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【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
七章

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67話 回想:ヨドミ/ユガミ

 たどり着いた中心地にあったのは、ねじり合わさった茎と、そこから幾つも咲いてる花だった。

 その茎の下、根の部分が伸びてカズヤ達の足下に至る。

 そこに留まらず、それは今までカズヤ達が歩いてきた方向に伸びている。

 化け物どもの生息地であるヨドミ。

 その中心にいる中枢であるユガミ。

 ここに至ってカズヤはようやく知る事が出来た。

 自分らが通ってきた道が、このユガミの根が寄り集まったものであると。

 そして、ユガミが今まで相手にしてきた化け物などとは比べ物にならないほど巨大である事を。



「そんじゃ、やっちゃおうか」

 何も考えてないようにノボルはユガミへと向かっていく。

 それを見てカズヤは、

「あの、ちょっと!」

と声をあげた。

「やるって、何をやるんですか」

「決まってんじゃん」

 足を止める事無くノボルは進む。

「こいつを倒すんだよ」

「どうやって?!」

「そりゃあ、どうにかして」

「そりゃいいですけど、やっちゃおうってどうやればいいんです?!」

「んー?」

 そこでノボルは少しだけ頭を使い出す。

 言われてみればそうだった。

 一緒にやろうというような気で言ったが、カズヤにそんな事出来るわけがない。

 ここに来る間も、化け物どもの相手はさせなかった。

 出来るはずもないので、ノボルが一人で片付けていた。

 当然ながら、ユガミ相手に何かが出来るわけがない。

「無いね、やる事」

 言うまでもない事だった。

「そこで見てて」

「え……」

「あ、塩はまいておいた方がいいぞ。

 自分の周りだけでも。

 化け物はよってくるから」

「え……」

「まあ、がんばれ。

 俺もこいついにかかり切りになるから」

「えええええええ!」

 余りにも酷い放置プレイだった。



 言われた通りに塩をまいていくカズヤの前で、ノボルはユガミに向かっていく。

 幾つもの花の咲かせてるユガミは、近づいて来るノボルに蔦を向かわせる。

 それらをノボルは発生させた炎で焼き尽くしていく。

 何度かそれを繰り返したユガミは、その動きを止めた。

 やっても無駄だと考えたのだろう。

 代わりに咲き誇る花から花粉が飛んでいく。

 細かな粒子であるそれらは、ノボルにまとわりついていく。

 炎で焼かれるものも多々あるが、包み込むように飛んでくる花粉全てをとらえられるわけではない。

 空いてしまう空間がどうしても発生する。

 そこから花粉はノボルに付着していった。

 そこから肌に張りつき、体力や気を吸収していく。

 すぐにでも発芽するために。

 普通ならそこで根を張り、寄生がはじまる。

 相手から養分を吸い取り、死なない程度に生かしていく。

 それが全身至る所に付着していく。

 逃げる事も出来ず、されるがままに養分になりはてるはずだった。

 なのだが、ノボルはそこまで甘くはない。

 全身に気力を張り巡らせ、一気に放出する。

 威力としてみれば小さなものだが、蠢き始めた花粉の粒子を吹き飛ばすくらいは出来る。

 防御に気力を用いる時のやり方の応用だった。

 それによって発芽しようとしていた花粉が地面に落ちていく。

 続けざまに吐き出される花粉も同じ道を辿る。

 ユガミはそれでも吐き出し続けるが、それらの全ては無駄に終わる。

 そうしてるうちにユガミの足下に到着する。

 寄り集まってる根に向けて気を放つ。

 それは今まで通りに炎となってユガミを焼いていく。

 だが、厚みと大きさが増してるせいか、表面を削るも奥まで届かない。

「駄目か」

 呟いてやり方を変える。

 まずは頭上に見える花に向けて炎を撃ち込んでいく。

 火をつけられたそれらは、呆気ないほど簡単に消えていった。

 おかげで花粉の放出がかなり少なくなった。

 あわよくば核でも燃やせればと思ったが、さすがにそこまで上手くはいかなかった。

 だが、安全地帯は確保出来た。

 これで花粉に悩まされる事なく作業が出来る。



 放出する気の形を変えていく。

 硬く鋭くととのえてから放つ。

 金属片となった気がユガミの茎と根を抉る。

 まだ表面を抉る程度だが、火であぶるよりは深く削っていく。

 続けざまに何度もそれを放ち、根っこ近くの茎を斬っていく。

 より合わさって出来ている茎が一つまた一つと切断される。

 降りかかる花粉を払いのけるために攻撃を中断しながらも、妖花を根元から削っていく。

 茎が一つ切断されるごとに、それに連なる部分が地面に倒れていく。

 消えはしないが、支えとなる下の部分を破壊されると重力に逆らえなくなる。

 その調子で削っていった先で、他より太い茎に出くわす。

 それを中心として他の茎が生まれてるようだった。

 おそらくそれだろうと思ったノボルは、生み出す金属片をそこに集中させていく。

 木くずのような破片が飛び散っていく。

 半分も切り崩したところでその茎がゆらめき始めた。

 更に根の方を抉ってやる事で倒れはじめる。

 自重を支えきれなくなった茎は、自らの大きさで自滅していく。

 倒れた太い茎にノボルは鉄の刃を更に打ち込んでいく。

 下の部分から始めて上の方にまで順繰りに。

 歩きながらノボルは、気力で生み出した刃で切り刻んでいった。

 それが中程を過ぎ、先端に至ったところでようやく止まる。

 気力もかなり消耗したが、ようやく当たりを引いた。

「……ここか」

 言いながら刀を、太い茎の先端にあるふくらんだ瘤の部分に打ち下ろす。

 植物のような柔らかさとは違う硬い感触が伝わる。

 このユガミの核だった。

 あとはそこにめがけて何度も刀を振りおろすだけだった。

 抵抗する事もなくユガミは、それで崩壊していった。



 周囲に塩をまいて様子を見ていたカズヤの所にノボルが戻ってくる。

 やってる事に見入っていたカズヤは、無言でノボルを見つめる。

 そんなカズヤにノボルは、

「お待たせ」

と軽く声をかけた。

「じゃあ、逃げるぞ」

と続けて。

 どうして、と聞く事もなくカズヤは従った。

 倒れたユガミを中心にして暗闇が拡がってるのが見えたからだ。

 何が起こってるのかは分からないが、ここに居るべきでないとは何となく推測出来た。

 先を進むノボルに何とかついていきながら来た道を戻っていった。

 続きは明日の17:00予定。

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