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メリーゴーランド  作者: 湊 亮
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「親が、この職場にしろ、って言ったからじゃないか。親のせいなんだ。」


「周りの人が、ここにしろ、って言ったから、決めたんじゃないか。周りの人のせいなんだ。」


である。


そして、自分の進路について意見した、両親、友人、知り合い、指導教官、周りの人々を恨み始めるのである。


そして、同時にしばらく疎遠になっていた友人や知り合いに今の境遇を嘆き始めるのである。


「助けてくれ。」


「こんなに俺はかわいそうなんだ。」


「聞いてくれ。俺に安定した理想郷を見つけてくれ。」


と嘆くのである。


しばらく疎遠になっていた大学時代の友人で、私の「わがまま」に付き合ってくれて、職探しに協力してくれた人もいる。


本当に彼には、感謝しかないのだが、当時の私は、「新しい職場」が欲しいのではなく、「安全基地」が欲しかったのである。


彼の協力を無下にする結果となった。


本当に申し訳ないと思っている。


その当時は、「自暴自棄」という表現が、私にはぴったりだったと思う。


常に「不安」「劣等感」にさいなまれているのである。


そこで、ここでもまた私は、「得体の知れないもの」にすがるのである。


そのすがり方は、ひたすら両親に、つらさを訴える、という屈折したすがり方なのである。


「ああ。つらい。苦しい。死にたい。」


である。


これは、今となってわかるのだが、無意識に、そして、間接的に、両親に「復讐」しているのである。


過酷な戦場で育った少年の心からの「叫び」をひたすら吐露することで、両親に「罪悪感」を植え付けようとしているのである。


かつて、少年が何度もされたように。


「あんな悲惨な戦場で俺を育てやがって」


「恐怖と不安を植え付けやがって。」


「罪悪感と劣等感を植え付けやがって。」


「無関心に育てやがって。」


「便利な道具にしやがって。」


「お前らのせいで、何にも楽しくないぞ。どうしてくれんだ。」


「お前らが言うように、戦場を走り切っても、断崖絶壁を走り切っても、ちっとも幸せになれないではないか。」


という心の「叫び」を表面的には、両親に「つらい」「苦しい」と訴えているのである。


少年は、ただ「幸せ」になりたいである。


その方法を知りたいのである。


「幸せ」になろうと思って走っても、全然「幸せ」になれないのである。


その原因が、「自分がないから」だとは露にも思わないのである。


「自分が支配されているから」だとは、考えられないのである。


ただただ、自分の悲劇を嘆くのである。


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