発覚
京子から獲物を捕らえましたとの連絡が入った。ただ相手は一人らしく、複数犯が間違いだったのか、それとも俺の方に尾行が二人ついているのか、定かではないとのこと。
俺は尾行を気にしつつ、京子の元へ向かった。
暫く歩いたが、やはり素人の俺には尾行を発見するのは難しかった。近くで見張られているならさすがにわかるが、視線とやらも感じない。俺は最後に辺りを確認して、待ち合わせ場所の路地へ入った。ここは事前の調べで監視カメラもなく、人通りもほぼない。
路地に入って暫くすると、拘束された一人の少年が目に入ってきた。顔をよく見るとその男は俺がよく知っている人物。角田慎吾だった。地面に杖が転がっており、渚を殺した犯人がこいつだと示していた。
「尾行は大丈夫でしたか?」
「いちお確認したけど、大丈夫だとは思う。怪我はない?」
「問題ありません。ないとは思いますが、誰か来る前に手短に終わらせてください。」
京子は淡々と答える。こんな小さな女の子が汗一つかかずに、目の前の角田を拘束しているのが、改めて恐ろしく感じた。
「さてお前に聞きたいことがある。渚を殺したのはお前か?」
「あ、あの女のことか!あいつが悪いんだ!お前を一向に呼ばなかったから!」
「あいつに罪はないだろ!俺を狙えば良かった。」
「こんな身体にされて、まともに勝てると思うか?お前から仕掛けてきたくせに被害者面するな!」
拘束されて、絶対絶命の状況だと言うのに、角田からは恐れという感情が見えない。
ひたすら憎しみに支配されている。
「お前は俺から全てを奪ったんだ!俺が何をした!何でこんなことをされなきゃいけない!なぁ!答えろよ!」
角田が俺の飼い犬を殺したことは、生まれ変わる前の世界のことだ。こいつが受けた暴力は理不尽になるだろう。だが、俺の中の角田が笑いながら、チャッピーを殺した記憶は消えない。前世の事だから許せなんて俺には出来ない。それにこいつはこの世界でも渚を殺した。
「理由はお前に言っても分からないよ。お前は俺に復讐する理由があるし、俺はそれを否定はしない。ただ渚を殺したお前に俺が何をしようがお前に否定はさせない。」
俺は足元に落ちている角田の杖を拾い、それを何度も何度も角田の頭に振り下ろす。
痛かったろうな。苦しかったろうな。暴行された渚の顔が頭に思い浮かぶ。
助けを求める角田の声を無視して、杖が折れても俺は角田を殴り続けた。
「終わりましたね。さぁ撤収しましょう。」
暫くして、角田が動かなくなると、京子が声を発した。どのくらい経っただろうか。
無我夢中で京子がいることすら忘れていた。
それから京子の手を借りて、俺たちがいた証拠を急いで消すことにした。
「り、涼介くん何やってるの…?」
証拠を消していた時に急に背後から声がして、振り返るとそこには
今の俺を一番見られたくなかった二人がそこにいた。




