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【打ち切り】クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-  作者: よぎそーと
二章

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24話 遺留物 → 後始末

「ったく……」

 どうにもやりきれなかった。

 邪魔でしかないし、いない方がいいと思う連中ではある。

 無駄に張り合う事になるので、時間と労力を無駄に消費する事になる。

 ただ、それでも一つだけ思う事はあった。

「封印なんてしないで、潰しちまえばいいのに」

 それをしないから余計な手間を抱える事になる。

 ヨドミやユガミに対して取り得る手段を制限し限定し、対処が後手に回る事につながってしまう。

 今回、ヨドミの中で見た捕らえられた者もその一例であったと思われる。

 あの中で何があったかは分からないが、この想像にそれ程間違いはないと思えた。

「やりきれねえな」

「まったくっすね」

 その結果が、巣に固定され、幼虫のような小さな虫に囲まれていた事につながってるのだろう。

 養分にするために。

「あんな死に方は嫌ですよ、俺」

「俺もだ」

 ただ死ぬだけではない。

 その後もあのような扱いを受けるとしたら、死んでも死にきれない。

 そうならない為にも、生きて帰ってくる必要がある。

 それでも最後は、同じよな結果になるかもしれない。

 ヨドミの中で倒れ、引きずり込まれて餌にされるか、同じような何かに利用されるか。

 そうならない為にも、必ず勝つしかない。

 手段も選んでいられない。

 勝って生き残るためなら、出来る事を何でもしていくしかない。

(何でもやってくしかないか)

