第十話「イブとイブ」
「では、向こうのアダム(ようこう)に伝えてくださいね!」
「分かりました」
――。
「アダム(ようこう)。話があります」
「ん? 何?」
「アダムのこれからについてです」
イブが一呼吸置く。
「俺のこれからか」
「はい、アダム。これからアダムは大変な思いをします」
「その前に聞きたいことがあるんだが」
「何でしょう?」
「俺は一人暮らしは後2,3年後にやると思っていた」
「はい」
「しかし、お母さんと喧嘩してトントン拍子(後2,3か月後)で一人暮らしすることは決まった。これって向こうの俺達のシナリオ?」
「そうですよ」
「マジか」
向こうの俺達め。やりやがる。まあ、俺は一人暮らししたかったし好都合だが。
「で、その大変なことについてだが具体的には言える?」
「ネタバレは禁止なので具体的なことは言えませんが」
「が?」
「これから、アダムにとってきついことが起きます」
「きついことか」
「はい、覚悟はおありですか?」
「勿論、もうずっと前から覚悟は決めているよ」
「そうですか?」
「話は以上?」
「はい」
俺は考えなければならない。俺のこれからについては勿論、そして本当に覚悟を決めきれているのか。もし、想定外なことが起きたらどうするか。俺の人生は宇宙一難しいとイブは言う。本当にそんな人生を俺はやり切ることが出来るのだろうか?
まあ考えても仕方がない。とりあえず、今の俺に出来ることは目の前のことに真剣に取り組む。それだけだ。