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決着③

栗原との待ち合わせ場所は古い廃工場の跡地、ここは俺が買った私有地でもある。

未来を見てきた俺の一番の武器は情報だ。宝くじの番号なんてものは覚えているわけもないが

この荒れ果てた安い土地がの数年後に再開発の場所になることを俺は知っている。

そうしてはした金で土地を買い漁って、資金を作り、前世で苦労をかけた両親に恩を返したいと思っていた。

だがそれも全て消えて無くなってしまった。


「ようやく来たか。栗原」


「や、約束通り来たんだ!証拠を渡せ!」


「来なかったら証拠を持って警察に行くとは行ったが、来たら証拠を渡すなんて一言も言ってない。それに自分の親が殺されて、はいそうですかと許すやつがいるのか?」


「なら力ずくで取り返すしかないな!我妻出てこい!」


予想通り一人では来なかったようだ。我妻大吾とその手下どもも連れてきてる。だが所詮は有象無象だ。ただの学生に俺が負けるはずもない。むしろこっちからもう一人の復讐対象を探しに行く一一


「手間が省けたよ。」


俺は向かってくる手下達を次々と倒していく、囲まれて集団で抑えつけられたら力の差があっても、勝つのは難しい。だが中学生にそんな連帯感はない。ただ無計画に突っ込んでくるだけだ。俺は戦意を削ぐように最初に向かってきた相手の腕の骨を折った。


「ぐあァッ…いてぇよぉ…こ、こいつ…おりやがった……」


一人を戦闘不能にしてしまえば、他の奴らも恐怖で足がすくみ、勢いがなくなる。そこからは流れ作業のようにまた一人また一人と倒していった。


栗原の余裕そうな表情が次第に焦りを感じる顔に変わってきた。


「くそ!翔ちゃん。もうこいつを殺すからな!!そうすれば証拠もクソもねぇよ!」


「ま、待て我妻!?」


栗原の静止を振り切って、我妻は隠し持っていたナイフを取り出し、俺に突進してくる。


俺は手刀でナイフを落とし、そのまま蹴りで我妻の身体を蹴り飛ばした。


「ナイフを使っていきるのはいいけど、動きが直線的すぎるね」


俺は落としたナイフを拾い、我妻にナイフを渡すように放り投げた。


「はい、もう一度チャンスをやるよ」


「馬鹿にしやがって…本気で殺してやる!!」


そうして俺は我妻がボロボロになり続けるまでチャンスを与え続けた。次第に威勢はなくなり力が尽きたのかその場に倒れ込んでしまった。俺は地面に落ちたナイフを拾い上げ栗原の元へ向かう。


栗原は刃物を向けられたことで腰を抜かして、ぶるぶると震えながら後ろに必死に下がっていた。こんな情けないやつに俺の両親は一一


「や、やめろやめてくれ!」


栗原の静止を無視して、逃げられないようにナイフを足に突き刺した。簡単には殺してやるものか。最後は両親が亡くなったように火をつけてやるからな。


「死ぬなんて思ってなかったんだ……我妻と悪戯で痛い思いをさせてやろうって…ただそれだけなんだ…夕方の時間にまさか逃げられないなんて」


「何言ってんだ。お前等は俺の両親を刺しただろ!」


「俺達はそんなことしてない…ただ火をつけだけだ。信じてくれ…」


「信じられるわけないだろ!」


こんな時にまで嘘をつく、本当にクソみたいなやつ。

苦しませて殺そうと思ったが、こいつを見てると無性にイライラして仕方がなかった。

もういい終わらせてやる一一


俺はナイフを思い切り振り上げ、栗原の胸元目掛けて振り下ろした。

これでようやく終わる。俺のやり直した世界も


「動くな!!」


突然聞こえた声に驚き、ナイフを振り下ろす手が止まる。

工場の入り口の方を見ると、警察官数名が拳銃を構えて俺を狙っていた。

なんでこの場所が一一


「やめてください!涼介くんを撃たないでください!」


弥生が必死に警察の前に立ちはだかり、俺を撃たせないようにしていた。俺か栗原の後をつけてたのか…。


「高原くん!馬鹿なことはやめるんだ!!も今ならまだやり直せる!」


中年のベテラン刑事のような人が俺を止めようと必死に叫んでいる。


「馬鹿なこと?こいつは両親を殺したんだ!未成年のこいつはいい所少年院に数年いたらそれで終わりだ!納得できるわけないだろ!!」


「馬鹿なことと言ったのは謝罪する…。だが君がそれを放さなければ撃つことになる。死ぬことになるかもしれない…」


「死ぬか…別にもういい。こんな世界はもういらない…。」


俺は刑事の静止を振り切り、ナイフを振り下ろす、その瞬間拳銃の発砲音が聞こえる。俺も人を殺したんだ。これは当然の報いかもしれない。


発砲音はしたが、俺に銃弾は届かなかった。

しばらくすると、ドサッと倒れる音が聞こえる。

音の鳴った方を見ると弥生が血を流していて、倒れていた。俺を庇ったのか一一

俺はナイフを捨てて弥生の元に駆け寄る。幸い急所は外れているようだ。


「何で…だよ…。俺は死んで当然の…」


「死んで欲しくない…好きだから…。これ以上傷ついてほしくないし、誰かを傷つけてほしくない…」



「救急車を早く呼んでください!!」


その声で呆然としていた刑事達が慌てて、動き始める。栗原たちの元に数人の刑事が駆け寄り、俺も取り押さえられる。


結局生まれ直しても俺は大切な人たちを余計に傷つけただけだった。雪ちゃんの心が壊れる前に助け出せただけだったな。


一一一一


そこから俺は警察に連行され、取り調べ室に連れて行かれた。栗原は俺が刺した足の怪我を治療するために病院に行き、回復次第取り調べをするらしい。


俺は今回の犯行の他に、根岸と角田の事件の犯人は自分だと告白した。天童の件は女からの周りへの報復を恐れたので、言えなかったが。


刑事さんには何故こんな血生臭い事件に発展するのかと動機を聞かれたが、前世のことなんて、答えられなかった。言っても信じてもらえはしないだろう。


大企業の社長が人を殺したという事実は未成年だろうと、かなり大きく広まるだろう。俺の人生ももう終わりだが、どちらにしろお前の自慢のエリートの人生は終わりだ栗原。


取り調べ室に別の刑事が入ってきて、俺を取り調べしてる刑事に何か耳打ちをしている。刑事がそれを聞いた瞬間驚いて俺の顔を見てくる。一体どうしたんだ…。


「落ち着いて聞いてくれ、君の両親を殺した犯人が自首した。」


「それは栗原ですよね。自首するまでもないんじゃ…」


「いや、栗原くんじゃない…」


「なんだって…!?」

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