↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
七章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/164

68話 回想:連鎖

「おつかれさん」

 外に戻ってきたカズヤにノボルが声をかける。

「これで、ここは片付いたよ」

 とも言ってくれる。

「あとは家にこびりついてるのだけど、これはすぐには無理だ」

 屋根にまでいるのだから仕方がない。

 そちらは後日何とかする事となった。

「あとは、お前の家族がどうなってるかだな」

 まだ問題は片付いてるわけではない。

 カズヤに取り憑いていたように、化け物が家族に絡みついてる可能性があった。

 それらも確かめて対処しておかねばならない。

 ノボルは家族が帰ってくるまでは近くで張り込んでいるつもりであるという。

「ただ、さすがに家の中に居座るわけにもいかないだろうから、お前に協力してもらいたい」

 異論はない。

 出来るだけの事はするつもりだった。

「とりあえず、塩とか用意しておけ。

 それと、何かあったらすぐに連絡を」

 そう言ってトランシーバーをカズヤに渡す。

 携帯をもってないカズヤにはありがたい。

「あと、親父さんの会社にも飛び火してる可能性がある。

 出来れば職場の場所とかも聞き出しておいてくれると助かる」

 そこまでやるのかと思ったが、家の事を考えるとそうするしかないのかもと思える。

「学校とかもな」

 事はまだ終わりそうもなかった。



 カズヤの所から始まったのか、あるいはカズヤの所が通過点なのかは分からない。

 しかし、取り憑いた化け物が人に寄生してあちこちに移動している可能性はある。

 そのため、出来るだけカズヤの家族の事も注視したいとノボルは考えていた。

 カズヤにも取り憑いていたのだ。

 他の家族が免れてるとは思えない。

 その為、トオルの家の外で家族の帰りを待つ事にした。

「仲間にも来てもらう。

 交代で外で見張ってるから」

と言われて少しだけ心強く感じた。

 知らない者達が周囲にいるという事への不安は感じなかった。

 化け物に比べればどうという事もない。

「何かあったらすぐにトランシーバーを使え。

 最悪、家の中から逃げろ。

 まだ一人でどうにか出来るわけじゃないんだから」

 そう言ってノボルは、忘れていた事を思い出す。

「そんでだ。

 お前、この画面出してみろ」

 そう言ってノボルは自分の前に半透明の画面を出現させる。

 ホログラフィ、最近だとAR技術と呼ばれるもののように表れたそれは、どこか見覚えのある作りをしている。

 初めて見るステータス画面だった。

「お前にも出せるはずだ」

 言われてカズヤは同じ物を出現させようとする。

 ノボルの助言もあって出て来たそれを見て、カズヤは自分の状態を目で見える状態で確かめた。

「こいつで自分の状態が確認出来るから」

 そこからステータスの説明を受けていく。

 あわせて修養値と成長についても。

「なんか、ゲームみたいですね」

「そうなんだよ。

 不思議な事に」

 何の冗談だと思ったが、紛うことなく現実である。

 否定する事は出来ない。

 そこにあるという事実を受け入れるしかなかった。

 不便だったり問題があるわけではないので、便利に使う事にした。

(まあ、おかしな事は他にもあるし)

