sideウォルクリス13
日曜日、僕が日本で過ごす日。
琴音ちゃんの謎メニュー、土曜日は翔太郎の予想通り「鯖の味噌煮」だったらしい。
今日のお題はこれだ。
【あの丼に残された証言~煮込まれた記憶~】
丼物なのは、僕にも分かる。
日本で生活するようになって、色んな料理を食べたからね。
民宿初鹿のごはんで丼を使う物は、牛丼、親子丼、カツ丼、天丼、三色丼、麺類など。
その中で煮込む物に絞ると、料理は限られてくる。
僕は休憩室へ向かった。
「フフフッ、探偵さん、謎は解けましたか?」
休憩室で待つ琴音ちゃんが、二日前よりも期待を込めたまなざしを向けてくる。
翔太郎が昨日正解したから、期待が高まっているのかもしれない。
僕は翔太郎の予想メモと、これまで食べてきた丼物を頭の中で比較して答えを出した。
「丼物の中で、煮込むものといえば数は限られてきます。厨房から漂ってくる匂いは、醤油と砂糖を使った甘辛いタレでしょうか。それに、琴音さんのエプロンの端に薄い赤色のシミがついています。そのシミは紅生姜の漬け汁でしょう。……答えは【牛丼】ですね?」
「では、答え合わせをしましょう」
琴音ちゃんが、クルリと回れ右して厨房へ向かう。
僕は席に着いて、彼女が持ってくる料理を待った。
「正解は、こちらです」
丼の蓋が、開けられた。
甘辛く煮込まれた牛肉と玉葱が、白飯の上に乗っている。
更にその上に、紅生姜と温泉卵がトッピングされていた。
「最後の謎解き、正解おめでととうございます」
琴音ちゃんが、満足そうに微笑む。
正解の牛丼は、いつもより少し大盛だった。




