろ!活殺・百火繚嵐!!」
龍星はスウェンガナルDの峰を返すと高速でスウェンガナルDを奮う。
ズガガガガガガガガガッ!
そして地面に着地すると未だに空中に居る牙狼鬼を見上げる。
「・・・・・・炎の花吹雪に包まれな」
ブオンッとスウェンガナルDを横に奮うとそのまま肩に担ぐ。
その瞬間、牙狼鬼が炎に包まれながら地面に落ちて来た。
牙狼鬼の身体には無数の打撃痕がついており、牙狼鬼自体は白目を剥いていた。
気絶した牙狼鬼に封力錠をかけた龍星と足長は男性と菊花と向きあっていた。
「さて、分かっていると思うが今回の件についてだが・・・・・・その前にお前等の名を聞いておこう」
「はい。私は先程も言いましたが陰陽庁エビルズタウン支所所属の陰陽師の雷野菊花です。此方は私の兄で・・・・・・」
菊華が男性を見て紹介しようとするが男性はその前に自身の名を名乗る。
「雷野双拳だ」
「雷野?て事はお前等依頼人の弟妹か?」
「そうだ」
龍星が尋ねると男性・・・双拳はぶっきらぼうに言い放つ。
「成る程ね。敵討ちって訳ですか。・・・・・・あんた等自分達がどれだけ無謀な事を仕出かしたか分かってるのか?」
足長が呆れた様に双拳と菊花に言うと双拳はキッと足長を睨み付ける。
「黙れっ!貴様等の手を借りずとも牙狼鬼は俺と菊花で倒せたんだ!」
「お、お兄ちゃん!」
双拳が足長に食って掛かると菊花が慌てて双拳を引っ張る。
「兎に角!今回の事は依頼人に「その必要は御座いません」ん?」
龍星の言葉を遮りながら暗闇から現れたのは雷野家の執事Kであった。
Kが現れると同時に双拳と菊花の顔色が青を通り越して白くなる。
「連絡が取れなかったので捜しに来てみれば・・・・・・何をされているのですかな?」
静かに双拳と菊花に言うKが二人に近付くと二人は揃って後ずさる。
「さ、左島さん(汗)」
「・・・・・・足長、黙っていた方が良い(汗)」
Kが醸し出す迫力に龍星と足長も思わず後ずさる。
「け、K。ね、姉さんの方は・・・・・・」
「雪華様のお世話は雫と霙に任せております」
双拳が震えながらKに言うとKはニッコリと笑いながら更に双拳と菊花に近付く。
因みに雫と霙とはKの配下のメイド姉妹で姉が雫、妹が霙である。
ついでに言うと二人共雪女である。
そして・・・・・・。
「この!馬鹿弟子共があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「JETっ!?」
「きゃうっ!?」
二人の前にKが立つとKは双拳の顎をアッパーで打ち抜き菊花の頭に拳骨を落とした。
尚、Kは双拳の武術と菊花の術の師匠である。
因みに足長と龍星はKの攻撃を見切る事が出来なかった。
「つ、つえぇ(汗)」
「流石は鬼なだけはあるな(汗)」
龍星と足長がぽつりと呟く。
この二人、完全に蚊帳の外である。
「お二人の余りの自分勝手な行動にこのK!剛拳様と此花様に顔向けが出来ません!」
Kが胸ポケットからハンカチを取り出すと目元を拭う。
因みに打ち上げられた双拳は今大地に落ちてきた(笑)
尚、剛拳・此花は雪華・双拳・菊花の親で二人共既にこの世には居ない。つまり故人である。
「かくなる上はお二人に更なる修行を施すのみ!さあ、来なさい!このKめがみっっっっっちりと鍛え直して差し上げましょう!」
Kは二人の襟首をむんずと掴むとそのまま龍星と足長に向き直る。
「という訳で御座いますので、申し訳ございませんが私はここで失礼させて頂きます。此度は誠にありがとうございました。双拳様と菊花様のご無礼の御詫びはまた後日に」
Kは双拳と菊花の襟首を掴んだまま優雅に一礼すると二人を引き摺りながら歩き出した。
「け、K!ふ、服脱げちゃう!お臍見えてるからぁ!///」
「・・・・・・」死〜ん(笑)
菊花は顔を赤くして叫びながら、双拳は気絶したままKに引き摺られてエビルズタウンの闇の中へと消えて行った。
「・・・・・・執事って本当に強いんだなぁ」
「・・・・・・あの執事さんなら牙狼鬼退治出来たんじゃね?(汗)」
後に残された足長と龍星は呆然と呟くのであった。
その後、牙狼鬼をギルドに引き渡した龍星はギルドの入り口前で足長に礼を言った。
「今回はありがとう足長。お前さんが居なかったらスウェンガナルDをモノに出来なかった」
「いえ、此方こそ良い勉強になりました」
龍星と足長は互いに笑みを浮かべながら握手を交わした。
「足長はこれからどうするんだ?」
「無論エビルズタウンでハンターやりますよ。何かあったら何時でも声をかけて下さい」
「・・・・・・なあ足長。その敬語を止めてくれないか?」
「え?」
「俺達は互いに命を預けて戦った仲間だろう?なら敬語は無しだ。俺の事は龍星で良い」
龍星の提案に足長は暫し考え込む。
「・・・・・・なら、俺の事も足軽で良い。親しい奴にはそう呼ばせている」
「オッケーだ足軽。同じエビルズタウンのハンター同士、これからも宜しく頼むぜ?」
「ああ。こちらこそ宜しく龍星さん」
この後、龍星は足軽に自身のケータイ番号とうさぎ屋の場所を教えた。
報酬の半分を渡す為だ。
「じゃあこれで」
「ああ。またな足軽」
挨拶を交わし龍星はうさぎ屋に、足軽は自身のねぐらに向かって歩き出すのであった。
尚、うさぎ屋に戻った龍星はスウェンガナルDを取りに風流堂に行っただけなのに、矢鱈と帰りが遅くなった(朝出ていって深夜に帰って来た)為心配していた芹香を筆頭とする女性陣と芹香に相談されうさぎ屋にやって来ていた美桜にしこたま怒られたそーな。
教訓・帰りが遅くなる時、又はそのまま仕事に行く時はきちんと連絡しましょう(笑)
次回はうさぎ屋の住人残り二名を出しますかね。
予定は未定の大崩になるかもですが(汗)