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オッサンと少年の入れ替わり。オッサンは異世界で美味い料理を作り、少年は日本で無自覚に色々やらかす。  作者: BIRD


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ep97:葡萄の実でパイを作る

 エルフの森からフルール城へ転移した僕は、リュンヌ様のティータイムのスイーツ作りを始めた。


「まぁウォル、その手足に巻いている物はなぁに?」

「騎士採用試験のための特訓装備ですよ」


 リュンヌ様は僕の手足に巻かれたベルトを不思議そうに見つめる。

 両手両足に重りがついているので多少動きづらいが、生活に支障の無い範囲だ。

 調理も普通にできる。


 今日は甘くて瑞々しい葡萄を貰ったので、葡萄パイにしよう。

 葡萄は大粒で、巨峰のような紫色のものと、マスカットのような薄緑色の実がある。

 合わせて盛れば単体よりも華やかになりそうだ。


 まずは、折り込みパイ生地(フィユタージュ)を作ろう。



 材料は、薄力粉、強力粉、バター、塩、冷水。


 薄力粉と強力粉をふるい、角切りにしたバターを粉の中で切るように混ぜる。

 冷水を加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜてひとまとめにし、冷却魔法で冷やしながら休ませる。

 打ち粉をした台で、生地を長方形に伸ばし、3つ折りにする。

 生地を90度回転させ、再度伸ばして3つ折りにする。この工程を計6回繰り返す。

 バターが溶けるのを防ぐため、魔法の冷気で包みながら作業するのがコツだ。

 あとは数センチ角くらいにカットして、石窯で焼き上げる。


 焼き上がったパイ生地を冷ましつつ、カスタードクリームを作る。

 作り方はタルトのときと同じだ。

 パイ生地がまだ冷めてないならカスタードクリームと共に冷却魔法で冷まし、房からはずした葡萄をトッピングして出来上がり。



「今日は檸檬草(シトロネル)のお茶を淹れました」

「王都で買うものよりも香りが新鮮ね」

「エルフの森で採れた生葉を使ったんですよ」


 本日のお茶は、摘みたて新鮮な生葉を使ったハーブティだ。

 シトロネルは日本で売られているレモングラスに似た植物で、レモンのような爽やかな味と香りがする。


 この香りは脳を活性化し、ストレスや不安を軽減して気分をリフレッシュさせる。

 エルフの森で採れた葉の場合は、香りに精神異常解除と精神異常耐性を上昇させる効果がついてくる。


 飲めば胃腸の調子が整い、消化不良、胃もたれ、食欲不振、腹痛を治してくれる。

 優れた抗菌作用をもち、感染症の予防にもなる。

 エルフの森で採れた葉の場合は、毒消しと毒耐性の効果がプラスされていた。


 冒険者が聞いたら欲しがるような茶葉だけど、普通に普段のお茶として飲んでも美味しい。

 エルフの森には雑草としてたくさん生えていたので、幾つか摘んでマジックバッグに保管している。


「ウォルも座って。一緒にお茶を飲んで」

「はい」


 座るように言われるのも、すっかり日常と化してしまった。

 姫様の部屋のテラスで毎日一緒にティータイムを過ごせるなんて、貴族の令息たちが聞いたら恨まれそうだけど。

 僕はこの穏やかな時間が楽しみだったりもするんだ。

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