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【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
三章

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32話 戦闘 → 帰還/第二次探索

「お疲れ」

 出入り口から出て来た一行にねぎらいの言葉がかけられる。

 外で待機していた者達は、トランシーバーで車を呼ぶ。

「ワゴン車が来るのでそちらに」

「ああ、助かる」

 休憩のための場所である。

 休める場所がヨドミの近くにあるとは限らないので、ワゴン車などが休憩に用いられていた。

 交代させねばならない者達を家に帰す役目もある。

「それで調査はどうします?」

「続行する。

 あと一回はいけるだろうからな」

「分かりました」

「ただ、交代できる人間がいるなら寄越してほしい。

 学校や仕事がある者もいるだろうしな」

 それは望めないだろう事はリーダーも承知している。

 人手が足りなくて急遽集められてるのだから。

 それでも、他の場所が既に解決されて、こちらに回ってくる人間が出来ていればと思っていってみた。

「それが、他も手がいっぱいのようで。

 まだどこも解決されてないとの事です」

「そうか」

 つまり、回せる人員はいないという事になる。

「分かった。

 じゃあ残れる者だけでなんとかやってみる。

 でも、今日で終わらせるってのは無理だからな」

「はい、少しでも進展があれば良いと聞いてるので。

 それでお願いします」

 ここに出向いてる担当者(連絡役)も上層部も現実を理解している。

 無理して封印をする事までは求めてこない。

 可能な限り早く、とは思ってるだろうが、それが望めないなら確実なところまで進めれば文句は言ってこない。

 二度三度と突入し、最後に封印が出来ればそれでよしと言われている。

 ましてこれから人数が減る。

 化け物に対応出来る能力を持つ者の全てが専業というわけではない。

 学校に通い、仕事に従事してる者もいる。

 そういった者達から日常を奪うわけにはいかない。

 体調や気力の残りなども考えねばならない。

 再度突入するにしても、あと一回がせいぜいだろうと思えた。



「こんな事をやるんですね」

 呆然とアヤナが呟く。

 ヨドミから帰ってきての第一声である。

 初めての化け物退治が相当な重圧だったようだ。

 帰ってきてから呆然としていた。

 ワゴン車の中で休んでいたが、まだ気持ちが落ち着かないのだろう。

 隣のユウキは、

「ああそうだ」

とはっきりと告げた。

 嘘を言っても仕方が無い。

「これが私たちのやってる事。

 いつもだいたいこんな調子よ」

「はあ……」

「楽は出来ないし、いつ死ぬかもしれない。

 怪我は避けられないし、化け物は手強いし。

 一度にこれくらいしか進めないし……ってそんな感じよ」

「大変ですね」

「大変なのよ、本当に」

 どちらの顔にも声にも表情がない。

 苦痛か苦労か疲労か。

 やるせなさを浮かべてやりとりを続けていく。



 簡単ではないと思っていたが、現実はそれ以上だった。

 十四人で入っていって、さほど進む事も出来ずに撤退してきてしまった。

 おまけに戦闘を一回こなすだけでも結構な消耗が発生してしまう。

 それを超えて先に進んでいくのはかなりの無理をしなくてはならないだろう。

 奥にいるというユガミまで到達出来るのかもあやしく思えてくる。

 ただ、アヤナにこれ以上の探索は無理であったが。



「すいません、途中で抜けて」

「いいっていいって。

 明日も学校でしょ。

 ここまで付き合ってくれただけでありがたいよ」

 ユウキはそう言ってアヤナを帰宅する者達の乗るワゴン車に乗せる。

「今日は帰って、ちゃんと寝るように。

 それで、明日の学校にちゃんと出る事。

 いいね?」

「はい、それはそうします。

 でも、あそこはいいんですか?」

 心配そうにヨドミのある方を見る。

 そちらの探索はまだ終わってない。

 というかこれから二回目の探索に出向こうという所だ。

 なのにアヤナは学校があるからと帰宅する事になる。

 ユウキ達はこれからもう一度中に入ると言うのに。

 中がどれだけ大変な場所なのかは先ほど入ってみて理解出来た。

 なのに人数が減った状態でまた中に入るという。

 人数を減ってるにも関わらず。

 今、再度突入しようとしてる者達の数は十一人。

 三人が抜けるという事になる。

 本当に帰っても良いのかと思ってしまう。

 何十人の中の三人ではない。

 十人余りの中からである。

 人手が足りなくなって大丈夫なのかと思ってしまう。

「また明日来てくれればいいから」

「明日ですか」

「そ、明日。

 それまでにはもうちょっと中の様子を探っておくから。

 明日はそこから先の手伝いをしてくればいいから」

 重い言葉だ。

 明日、再び中に行こうと言ってる。

 再び化け物が徘徊する場所に。

 そんな所を更に探索するという。

 怖いと思う。

 辛いとも思う。

 だが、明日また来るまでに中の様子を更に調べてくると言っている。

 怖くて辛い場所に入っていって。

 そんなユウキ達を見捨てる事は出来なかった。

「分かりました。

 明日、また」

「うん。

 頼むよ」

 二人がそう言うとワゴン車は動き出していく。

 手を振るユウキに、アヤナは軽く頭を下げた。



「さとと」

 去っていくワゴン車を見て、気合いをいれなおす。

 人数が減って負担は更に大きくなってるが、探索を中止するわけにはいかない。

 今日はあと一回が限界だろうが、少しでも奥まで探索しておきたかった。

(明日か……)

 アヤナは来るつもりのようだった。

 まだろくろく何も出来ないのに。

 その決意がありがたいし嬉しかった。

 危険で面倒な場所なのはもう分かってるにもかかわらず。

 新人にそこまで言われたら、先輩としてそれなりの努力を示したくもなる。

(じゃ、頑張りますか)

 使った分の道具を補充しリーダーの所へと向かう。

 この場に残った者達は既に集まっている。

 そんな彼らともう一度内部に侵入をする。

 それほどより先に進み、少しでも内部の様子を掴むつもりだった。

 無理はしない、無茶はしないよう心がけながら。

「行くぞ」

 リーダーの声に頷いた。



 その日は先ほどより少しばかり奥の部屋を進んだ所で撤退をした。

 翌日に持ち越しとなった続きは、朝の九時から始まった。

 それから午前中に二回、休憩をはさんで夕方までに三回内部に入っていった。

 続きは明日の17:00予定。

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