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【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
四章

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41話 ??? → 会議

「結構広いな」

 渡された情報を元に地図で該当する場所を確かめていく。

 すると、予想外に広範囲で事件が起こっているのが分かってきた。

 市内全域の様々な場所で事件が起こっている。

 一部は隣接する他の市町村にまで及んでいた。

 場所によって多寡はあるが、どこもかしこも化け物の影響を受けてるように思えてしまう。

 これが封印派の把握してる情報なのだろう。

 今まで渡された情報など比べ物にならないほどの量だった。

 その中で、化け物が多発していて、封印派が数多く行方不明になってる場所を見ていく。

 あちこちに分散してるわけではなく、市内の一カ所に集中している。

 得に何があるというわけでもない、ごく普通の住宅値である。

 いわくや謂われがあるとは思えなかった。

 もっとも、人に取り憑くのが化け物である。

 住宅値というのは、最も根を張りやすい場所なのかもしれない。

「とにかく、ここを中心に探っていこうか」

 仲間の一人が一点を指して言う。

 襲撃が行われた場所だ。

 一つのヨドミを中心に、封印に向かった者達への襲撃が多発している。

「何かあるのかな、このヨドミ」

「さあ」

 それは今の所分からない。

「安房は何か聞いてないのか?」

「いや、別に。

 聞いてる暇もなかったし」

 何も伝えてないというのは、伝えるべき事が無いからかもしれない。

 意図的に隠してる可能性もあるが。

「行ってみるまで分からんよ」

 そもそも情報は、生還した者から聞き取ったものしかないようだ。

 より詳しい事など誰も知らないかもしれない。

「他の所もあるからここだけってわけにもいかんが」

「人を割り振らなきゃならないか」

 そのあたりはいつも通りである。

「襲撃された場所にはなるべく多く行ってもらうにして。

 他の場所もなるべく回らなくちゃならんからな」

「最低でも二人一組でヨドミはやるとして。

 こっちの方はどうする」

「なるくべく大勢で行った方がいいですよね」

 そこで悩む事となった。



 何が起こるか分からないという事では、ヨドミも襲撃場所も大差はない。

 ただ、ヨドミの危険性というか中の化け物の強さなどはだいたい一定である。

 ある程度のレベルになってれば、苦戦はしても倒せない事は無い。

 この場にいる者達は、そのレベルは超えている。

 二人一組で挑めば、たいていの場所は難なく撃破出来るはずだった。

 となれば、襲撃が多発してる場所に人を割いた方が無難である。

 どれだけヨドミを破壊していくかにもよるが、出来るだけ襲撃場所に人を集めた方が良いとは思えた。

 十人しかいない対応出来る者をどう割り振るか。

 そこが悩ましかった。

「どうするよ」

「なるたけヨドミは破壊しておきたいけど」

「襲撃場所を無視するわけにもいかないしな」

 誰もがそこを悩んでいた。

 この機会に一つでも多くのヨドミを破壊しておきたい。

 しかし襲撃されてる場所も気になる。

 封印派はそれほどレベルの高い者はいないが、人数は揃ってる。

 それはそれで面倒な相手となる。

 普通の化け物であるならば、よほど数が揃ってなければ倒す事は難しいだろう。

「どれだけ出回ってるやら」

 封印派を倒すのだから、相当なものだと考えられた。

 さもなくば、強力な化け物がいるのか。

 その両方かもしれない。

 何にせよ、油断は出来ない。

「本当、どうしたらいいんだろうな」

 なかなか適切な配分が見つからない。

 誰もが思った事を口にしていくが、なかなか結論が出ない。

 時間だけが過ぎ去っていく。



 それでも夜になるまでにはある程度のまとまりを見せた。

 まず、調査に赴いてくれる協力者達であるが、今回は出番がない。

 場所が分かってるので、調査に出向く必要がない。

 下手に出回れば、化け物に取り憑かれる可能性がある。

 ただ、危険が見られない地域の調査に出向いてもらう事にした。

 現地の近くまで運んでもらうのも協力してもらう。

 それくらいならさほど危険はないはずだった。

 防衛用に道具も幾つか持たせておく。

 それでも対処仕切れない事態は起こりうるが、そうなったらどうしようもない。

 協力者達にはそれも踏まえて志願してもらう事にした。

 当然、辞退する者も出て来たが、その意志はちゃんと尊重した。

 危険に飛び込んでもらうわけにもいかないのだから。

 やれる範囲でやってもらえれば良かったし、それ以上は求められなかった。

 協力者達は以上となる。



 化け物とやりあえる者達は、事務所に一人待機で、他は外に出る事となった。

 そのうちヨドミ潰しに三人が出向く。

 残り六人は襲撃が起こってる場所で様子を見る事となった。

 事務所が手薄になるが、その分様々な道具を置いて防備を固める事にした。

 ヨドミの方も、三人もいれば余裕で破壊出来る。

 とりあえず今日は一つを破壊するにとどめるつもりだった。

 作業が終わり次第、車を呼んで事務所に帰還する事になる。

 そのまま事務所での待機をしながら休息を取り、翌日に備えていく。

 危険なのは襲撃が起こってる場所に向かう六人である。

 今回ばかりは何が起こるか分からないので、六人で固まって行動する事にした。



 大まかな所が決まり、細かな所も考えていく。

 難しいのが襲撃が発生してる場所への対策だった。

 ヨドミの方は何が必要なのか分かっているが、こちらは見当がつかない。

 何が必要で、どれが不要なのかがはっきりしない。

 まず滅多にない事態なので、対処するにもしようがない。

 あれこれと考えるも、それが正しいのかどうかも分からない。

 当てずっぽうと言えばその通りになってしまう。

 それでも赴く事になる六人は、最低限必要になるだろう道具を考えて揃えていく。

 持ち運べる限界があるので、その中でやりくりをしながら。

 これで良いというのが分からないのは不安であった。



 そんな中で全員が決めた方針がある。

『逃げよう、とにもかくにも』

 危なくなったら、何か察したら、何も分からなくても……である。

 何が起こってるかさっぱり分かってないのだから、何が危険かも分からない。

 対抗できるような何かが起こってるならともかく、それすらも分からない。

 だから、逃げる事を優先する。

 無理して対抗しようなどと思わない。

 どうにか解決しようなどと思わない。

 まずは自分達の命を優先する。

 そのために『逃げる』のを優先する。

 ある意味情けないのだが、命あっての物種である。

 死んではどうにもならないのだから。

 逃げれて生き延びれば次がある。

 次があれば何かを達成出来るかもしれない。

 意地を張らねばならない時もあるが、それを見極めないと大変な事になる。

 化け物との戦いで彼らはそれを肌身に感じていた。

 だからこそ、何も分かってない今の状況では逃げる事を最優先とした。

 続きは明日の17:00予定。

 誤字脱字などありましたら、メッセージお願いします。

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