『ぽんくん 頑張る!』 (その3)
【(四)○○○姉さんに花束を♡】
『ぽんくん 頑張る!』
(その3)
3、
さあ、いよいよ私たち『狸さんチーム』のゲームを始めますか!
ここで、改めてメンバーを確認しておきましょう。
「私」、ぽんくん、わらしくん、花子ちゃん、隠れ里のたぬきっ娘姉妹 2人、隠れ里の子だぬきちゃんたち 4人。…以上 10人ね。(まぁ、私は直接ゲームには参加しませんけどね)
全員が幻術空間に入ったのを確認すると たぬちゃん が入口を閉じました。さあ、私たちはもうゲームをクリアするまで外に出れません!
(…そういう設定。けど、チビちゃんたちには教えていません)
皆んなは閉じ込められた事に気付いたけど、でもまぁ私が一緒に居るからね。それほど気にしてないかな?
中に入って最初の部屋は薄暗くて狭くて正面に大きな扉があるだけ。特に開けるための指示もヒントも何も無くて、ただポツンと扉があるだけなのだ。コレは最初から難しい謎解きを持ってきたわねえ。
私も、仕掛けられている謎の内容は教えてもらって無いので開け方は判らないのよ。
皆んなには『謎を解いて扉を開けて先に進む』というルールだけは
教えてあるので、それぞれ扉を叩いたり押したりして色々と試している。
もちろんそんな簡単な事では開かない。皆んなは「ああでもないこうでもない」と言いながらアッチコッチと扉を確認している。
私も皆んなが調べている後ろで見守りながら扉を観察してみた。
そう言えば、大家くんは「皆んなで協力しないと謎解きのクリアは出来ない」みたいな事を言っていたわよね。
ふ〜ん「皆んなで協力」かぁ……。
……『!』あぁ、そういう事か!
どうしても開きそうも無いので皆んな途方に暮れてしまったみたいだわ。仕方無いよね。チビちゃんたち相手に最初からコレは難しいって!
だから、ちょっとだけアドバイスしてみた。
「皆んなバラバラに扉をイジるのをやめて、全員扉の前に立ってみて。良い?じゃあ、皆んな一緒に一斉に扉を押してみてごらん」
私の言った通りに皆んなで一斉に扉を押すと呆気なく開きました。
皆んな、歓声をあげて喜んだ。
「砂かけお姉ちゃんすごい!」
あらまあ、 ぽんくん が目を丸くして感激してる。彼は姉の たぬちゃん と違って普段はあんまり感情を顔に出さない子なので珍しい事だわねぇ。
…では次の部屋に進みましょう。
今度の部屋はちょっと広いわね。
ん?んん?部屋の何処にも扉が見当たらないのですけど?
振り返ると今まで居た狭い部屋の扉も消えていた。
なるほど、またも閉じ込められたと言うワケね。
「あ、紙が落ちてるわ」
部屋の中を見渡していた花子ちゃんが地面に落ちていた紙を拾って
書いてある文章を読み上げる。
【この部屋の中には何処かに扉が隠されています。皆んなでチカラを合わせて探してください】
だそうです。
ふむ、次はそう来ましたか!
部屋の中はどんな感じなのかと言いますと、見た目は床も壁も天井も全て石造り風で正方形型。
照明も何も無いのに部屋全体が明るいのは、たぶん幻術で造った空間だからかな?
『この部屋の中には何処かに…』と言っても、コレだけ何も無い部屋の何処を見れば良いのやら私にも全く見当がつかない。
さて、チビちゃんたちはどうするのかな?と見てますと、皆んなで四方にバラけてそれぞれ壁を叩きながら歩き回ってますね。
おや?花子ちゃんがさっき紙が落ちていた場所を動かずにジッと見つめてる。何でしょう?
ん?今度は足で床をドンドン踏んでますね。
次は少し離れた場所に移動して同じ様に床ドンをして、また移動してそこでも床ドン。
それを何か所かで繰り返してから、また元の場所に戻って来た。
お、皆んなに声をかけてその場所に集めてます。
で何かしら皆んなに説明して、そして全員が一斉にその床に足ドンをしたその瞬間、皆んなが居る一帯の床がゴゴゴと下に向かって降りて、なんと床下にあった隠し部屋が現れたのでした!
もちろん、その部屋には次の部屋への扉がありました。いやぁ、お見事です花子ちゃん!
