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【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
三章

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28話 引率/研修 → 封印派

(こんな感じかな)

 指示機と前を交互に見つつ歩いていく。

 ユウキに教えられた通りに町を巡り、おかしな事が無いかを確かめながら。

 反応はほとんどないが、それでも何かが無いかと探していく。

 少しでもやり方を身につけるために。

 望まぬ形であるがこういった事に巻き込まれてしまった。

 今後はどこでどのように化け物に遭遇するか分からない。

 そう言われているので、対処方を一つでも身につけておきたかった。

(仕方ないよね)

 他にやるべき事はあるが、その一言で自分を納得させる。

 学校に通ってる身としては、優先するべきは他にも色々とある。

 部活こそしてないが、予備校などに通っているから時間に余裕はさほどない。

 大学受験をするつもりなので、学問を疎かにするわけにいかない。

 しかし、化け物の方は命に関わる。

 優先すべきはどちらかなのかは考えるまでもない。

 そこはユウキの方も理解してくれていて、予備校などが無い時間や日取りを選んでくれている。

 それでもやるべき事がたてこんでしまい、余裕は失われていた。

 最低限必要な事をおぼえるまではほぼ毎日、それを過ぎても空いてる日には時間を割いて見回りに出なければならない。

 危険な兆候を少しでも早く見つけるという本来の仕事もあるが、作業そのものに慣れねばならないからだ。

 それがアヤナの負担を大きくしている。

 分かっていても辛いものがあった。



 ただ、意外なほどに仲間は多かった。

 協力団体と言うべきかもしれない。

 化け物とその発生源たるヨドミを見つける者達はかなりの規模だった。

 活動内容が活動内容なので、宗教団体がその中心となっている。

 お祓いについてはそれなりに有名な所らしく、そういった情報が黙っていても持ち込まれてくる。

 また、それに関連してか企業や公共機関、市民団体などからの相談や依頼もやってくる。

 そこから生まれる有形無形の支持に支援が寄せられていた。

 個人で協力してくれてる者達もいる。

 化け物の撃退や発生源の封印で最悪の状況を脱した者達が、事が終わった後も手伝いなどに参加してくれている。

 歴史も結構あるらしく、かなり昔からこういった事をやってきているのも大きいのだろう。

 何代にもわたって世の中の知られざる部分で活動してきた事で、繋がりのある者達が幅広く数多い。

 そういった者達が調査を手伝ってくれたり、資金援助などもしてくれている。

 ユウキのような化け物に対応出来る能力者の出番は、見つかったヨドミの封印くらいと言ってよい。

 人に取り憑いてる化け物駆除がそこに加わる。

 アヤナがやってるような調査みたいな事は、実はほとんど必要が無い。

 彼女がそれをやってるのは、基本的な事を実践しながら教えるためである。

 途中で化け物やヨドミを見つける事があれば儲けもの、くらいのつもりである。

 アヤナにもそれらは伝えられている。

 なので、事の成功失敗にはそれほどこだわる必要はなかった。

 また、すぐにヨドミの封印に駆り出される事も無い、とユウキからも伝えられている。

 実際には、毎月一回くらいは出動要請が出されるのだが、アヤナのような新人に回ってくる事はほとんどない。

 慢性的に人手不足なのは確かなのだが、それでも対応する能力者はそれなりにいる。

 それらをやりくりして人を送り込んでいける。

 ただ、不意の遭遇などについては話が別になる。

 さすがにそれらはその場で対処する事になる。

 それだけに気を抜くわけにもいかない。

 特に崩壊派と呼んでるヨドミを破壊してる者達が出て来てる場合は。



「最悪よ、あいつらは」

 忌々しそうに話すユウキの言葉を、アヤナは何度も聞くことになる。

 ヨドミの与える影響について聞いてるだけに、アヤナもその気持ちは分かる。

 確かに今までの悪影響が消えるのだろうが、それまであったものまで消えるとなれば慎重にもなる。

 我が身に置き換えてみればその恐ろしさも実感できる。

 自分がある日突然消えてしまい、それを誰も不思議に思わない…………そもそも存在しないものとして扱われてしまう。

 もし自分がそうなったらどうなるだろうと思うと、背筋が凍る。

 死への恐怖とはまた違う。

 死は、それまでいた事を誰かがおぼえていてくれる。

 悼んでくれる者もいるだろう。

 しかし、ヨドミの消滅による現世の崩壊はそういう事ではない。

 誰も覚えてない、そもそも居なかった事になっていく。

 その違いには埋めがたい隔たりがあった。

 ありとあらゆる所からの完全なる消滅。

 それを受け入れられるほどアヤナは気持ちを強く持てなかった。



 だからこそ疑問も抱いてしまう。

 そうと分かっていながらなぜヨドミを消滅させてしまうのか。

 自分がそうならないから構わないのだろう、とユウキを含めた封印活動家達は言う。

 確かにそういった面もあるのかもしれないと思った。

 しかし、実際に本人達に聞いてみるまでは分からない。

 崩壊派に考えを聞く機会があるのか分からないが、その時が来たなら尋ねてみようと思った。

 それより早く、予想外の申し出がやってくる事になるが。

 続きは明日の17:00予定。

 誤字脱字などありましたら、メッセージお願いします。

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