ep123:青き背の沈黙~味噌に滲む信実~
日本で過ごす土曜日。
琴音ちゃんのメニューの謎を解く日だ。
僕はこれまで二度ハズレているが、今日はどうか?
金曜メニューの答えは、ウォルクリスのメモに書いてあった。
『金曜日は【豚スタミナ炒め】でした。全然わかんなくて豚の丸焼きって答えたら、素材は合ってるって言われました。美味しかったです』
金曜日の謎メニューは【力の代償~その一口が暴く真相~】だった。
僕は全然解けなくて「さっぱり分からん!」と手紙に書いた。
ウォルクリスも全然思いつかなくて、力が要りそうな料理を想像して豚の丸焼きと答えたらしい。
スタミナ炒めか。
そりゃ美味かったろうな。
騎士団メンバーに出したら争奪戦になりそうなメニューだ。
さて、今日のメニューはというと……
【青き背の沈黙~味噌に滲む信実~】
……これ、どう見ても鯖の味噌煮だよな?
これでハズレとか言われたら、オッサン泣いちゃうよ?
僕はドキドキしながら休憩室へ向かう。
休憩室で、見慣れたピンクの花柄エプロン六歳児が待っていた。
「フフフッ、探偵さん、今日の謎解きは簡単ですよ」
相変わらずミステリアスになりきれてない可愛い少女が言う。
彼女の言葉が本当なら、僕の予想は当たる筈。
つていうか、「青き背」で鯖以外の食材なんて……まさかナンヨウブダイじゃないよな?
ナンヨウブダイは、ブダイ亜科に属する青い魚で、沖縄では刺身や汁物などとして食される。
琉球列島では重要な食用魚で、高級魚。
サンゴ礁域にいる大型のブダイで、サンゴや岩に付着している藻類を食べる藻食性。
糞はサンゴ礁の白い砂になる。
沖縄では魚屋に並ぶメジャーな魚だが、ここは沖縄ではない。
ここは「鯖」を信じよう。
「琴音さん、謎は全て解けました。青き背とは【鯖】のこと、味噌に滲むとは【味噌煮】、今日のメニューは【鯖の味噌煮】ですね?」
僕は確信を持って話す。
オッサンの名にかけて謎を解く。
琴音ちゃんが好きな探偵アニメとは違うけど、キニシナイ。
「フフフッ、では答え合わせをしましょう」
琴音ちゃんが、ミステリアスな女を演じながら厨房へ向かう。
どう見ても可愛いしかないけど。
戻ってきた彼女は、手にした皿を僕の前に置く。
テーブルに置かれた皿には、鯖の味噌煮が乗っていた。
「正解です」
琴音ちゃんは、ニッコリ微笑む。
謎を解いてもらえたので嬉しいらしい。
「探偵さん、明日の最終日も頑張って下さい」
明日は僕じゃなくてウォルクリスだ。頑張れ。
難易度高い謎続きだったが、ナンヨウブダイじゃなくて良かったよ。
初めての正解メニューの鯖味噌は、いつもより少し甘く感じた。