『あやかし』と言うよりも『幽霊(幽体)』に近い彼女は、何事にも動じる事無く常に冷静に物事を見ているので、その場所の床下に空間がある事を音の違いで把握したのでしょうね。
そして、自分一人だけでは無理だと判断して、先ほどの扉の開け方を参考にして皆んなでやってみた…って感じかな?
あ、なるほどね。あの紙は落ちていたのでは無くて、そこに『置いてあった』って事なのね。
良し良し『狸さんチーム』は順調に行ってますわね。
さて、次の部屋はどんなかな?
皆んなが扉を抜けて次の部屋に入ると、さっきと同じ様にその扉は閉まって前の部屋には戻れなくなった。(まぁ、戻る必要も無いけどね)
次の部屋は前よりも狭くて円形のホールになっていた。周囲の壁には、私たちの人数分以上の『沢山の扉』が等間隔で並んでいる。
ほぉ~、今度は前の部屋とは真逆なのねぇ。
「あ、今通って来た扉になんか文字が出て来た!」
周囲を見渡していた わらしくん が、開かなくなった前の部屋の扉にメッセージが浮き出したのを見つけた。
【たくさんある扉にはアタリとハズレがあります。皆さんはそれぞれ好きな扉の前に立って、一斉に同じタイミングでノックして下さい。皆さんが選んだ扉が『全部アタリで正解』ならば、チャイムが鳴って一つだけ扉が開きます。
その開いた扉を選んだ人が、ラスボスと戦う事になります】
しばらくすると次のメッセージに変わった。
【1、扉をノックするタイミングが全員で合わないと、その扉がアタリであってもチャイムは鳴りません。
どなたかひとり、号令をかける人を決めた方が良いでしょう。
2、ラスボス部屋に向かう扉は『全員がそれぞれの扉の前に居る時だけ』開いています。つまり、選ばれた人以外の人が自分の選んだ扉を離れて代わりにラスボス部屋に行く事は出来ません。
以上です。ラスボス戦に選ばれた人は頑張ってくださいね♪】
…いやいやいや!たぬちゃん、あなた 短い準備時間で良くこんな複雑な内容の幻術空間を構築出来たわねぇ!
以前から『凄腕の幻術使い』だとは思っていたけど、私が想定していた以上の『凄腕』じゃないの!
大家くんもそう!
物事を思い付く発想力が凄いし、何しろ頭の回転が速いわよね!
さすが、私にはまるで理解不能なパソコンの複雑なプログラムやら何やらを使いこなして、とんでも無い金額の財産を築いた人だけあるわぁ…!
さて、肝心のゲームの方なんだけど、各自が扉を選んで全員がタイミングを合わせてノックするだけ。の簡単な内容とはいえ、まずこの人数で扉を選ぶだけでも何通りも組み合わせがあるし、幼いチビちゃんたちが皆んなでタイミングを合わせるのだってかなり難しい作業よね。
だもんで、何回も何回も繰り返してチャレンジしてるんだけど、どうしても上手く行かない。
あぁ、コレはチビちゃんたちには無理かも…と、思っていたら わらしくん が「皆んなちょっと待ってて」と言ってホールの真ん中に進んで立ち止まり目を閉じた。
あ、コレは何かしら妖力を使っている気配を感じるわ。そして…、
「皆んな、今から僕が指定する扉の前に立ってください」
と全員に声をかけて次々と扉を指差して行った。チビちゃんたちは順番に わらしくん が指した扉の前に進み、そして彼以外の全員が扉の前に立った。で、目を開けた彼は私の方を見てニッコリ♪
「砂かけお姉ちゃん、僕が扉の前に立ったら大声で号令をかけてください。どうも僕たちの号令だと上手く行かないみたいなの」
あぁもう!私は直接ゲームに参加しない段取りなのに、可愛い『弟』に頼まれちゃったらお姉ちゃんやるしか無いじゃないの♪
「はいはい。じゃあ良い?行くわよ!…はい!ノックして!!」
と言う事で、私の号令でチビちゃんたちは一斉にノック!
すると『ピンポ~ン♪♪』とチャイムが鳴り響き一つの扉が開きました。
そして、その扉の前に立っていたのは、「……え?僕なの?」
ええ、予想してましたよ。だって、このゲームを造ったのは『彼女』ですものね!
そうです!開いた扉の前で呆然として立っていたのは、『彼女』の弟の『ぽんくん』でありました!




