開幕
目標のPV数を達成することが出来ました。
皆さまありがとうございます。
あれから長い時間が経った。
私は今高校3年で受験シーズンの真っ只中にいる。
たけしくんは野球の強豪からスカウトを受け、甲子園でも活躍している。
えりかちゃんは今やカリスマモデルとしてSNSや雑誌で大活躍中だ。
みんな前に進んでいるのに私だけ、あの時から時間が止まったままだ。
あの日私は彼を止められなかった。そして私のお母さんは栗原くんの目撃証言を取り下げた。私は詰め寄ったが、お母さんは泣いてるばかりで何も答えてはくれなかった。
出所の日に迎えに行ったけど、涼介くんは私を待たずにどこかに行ってしまった。
その日から彼に連絡がつかないままだ。
彼は私を恨んでいるのだろう。私が警察に言わなければ、彼が捕まることはなかった。
もう過去を忘れて、私も前に進むべきなのだろうか。
「弥生。何難しい顔してるの!」
「あ、咲ちゃん。ちょっと寝不足でぼーっとしちゃった。」
「もう、いくら受験生でもちゃんと寝なきゃお肌に悪いぞ!」
「あはは、そうだよね。気をつけるよ…」
私に話しかけてきた子は、高校で友達になった安藤咲ちゃんだ。
私とは正反対に明るくて活発な性格をしている。
部活でもバスケットボール部のエースでみんなの人気者だ。
「弥生は可愛いんだからさ!もっと自信を持ちたまえよ!」
「そんなことないよ…。咲ちゃんこそ、また告白されてたじゃん」
「あはは、でも私恋とか良く分かんないんよね。初恋もまだだし、せっかくの初恋なら自分から好きになりたいじゃん?」
「ふふ、咲ちゃんって意外に乙女だもんね。」
「そ、そんなことないわよ!弥生だって未だに初恋の彼が忘れられない癖に!」
「その人より素敵な人が現れないんだもん…」
「ずっとお互い相手が出来なかったら、私が弥生を嫁にもらう!」
「やー貰われちゃうー」
こうやって咲ちゃんとは涼介くんの事も話せる親友になった。
私が今、明るくいれるのは咲ちゃんの存在が大きい。
「そう言えば弥生あの都市伝説知ってる?」
「都市伝説って?」
「何でもこの人に仕返ししてってそこにお願いすると、代わりに仕返ししてくれるって言う復讐代行サイトみたいなのがあるんだって」
「何かそういう闇サイトで、昔事件が結構あったよね…。」
「何か胡散臭いのは確かだけど、一度試してみたいな」
「え、咲ちゃん復讐したい相手でもいるの?」
「いるわけないじゃん!私はこの通りみんな好き好き人間だからさ!ただの好奇心さ!」
復讐代行サイト、それを使えば涼介くんの家族を殺した栗原くんに復讐できるのかななんて一瞬思ってしまった。
彼の復讐を必死に止めようとしたのに、私がそれを破ってどうするんだ。
今彼はどこで何をしているんだろう。
一一一一一一
薄暗い部屋の中で、パソコンのモニターの光だけが灯っている。眼鏡をかけた幼い容姿の女の子が画面とにらめっこしていた。
「お、また依頼が入ったよ。最近話題になってるのか、かなり多いね。事実関係を調査出来次第報告するね」
「ああ。宜しく頼む。」
この女の子の名前は、玉野花火。俺の仕事を縁あってサポートしてくれている。
有名な企業のサーバーに侵入したりと、彼女のハッキングの腕は一流だ。
主に情報収集や情報操作などの業務を担当している。
「最近いたずらな依頼も多いから、精査が大変だよー」
「それだけ多くの人に目が止まってるという事だ。」
「ねぇ。頑張ってる私にご褒美のキッスは?」
「ねぇよ。それより仕事に戻れ」
「ちぇっ…」
少年院を出てから、俺は生まれた街を離れ、栗原の父親たちに復讐するために力を蓄えてきた。
ただ殺すだけじゃない、会社も家族もあいつらの大事なものを全て根こそぎ奪うためだ。
このサイトはその目的のための、ただの装置にすぎなかったが、今はこの復讐屋という仕事に大きなやりがいを感じている。
この世の中は理不尽で溢れている。
弱きものが強きものに食われるのが
当たり前と言うのなら
俺がそいつらを根こそぎ食らい尽くしてやる。




