↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/78

四人目

(一緒に登校するの照れ臭くて先に出てきちゃった…。)


教室に入ると、何故か自分に視線が集まってる気がする。涼介くんやえりかちゃんならともかく自分が見られてるとは恐らく気のせいだろう。


「お、おはよー」


教室にいる人達の誰一人として返答はなく、少し寂しい気持ちになる。私の声が小さかったのか、それとも私に挨拶する価値がないのか、恐らく前者だと思いたい。

中学に入学して大分経つが、未だに涼介くん達以外の友達が出来ない。別にそれで構わないと思っていた。


ただ最近滝川さんや田中さん等、涼介くんの周りに女の子がどんどん集まってくるようになって

大人しい自分を変えないと、このままじゃ取られてしまうと危機感を覚えている。

その焦りもあって、昨日あんな暴挙に出てしまったのは言うまでもない。


とりあえず再度挨拶をしてみるが、やはり返事はない。教室を見渡すと、涼介くんやえりかちゃんはまだ来ていなかった。

私は不審に思いつつも、挨拶は諦め席に座った。


通学鞄から今日の授業の教科書などを出し、机にしまおうとした際、何かが入ってる事に気付く。


(何だろうこれ…。)


丸められた紙を開いて、チラッと見ると誹謗中傷の言葉が書き連なれていた。

ただ淫乱とかビッチとか書かれていたが、彼氏なんてまだ出来た事ない私に宛てたものとは思えない。生憎そういう知識は漫画やテレビでしかない。きっときのせいだろう。


(涼介くん達が来るまで、お手洗いにいよう…)



挨拶も返されない透明人間になったような気まずさもあり、涼介くんたちが来るまで一旦教室を離れ、トイレ向かった。

個室に入って、便座に座り込み先程の紙を読み返す。自分の名前が書いてあるし、自分宛で間違いないようだ。

淫乱などに覚えはないが、寄生虫などの言葉には自覚がある。


(私だけじゃなくて、周りにもそう見えてたんだ…。)


中学生の女の子のメンタル、ましてや大人しく気弱な弥生の心を傷つけるには十分だった。

涙が目に溜まり、溢れるのを必死に抑えようとする。その時トイレのドアが開く。足音の数からして、複数人入ってきたようだ。


水が流れる音がして、それが止まったあと、天井から水が勢いよく降ってくる。

それを頭からかぶってしまい。制服も汚水まみれになる。


突然のことで声が出せない。理由は分からないけど、私を嫌いな誰かが水をかけたのだろう。


「汚い身体が綺麗になったんだから、お礼言えよ!」


「そうだぞ寄生虫!!」


「おい!聞こえてんのか淫乱!」


暴言を浴びせられながら、ドアをバンバンと叩かれる。私は耳を塞ぎ、何もすることが出来なかった。

先程の教室で無視されたのも恐らく偶然ではない。私は虐められているのだ。


(涼介くん…涼介くん…涼介くん…)


必死に好きな人の名前を心の中で叫ぶ、本当は大声で助けを呼びたい。だけどそれをすれば私は寄生虫になってしまう。

暫くその場にうずくまっていると、飽きたのか私を虐めていた女の子達はトイレの外に出て行ったようだ。


(今のうちに外に出たいけど、こんな格好じゃ…。)

髪やら制服やらが汚水まみれの状態で、とてもじゃないが、涼介くんにこんな姿は見せられない。どうしよう。


コンコン!

その時、ドアにノックの音が鳴る。またさっきの子達が来たと、私は身構える。


「宮村さん?大丈夫?」


扉の向こうの主は聞いたことのある声で、同じクラスの滝川さんだった。

私は安心して、ドアを開けると、心配そうな顔で滝川さんが見ていた。


「ひどい…私急いでタオルと着替え持ってくるね!誰がこんなことを…。」


「ありがとう滝川さん…。私にも誰がかは分かんない…。」


「先生には言わない方がいいよね…大事になったら涼介くんに心配かけちゃうしね。それに虐めの矛先が涼介くんに向いちゃうかも、宮村さんもそれは嫌でしょ…?」


虐められているのを涼介くんに知られたくない。知られたら私はまた涼介くんは私を守ろうとする。それは嬉しいけど、私はまた寄生虫になってしまう。私は無言で首を縦に振る。


「そうだよね…。私も協力するから二人で乗り越えようね?」


私は滝川さんから体操服を貰うと、それに着替え、一旦体調が悪いと言い、家に帰ることにした。


さすがにこの格好だと先生や涼介くんたちに色々聞かれると思ったからだ。

何で私が虐められるのと思ったが、理由は滝川さんが教えてくれた。

私は一人で乗り越えなきゃ行けない。


放課後、涼介くんやえりかちゃんが心配で訪ねてきたが、顔を合わせたら頼ってしまいそうで、病気をうつしたらいけないと言い、二人を追い返した。


そして次の日も私への嫌がらせは続いた。ただ滝川さんが相談に乗ってくれたり、えりかちゃんや涼介くんにこの件が漏れないように色々動いてくれていて、味方のいない私にはそれがとても心強かった。


「滝川さんって本当にいい人だよね」


「そんなことないよ。私も好きな人がいるからその人のために頑張ってるだけだよ」


滝川さんの好きな人は一体誰なんだろう。こんな可愛くて優しい子に好かれる男の子が少し羨ましく思う。


「中々嫌がらせやまないね…私必死に宮村さんはそんな人じゃないってみんなに言ってるけど、全然わかってもらえなくて…ごめん…。」


「ううん、滝川さんのせいじゃないよ!私が全部悪いんだし…」


そうこうなったのも全部涼介くん達に頼りきりだった自分が悪いんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。