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気付いたら、異世界。  作者: hinase
*第一章
7/7

05 転寝と夕食


鍵に書かれた番号と同じプレート掛かった扉の鍵を開けて中に入ると、シンプルな作り部屋の中には小さな机と洋服掛け、ベットだけが置かれている。


琥珀は脱いだローブとリュックを椅子にかけ、横にあるベットに倒れ込む。


なんとなく、ベットは堅くて眠れないものを想像していたが、背中に伝わる感触はとても柔らかくてふかふかで、むしろ今までよりも気持ち良く眠れそうだった。


琥珀は斜めに倒れ込んだまま、大の字になってぼーっと天井を眺める。


(子供だからって変に詮索してきたり、気を使ったりするタイプの人じゃなくて良かった……)


そんな事を考えながら目を閉じてゆっくりしている内に、自然とそのまま眠っていた。





暗くなった室内でベットから体を起こして軽く背伸びをすると、琥珀は腕時計で現在の時刻を確認した。腕時計には、19時を少し過ぎた時間が表示されている。


ゆっくりと起き上がった琥珀は見慣れない景色を見渡して、そう言えば異世界に放り出されたんだっけと思い出しながら、椅子に置いたリュックを手繰り寄せた。


中からスマートフォンを取り出し、明かり代わりして室内を照らす。


扉の横の所にスイッチを発見したので押してみると、ベットの真上にある壁の上部に掛かっているランプが点灯し、部屋の中がパっと明るくなった。


真っ暗な所から急に明るくなったので、少し目が痛い。


スイッチの下にあるつまみで、強中弱の三段階で光度を調整できるようなので、強の所に合わせてあるレバーを中に変更して少し明るさを落とす。


乱れたベッドを整え、椅子に腰掛けて一息吐いた後、すぐに必要になりそうな物だけでも用意する事にした。


いつも使っているのと同じバスタオルとフェイスタオルの新品を色違いで6枚(黒とグレーと白を各2枚ずつ)と、体を洗うためのボディタオルを3枚(青、黄緑、橙)、飴色の櫛、檜の風呂桶、シャンプーとリンスとボディーソープを2セットずつ。今着ている物と同じ服と下着を一揃え。歯ブラシセットとマウスウォッシュ、うがい用に木製のコップを作り出した所で、一旦休憩。


お昼に出したペットボトルのミネラルウォーターで喉を潤し、テーブルの上に置いてあったスマホを確認する。


この世界にくる前に46%まで落ちていた充電が100%に回復し、圏外表示になっている以外は、特に変わりはないみたいだ。


メモ代わりに使おうかとも思ったが、使うのは部屋の中だけにして、持ち歩き用には明日こちらでも違和感がなさそうなメモ帳を購入する事にする。


ついでに、長めの袖で隠れているとはいえ、こちらの世界では目立ちそうな腕時計も外しておく。


長財布、スマホ、ミュージックプレーヤー、イヤホン、腕時計などは、全部まとめて濃紺色の巾着に入れ、リュックの外側に付いている蓋付きのポケットに仕舞った。


反対側のポケットには、2万バルグ(銀貨2枚)を入れた黒い巾着を仕舞う。


残りのお金は小銭入れに仕舞い、鍵と一緒にズボンの後ろポケットへ捩じ込み、街ですれ違った人達の格好を参考に、違和感の無いよう服を作り替える。


最後に、アイテム収納付きのピアスを作ってみたら、体からごっそりと魔力が抜けて行く感覚がした。


どうやら、マジックアイテムの作成には大量の魔力が必要みたいだ。


昼間にリュックをマジックバックにした時にはそれほど大量の魔力を消費した感覚は無かったので、既存の物を作り替えるより、新しく一から作り出すほうが消費量が多いのかもしれない。


体感的には、作れたとしても後2個、無理すればギリギリ3個ぐらいは作れそうだが、限界まで魔力を消費した時にどうなるかが不明なので、一つで止めておく。


出来上がったピアスは左耳に嵌め、テーブルの上にあるリュックを収納してみる。


何度か出し入れしてみたが特に問題はないようなので、椅子に掛けていたローブも収納し、照明のスイッチを消して部屋を出る。


扉にしっかりと鍵が掛かった事を確認してから、食堂兼酒場へ向かう。



入り口は木製のウエスタン風スイングドアになっており、扉の手前に宿泊客向けのメニューが貼られた立て看板が置かれていた。


メニューは2種類で、跳び兎のシチューかレッドボアのステーキのセットから選べるみたいだ。スープとパンはおかわり自由らしい。


扉を開けて中に入ると、大体半分ぐらいの席が埋まっていた。


殆ど人の座っていないカウンター席の椅子を引いた所で、後ろからやってきた背の高い青年に声をかけられる。


「いらっしゃい!」


ポケットから取り出した鍵を見せ、シチューのセットを注文する。


「はいよ! 飲み物は何にする?」

「えっと……」


メニューを探してきょろきょろと辺りを見回すと、青年が奥の壁を指差してメニューのある場所を教えてくれる。


「ちなみに、お茶と水はタダだよ。果実水とかエールだと追加料金が掛かるけど」

「お茶でお願いします」

「はーい、すぐに持ってくるからね!」


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