↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オッサンと少年の入れ替わり。オッサンは異世界で美味い料理を作り、少年は日本で無自覚に色々やらかす。  作者: BIRD


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
114/255

ep92:夏の宴

 夏が終わりに近づく頃。

 食材の宝庫と呼ばれるリシュ領で、宴を開催するときがきた。

 季節ごとに催される宴は、その季節に合った料理を楽しむことを目的としている。

 夏の宴では、暑い季節にピッタリなひんやりした食べ物が、ビュッフェスタイルのテーブルに並べられた。


「こちらは【ヒヤシウドン】といいます。パスタに似ていますが、麺には卵や油は使っていません」


 宴の司会を務める領主様が、本日のメイン料理を紹介した。

 通常のパーティなら肉系が主役だが、この城ではそうとは限らない。

 今年の夏は、炭水化物である「うどん」が主役となった。


 冷やしうどんは茹で上げてザルで湯切りした後、流水にさらして冷やし、氷水に浸してテーブルに並べている。

 麺の傍らに置いた薬味は、青葱セベット生姜ジャンジャンブル唐辛子ピマン

 タレは鰹のル・サン・ドゥ・ボニートを粉末の状態で置き、冷水オー・フロワッドを隣に並べた。

 お客さんは円筒形のカップに好きな量を取り、好みに合わせて薬味を入れ、タレの濃さを調節できる。

 できればこの機会に「箸」を広めたかったが、貴族向けなら銀製品にする必要があり、作れる職人を確保していなかったので断念した。


「春の宴で食べたスープパスタも美味かったが、これも美味いね」

「冷たくてツルツルっと食べられて、暑さで食欲が落ちたときにピッタリだ」


 夏バテ気味のオッサン貴族たちには、冷たい麺類は特にウケが良かった。

 分かる。分かるぞ。その胃の不調。

 オッサンになると胃が弱くなるからな。


「油を使っていないから、ダイエットに良さそうだわ」

「リシュ伯が少しスリムになられたのは、ヒヤシウドンの効果かしら」


 一方、体型を特に気にする女性陣は、油を使わない料理のヘルシーさに目を輝かせる。

 彼女たちが言うように、領主様は春に比べて体型が少しスリムになっていた。

 ……悪人面は、相変わらずだけどね。



 夏の宴には、春以上にVIPなお客さんがいる。

 国王陛下とその御家族だ。


「リシュ城の料理は久しぶりだが、昔よりも更に美味なる物が増えたな」

「お父様、唐辛子を入れ過ぎですわ」


 辛い物好きの陛下は薬味の唐辛子を取り過ぎて、ヴィオレット様に注意されている。

 そんな二人を、第一王子ヴェルデュール様に離乳食を与える王妃様が、微笑みながら眺めていた。


「ウォル、これに唐辛子は入ってない?」

「はい、入れてません」


 僕はリュンヌ様に付き添い、アレルギーの原因となる唐辛子を避けるお手伝いをした。

 まだ細いけど健康を取り戻したリュンヌ様は可愛いので、貴族の令息たちの注目の的となっている。

 やがてダンス音楽が流れ始め、ソワソワする令息たちがリュンヌ様に近づこうとした。


 ……が。


「ウォル、踊りましょう。せっかく練習したんだから」

「はい」


 リュンヌ様は無邪気な笑顔で僕の手を引っ張り、ダンスに誘う。

 彼女はこのために、僕にレッスンを受けさせ、衣装を買ってくれた。

 そこまでしてもらって、僕が断る筈は無い。

 令息たちには申し訳ないが、姫様のファーストダンスは僕がお相手するよ。


 この国では、ダンスの誘い方に性別は関係ない。

 女性から誘うことはよくあるが、お姫様が料理人を誘うのは珍しいんじゃなかろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。