表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
十章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/164

89話 回想2:下調べ

「なんか、豪快な感じの人ですね」

「スパッといくっていうか、即断即決っていうか」

「おかげで苦労しっぱなしですよ……」

 現地の案内をしてくれる者達にカズヤはぼやきを述べた。

「よくあれで生き残ってたなって」

「確かに」

 この世界、ノリと勢いだけで動いたら確実に死ねる。

 ノボルはそこまで考え無しでも無謀でもないが、思いつきとその場の勢いで物事を決める事がある。

 そういった判断や決断もあながち間違ってないから良いのだが、時々危なっかしく思えてしまう。

 ここ数ヶ月は特にそう感じる事が多い。

 ノボルに特別変化があったわけではない。

 カズヤの積み重ねた経験と身につけた技術とレベルがそう思わせるようになったのだ。

 危機管理などに直結する技術があるわけではない。

 だが、必要と思って身につけてきた技術に含まれてる断片的な情報や手法が教えてくれる。

 一つ一つは小さなそれらも、集まれば幾分効能をもたらしてくれるようで、ノボルの持ってる危うさを感じさせてきた。

 それは長所と表裏一体の問題なので無くす事は出来ないのだが、今そこにある危機を教えてくれる。

「どうにかした方がいいと思うんですけどね」

 現地の案内をしてくれてる者達に漏らす言葉は、ノボルについて感じる感想のまとめでもあった。

「ま、それは置いといて。

 場所を教えてください。

 後で回る事になるでしょうから」

「ええ、それじゃ一番近い所に」

 そう言ってカズヤは現地の者の車でヨドミを巡っていった。



 それぞれの正確な位置を携帯電話のカメラで撮影していく。

 買ってきた地図にも書き込み、注釈もポストイットで加えていく。

 教えてくれた住所だけでは分からない細かい部分を加える事で確実な情報にしていった。

 全部で三カ所のヨドミを周り、その位置を把握していく。

 現地の者達によれば、ヨドミは他にもあるという事だが、それらは彼等で対処するとの事だった。

 また、どうしても回りきれず封印派に渡ってしまうものも出てくるだろうとも。

 それでも位置だけはっきりさせておけば、あとで再度破壊に行く事も出来る。

 なので、発見されてるヨドミについてはある程度は楽観していた。

 問題なのは、こちらが見つけてない場所である。

 封印派も見つけてないなら良いのだが、もし発見していたら対処のしようがなくなる。

 出来るだけ封印派の動向も追いかけてるとの事なのだが、全てが分かるわけではない。

 少しでも早く一つでも多く見つける事が何より求められていた。

 だからこそ、先に見つける事が出来たヨドミは貴重だった。

 どうにかして先に破壊し、悪影響を排除したかった。

 すぐには無理だし、それだけの余裕もないのが辛い。

 ヨドミをめぐり、場所を粗方把握した所でノボル達の所へと戻っていく。

 これから三人でそれらを潰して回るにしても、今日一日でやるのは無理である。

 二日か三日はかけてじっくりとやっていかねばならない。

 消耗からの回復を考えればそれくらいの展開が丁度良い。

 それ以上だと生命も気力も危険な水域に入ってしまう。

 どれほど急いでていても無理は出来なかった。



「じゃあ、次に行ってみるか」

 安全の確保を無視するようにノボルは言いはなった。

 そうなるだろうと思っていたが、カズヤはため息を吐くしかない。

「まあ、まだ二回目だからどうにかなるでしょうけど」

「なーに、三回は行けるって」

 かなりの無茶を口にしてくる。

 ノボルの能力を考えればそれも無理ではないが、出来る限りの安全性は確保したかった。

「それは控えましょう」

 窘めるには至らないが、制止するようにノボルにうったえる。

「ただでさえノボルさんは弾けてるんですから」

「そうか?」

「保障します。

 どこからどう見ても飛んでます。

 空のてっぺんを突き抜けて、宇宙に飛び出るくらいに」

「そりゃあ凄いな」

「少しは地面に足をつけて生きてください」

 切なる願いである。

 出会った頃から一緒に行動してるカズヤの負担は尋常ではない。

 レベルを考えればおかしな話しなのだが、他の仲間が忌避してるので仕方が無い。

 マキを除いた大半は、少々の無茶と無理を通そうとするノボルとの行動を避けようとしている。

 それが相応の実力を背景に、その範囲で確実にこなせる範囲であるのは誰もが認めている。

 なのだが、その上で『限界の手前で控える』か『限界の少し向こう』に踏み込むかの違いが出ている。

 安全性を考えるなら当然前者なのだが、その慎重さが時に機会を逸する事もある。

 それならば少しくらいは無理をしよう、というのがノボルの考えだった。

 命がけの作業をしてる者達にとって、そのちょっとした無理が危険に思えてならないのだろう。

 また、ノボルの実力からすれば妥当でも、他の者達にとってはきつい負担にもなりえる。

 レベルの差がそれを生み出している。

 ノボルの身につけてる技術は他の者達より多めであり、そのレベルも幾分高いところでまとまっている。

 少々の無茶をしてきた結果、他の者より修養値を手似入れる機会が多かったためだ。

 おかげでレベルも比較的早く上がり、安全性の確保につながっている。

 レベルの高さは確実で安全に化け物退治とヨドミの破壊を可能とする。

 連続したヨドミへの突入も可能となり、より多くの成果を手にする事にもなっている。

 ノボルからすれば無理をして連戦という事ではない。

 出来る範囲でそれだけの事を為しえているのだ。

 だからこそ、本日も二回目のヨドミ突入に赴こうとしている。

 更にその後にも。

 カズヤが止めようとするのも当然である。

 ノボルは良いが、付き合うマキとカズヤの負担は大きい。

 ヨドミの中における戦闘などに負担が大きいわけではない。

 どれだけノボルが強くても、ヨドミに突入してユガミを倒すまでにかかる時間と労力がある。

 連続で突入するとなるとそれが結構な負担になるのだ。

 単に戦って倒す事だけ考えてるわけにはいかない。

 付随する様々な手間を考えると、ヨドミへの突入回数はある程度おさえねばならなくなる。

 だからこそ止めに入っている。

「じゃあ、次の所で切り上げるか」

 ノボルもそこは承知してる。

 お互いに無理にならない範囲で止めるくらいの理性は持っていた。

 あてにならない時もあるのが問題だったが。

「今日は次で帰りましょうね」

「嫌だって言っても連れて帰るから」

 マキもカズヤに続く。

「分かってるって」

 その返事をどこまで信じてよいか、カズヤはいまだに掴みかねていた。

 続きは明日の17:00予定。

 誤字脱字などありましたら、メッセージお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