Prologue. 神はいずこに
神の話をしよう。
この世界の何処かにおわすであろう、神の話をしよう。
かつて、我ら人類は破滅の只中にあった。
大地は灼け、
海は干上がり、
空は永遠の闇に閉ざされた。
草木は枯れ、
生きとし生けるものが死に絶え、
人々は語る言葉を失った。
ただ絶望するだけが支配する大地に、彼は現れた。
人類に残された最後の希望。
破滅の淵にあった人類を救いたもうた導き手。
それが聖者ノイシスである。
敬虔なる神の僕、ノイシスは絶望に打ちひしがれる民衆に向かって訴えた。
祈り給え、と。
ノイシスの教えに従い、人々は祈った。
天空の彼方におわす神に向けて、祈りをささげた。
神よ、我らを救い給え。
我らを汝の御許へと導き給え。
その切なる願いは、はたしてかなえられたのであった。
閉ざされた空を突き破り、一条の光が地上にもたらされた。
慈しみ深きその輝きは、やがて一つの結晶となる。
祈りを力に変える奇跡の石――錬光石である。
聖者ノイシスは神より賜りしその錬光の力を以て、奇跡を為した。
神よ、我らを汝の御許に行かせ給え。
祈りの言葉と共に、死せる大地は空高く舞い上がった。
人類を救う箱舟――天空島の誕生である。
神々のゆりかごである天空島の中で、人類はやすらぎを取り戻した。
そして聖者ノイシスは、その万能の力以て自ら神となった、
今も天空のいと高き場所から、我らを見守って下さるだろう。
神は居るのだ。
神の恩寵無くして、我ら人類の存在はあり得ない。
いずれ、我らは再び神と会い見える事であろう。
その時は、
……とりあえず、一発ブン殴りてぇ。