 化け物の存在と、それらが生息してるヨドミと言われた場所などが既に異常だ。

 今更一つ二つ増えてもどうという事はなかった。

 むしろ問題なのは、家族の事である。



 カズヤがヨドミを破壊してから少しして妹が帰宅してきた。

 既に外は暗くなっており、小学生の妹が帰宅するには遅すぎる。

 塾や習い事に通ってるなら仕方ないが、安房家の現状でそういった事をさせる余裕はない。

 前々からおかしいとは思っていたが、理由を問いただすのを躊躇っていた。

 子供であるのは確かだが、もう自分なりの考えももってる頃合いだ。

 下手に踏み込んでこじれたら厄介だと思っていた。

 しかし、今日起こった事を考えるとそうも言ってられない。

 化け物が何らかの形で関わってるなら無視は出来ない。

 帰ってきた妹に向かいあうつもりでカズヤは、待っていた居間から玄関へと向かった。

 懸念が当たってしまっていたのを目にする事になる。



「……すいません、妹ですけどやっぱり取り憑かれてました」

 トランシーバーでノボルへと連絡を入れる。

『そうか』

 短く言ってノボルは、カズヤに指示を出していく。

『一応そっちに行くけど、お前でどうにか出来るならやってみろ。

 まだそれほど大きくなってないなら、塩をかけるだけでも倒せる事もある』

「そんなもんなんですか?」

『まだ弱い状態だったらな。

 ただ、お前さんに取り憑いていたのとか、ヨドミの中で見たような大きさだったら手を出すな。

 俺が行くまで待ってろ』

「分かりました。

 でも、そんなに大きくも無かったから、塩をまいてみます。

 一応こっちに来てくれると助かります」

『念のために行ってみる。

 玄関の鍵は開けておいてくれ』

「はい。

 なるべく急ぎでお願いします」

 そういってトランシーバーでのやりとりを終えたカズヤは、言われた通りに玄関の鍵を開く。

 それから塩をもって二階へと向かう。

 妹がそこにいるはずだった。

 普段なら部屋に入った妹の所には踏み込まない事にしている。

 今回はそういう遠慮は捨てた。

 状況が状況だった。

 何も言わずに部屋に入り、妹の姿を見つける。

 入ってきたカズヤに目もくれず、布団の上で横になっている。

 体調や気分が悪いのか、あるいはやる気が無いのか。

 化け物に取り憑かれてたいた時に倦怠感を知るだけに、妹が心配になっていった。

 その肩にしっかりと居座ってるのが見えるから特に。

 カズヤの場合ほど酷くは無いだろうが、取り憑かれてるのは変わらない。

 塩を握って化け物へと近づいていく。

 化け物と接触すると『境界』というのが発生する、と聞いていたので物音が立とうと気にしない。

 妹も気づいてないようなので、一気に化け物へと近づいていく。

 それから塩を化け物に向かって投げつける。

 散らばって飛んでいく塩は、化け物にもかぶさっていった。

 小さなつぼみを幾つかつけていた妖花と呼ばれていたものは、それで消散していく。

 投げつけた塩によって妖花は崩れ落ち、消えていく。

 妹に絡みついていた妖花はそれでもまだしぶとく存在している。

 そこに更に塩を投げかけていく。

 しなびていく化け物は存在を保っている事も出来なくなっていく。

「おい、大丈夫か」

 そう言って家の中に入ってきたノボルが妹の方を向く。

 だいぶ弱ってる化け物を見て、心配そうな顔がほぐれていく。

「これなら、大丈夫だろうな。

 そのまま塩をかけていってくれ」

 言われるがままにやっていく。

 化け物は特に何かするでもなく消えていった。

 言われていた通り、塩だけでどうにかなった。

 その事に安堵をおぼえる。

 相手が化け物であっても、ちょっとした道具でどうにかなるのだとはっきりした。

 特に何かが出来るわけでもないカズヤにとって、これはありがたい事だった。

「妹さんも大丈夫みたいだな」

 布団の上で寝転がる妹を見てノボルがそんな事を言う。

 その言葉通り、妹は身じろぎする事もなく横たわっている。

 心なしか先ほどよりも顔色が良くなってる気がした。

 それが化け物を倒したからだとカズヤは信じたかった。



「けど、これで化け物が取り憑いてる可能性は出て来たな」

 ノボルの言葉にカズヤは現実に引き戻される。

 妹がこうであったのだから、他の家族も同様だと考えるべきだろう。

「父さんと母さん、それと弟もですか」

「気が滅入るだろうけど、そちらも可能性はある。

 まだ暫くは様子を見させてもらうぞ」

 断る理由はなかった。

 続きは明日の17:00予定。

 誤字脱字などありましたら、メッセージお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。