 封印派のようにやり方を選んでる場合ではない。

 そもそも、今回だってそれなりに危ない場面があった。

 あんな状況でやり方にこだわってるわけにはいかない。

 だからこそ、封印派とは相容れない。

 彼らが封印にこだわってる間は。



「ま、これからも頑張ろうや」

 コウジに、そして自分に言いながら部屋の中を見渡す。

 入る以前に感じた禍々しさや違和感は感じない。

 埃っぽさはそのままだが、それを入れてもさほど不穏な空気は感じない。

 玄関から外に出てもそれは同じで、通路にあったおぞましさなどは消えている。

 それどころか、記憶にある景色とも違う。

 入る前は、どこか古さを感じさせる造りであったが、今は所々手直しや修復が入ってるのか古ぼけてる感じはしない。

 居住してる者達によるのだろうか、生活感も感じられる。

 ヨドミを破壊した事で何かが変わったのだろう。

 もしかしたら、居住してる者すら別の誰かに変わってるかもしれない。

 ヨドミの破壊に伴ってそういった事も起こり得る。

 何にせよ、悪い方向には変わってないはずだった。

 エレベーターに入って一階までおりる。

 出入り口まで歩き、ふと、掲示板に目をとめる。

 入ってくる以前は何も掲示されてなかったはずだが、今は町内などの催しなどの告知が出されてる。

 ちょっとした事かもしれないが、ここが活きてるという事を実感する。

 終わったという事を実感も出来た。



 外に出ると、周囲に張り込んでいた者達が近づいてくる。

 終わった事を告げると、安心した表情になる。

 急遽見つかったヨドミであるが、破壊できた事に安堵してるようだった。

「そうそう」

 忘れないうちに、とカズヤは部屋の鍵を取り出す。

「これ、不動産屋に返しておいてね」

「分かりました」

 鍵を持ってきた者達に渡して、これで仕事は終了となる。

 細々とした作業はあるだろうが、それは他の者達に任せるしかない。

 ただ、一点だけ気になる事だけ確かめておく。

「それでさ、中から化け物とか出てきた?」

「ああ、最後の方で何匹かね。

 逃げ出してきてたんだろうな」

「やっぱり出てたか」

 崩壊が決まった直後、出入り口近くにいた化け物が逃げ出したのだろう。

 こういったものが出て来るので、それらを処理する者も必要になる。

 それらが逃げ出してどうなるかは分からないが、近隣の人間に取り憑く可能性もある。

 なので、出来るだけそうならないようにしたいのだが、なかなかそうもいかない。

 前回のように準備する時間がないと、そこまで手が回らなくなる。

 あそこから逃げ出した化け物もいるだろうし、それがどうなったのかを考えると悔いが残る。

 今回は大勢出張ってきてるから、そういった心配がないのがありがたい。

 毎回こうであれば良いのだが、なかなかそうもいかない。

 前もって場所などを特定出来ていれば良いが、そういう場合ばかりでもない。

 突発的な状況では、ヨドミの破壊を優先するしかない事も多い。

 被害者を増やさない事と、封印派に見つけられる前に片付けねばならない。

 そういった事にならなかったから、今回は結構上手くやれた方であった。

「ま、お疲れさん」

 そう言ってやってきたワゴンに乗り込む。

 今日はこれで撤収となる。

 ここに残っていてもやる事は無い。

 生命や気力の消耗も激しい。

 細々とした事は他の者に任せるしかなかった。

 走り出したワゴンの中で、座席に身を預ける。

 その外では、他の者達が指示機を用いて周囲の確認に出歩き始めてる。

 ヨドミのあった場所の周囲では、漏らした化け物がいないか確認していく事になる。

 その為、あと少しはこの近くを動き回る事になるだろう。

 こういった後処置もしておかないと、被害を抑える事が出来ない。

 それらを余所にカズヤとコウジは事務所へと戻っていった。



 その後についてはいつも通りとなっていく。

 ヨドミの周辺をある程度見て回り、化け物がいないかを確認。

 足跡も幾つか発見されたので、余裕のある者達で追跡もあったが、大事にはなってない。

 調査は今後も出来るところまで続ける事となる。

 生き残った化け物が悪さをしないうちに、被害が出ててもまだ小さいうちに処理するためである。

 もしかしたら別のヨドミが見つかるかもしれない。

 地道な作業となるが、継続しての調査は必要不可欠になる。

 そのあたりは協力者達が中心となって活動してもらう事になる。

 さすがにカズヤ達だけでは手が回らない。



 不動産屋などへの連絡も行われた。

 鍵を返しにいき、問題が解決した事を告げる。

 また、何かしら他にも情報があれば教えてもらいたいとも伝えていく。

 何かしら問題が発生してる物件の情報は本職である彼らが一番よく知っている。

 提供を求めるならこういった所からが一番である。

 彼らからしても、事件を解決する能力のある者は貴重である。

 一様に、「今後もよろしくお願いします」と繋がりをもとうとする。

 使える物件が増える事は彼らにとって悪い事ではない。

 問題を解決出来るなら彼らにとっては願ったりかなったりである。

 いわゆるお祓いや霊能者で対処出来なかった事も解決出来るとあれば、ありがたくお願いしたくなるものだ。

 また、

「前にもお願いしたんですけどね」

という言葉も聞くことが出来た。

「そういった方面で対処してくれる所があるって聞いたんですが」

 話しを聞いていくうちに、封印派の方でも一度は動いたらしい事が伺えた。

 規模が格段に大きく、様々な所と接触を持ってるので話しがそちらに流れていったのだろう。

 だが、結果は芳しいものではなかったようだ。

「結構なお布施も出したって聞いたんですけど、結局何も変わりませんでしたから」

 おかげで二度と頼まなくなったという。

 物件によっては本当に解決してくれる事もあるようなのだが、質の悪い場所だと何も変わらない事があるという。

 それでもお布施というか代金は求めてくるので、大きな出費になってしまってるという。

 こういった話を聞くのは今回が初めてではない。

 手広く活動してるだけに封印派の話はあちこちで聞く。

 その評価は良い物ばかりではない。

 それでも他に頼れる者がないので、やむなくお願いしてるというのが実情のようだった。

 今回のようにカズヤ達が抱えてる問題を解決して、一番助かるのは彼らである。

「出来れば今後もお願いします」

 問題の有る物件は一つや二つではない。

 彼らからしたら、確実に解決出来る者達に頼みたくなるのだろう。

 カズヤ達とて確実に解決出来るという保障があるわけではないのだが。

 それでも、まだしも確実性があるのは確かである。

 断る理由もないので、カズヤ達としてもそういった申し出は受け入れる事にしてる。

 ただ、些少であっても金銭は要求する事にしてる。

 無料で働いてもさほど困りはしない。

 金銭は化け物やヨドミを倒して得られる修養値を換金すれば良い。

 だが、少しでも金銭を出させないと図に乗る事が多い。

 無料で働くとなれば、言いように使いたくなるのも人情である。

 それを防ぐ為に、ほどほどに対価を要求していた。

 支払っても痛手にならない程度に。



 カズヤ達にしても、こうして情報源が手に入る事はありがたい。

 また、無視できないのがかつて封印派に頼んだ仕事をさかのぼれる事だった。

 封印され、探知が難しくなってしまったヨドミを発見する事が出来る。

 それらを見つけて突入し、あらためて破壊する事が出来る。

 まだ解決されてない事故物件も大事だが、破壊されないまま放置(とカズヤ達はとらえてる)されてる場所も一気に解決出来る。

 ついでに、問題を起こしてる人がいる物件なども教えてもらっていく。

 全てに関与してるわけではないが、化け物やヨドミの影響で悪さをしてる者達もいる。

 あるいは、場の雰囲気に人が引きつけられてる事もある。

 そういった事なら化け物を倒して解決出来る場合もある。

 また、化け物がいるなら、それが出て来た発生源にさかのぼれるかもしれない。

 少しでも多くの情報を得る為に、そういった情報も必要だった。



 一つの事件を解決する事で得られるこうした繋がりもある。

 それらが次への道を示す事もあるので疎かに出来ない。

 小さな縁かもしれないが、つないだ部分からその先が見えてくる。

 こうやって築き上げていく繋がりが、カズヤ達の活動を支えてくれる土台になっていく。

 それも活動や行動、積み重ねた実績がもたらしたものである。



 それらをもたらした当事者達であるが。

「面倒だな……」

「まったくっすね……」

 事務所で道具に気力をこめていた。

 今回の事件で、かなり大量に消耗してしまった道具がある。

 それらの補充に毎日気力を注ぎ込んでる状態だった。

「こっちは終わったぞ」

「こっちはまだ全然っすよ。

 弾丸、あと何発作ればいいんだか」

「頑張れ。

 その一発がお前を助けるんだから」

「分かってますって。

 分かってるんですよ。

 でも、きついっす」

 使えば消費するのは当たり前。

 補充をしなければ次からは使えない。

 それが分かってるから頑張って補充をする。

 しかし、消耗する気力とそれによる怠さはどうしても我慢出来ない。

「あと幾つか作れば終わるはず……」

「こっちの応援もお願いすます……」

 萎えそうになる気持ちを必死に支えながら二人は作業を続けていった。








【修養値獲得】



<安房カズヤ>



三千七百 → 一万九千三百



<相馬コウジ>



七千八百 → 二万三千四百


 続きは明日の17:00予定。

 誤字脱字などありましたら、メッセージお願いします。

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