1話
これは、私が幸せになるまでの物語
私の人生は小学校の卒業式の日まで。ずっと前から、そう決めていた。
自殺する。もうこの世界で生きていたくないから。
……なぜ今すぐじゃないかって?まだ、希望を捨てられないんだよ。今から卒業までの短い間。ヒーローが現れて、私のことを助けてくれないかって。まあ、ありえないけどね。こんな年にもなってヒーローを信じるなんてバカみたい。だけど、そんな望みに頼らなきゃいけなくなるくらいには追い詰められてるんだと思う。たぶんね。
卒業式が半年後に迫った小学6年生、石橋夕菜。茶髪ロングの長い髪、ツインテール。顔はまあ、整っていると思う。自分で言うのも、どうかとは思うけど。まあでも世間一般の評価としては私の顔面は整っている。決して自意識過剰ではない……ハズ。
私はずっといじめられている。担任の先生にも、親にも相談した。……もう3年も前になるのか。1人で怖くてどうしようもなかった。私一人では、とても無力で。集団でかかってこられたらかなわない。だから、相談したのに。
「仕方ないよ」って言った。誰も助けてくれなかった。仕方ないわけないのに。「夕菜ちゃんは可愛いから」とも言われた。可愛いから、でいじめられるなら、人生可愛いってだけで損じゃん。私、普通に生きてるだけなのに。友達も、いじめられたくないからってみんな離れていった。私だっていじめられたくないのに。
学校ではいつも1人ぼっち。先生たちも見て見ぬふり。私って透明人間だったっけ?って思うほど。見えている、はずなのにな。私が近づくと、みんな避けるの。そんなに嫌かなぁ。まるで、汚いものと接するかのように。関わってはいけないもののように私を見る。話してくれる子も、私と話したことを陰口のネタに使ってるだけ。
誰も私を対等な人間として扱ってくれない。私はどうやら、「普通」じゃないらしい。きっと、私と「普通」の人だと、生きてきた世界も見てきた世界も違うんだろうな。なら、私のことなんてわかるわけないや。
みんなの思う「普通」って何?私は、どうしてその「普通」から外れてしまったのかな。みんなと私の違うところってどこ?どうしてこんな扱いを受けなきゃいけないの。私だって、「普通」の人間なのに。ただの小学6年生なのに。
理解してもらえないのは、助けてもらえないのは仕方のないこと。そうなんでしょう?私が、「普通」じゃないから。だから、誰にも頼らず、相談せず、独りで耐えることにした。
独りでいれば、誰かを巻き込むこともないよね。誰も私のことを見てくれなくても、対等に関わろうとしてくれなくても。あと半年。ここまで耐えたんだから、あとはたったの半年だけだよ。
そうしたら、楽になれる。
みんなに笑って、嘘ついて。「大丈夫だ」って自分に一番嘘をついて。苦しいけど、そうするしかないんだよ。
私は独りだから。




