二人目
僕、根岸亨はいじめられっ子だった。昔から身体も弱く、何の取り柄もない僕はいじめっ子たちの格好の標的だった。
そんな僕を助けてくれたのが翔ちゃんだった。翔ちゃんについていけば僕は一生奪われる側じゃなくて、奪う側に立っていられるんだ。
それを脅かすやつは誰であろうと許さない。
高原涼介。翔ちゃんに恥をかかせた奴。
正直あの運動能力を見る限り、真っ向から戦っても勝てない。
あいつの弱みを見つけないと、僕の嫌がらせに耐えられた奴なんて今までいないのだから
まずは古典的な方法を試した。あいつの下駄箱に虫を何匹も放り込んだ。
ただ悲鳴が聞こえるかと思ったが、あいつは平然と虫を鷲掴みにし、草むらへ逃していった。
『虫は散々前世でやられたら、耐性ついてる。前は食わされたりしたしな。恐らく根岸辺りが、この前の事で仕掛けてきたんだろう…。』
次の手はあいつの顔画像とネット上に転がっていた下着泥棒の画像を合成して、黒板に貼りつけた。これであいつは変態呼ばわりに
「おい。たけし俺のコラ画像作ったのお前か。腕のほくろがないぞ、ちゃんと再現しろ」
「何で俺なんだよ!?」
クラスが笑いに包まれていた。こいつはこんなことするはずがないってみんな思ってるのか。今までのやつなら白い目で見られてたのに、翔ちゃんの方を見ると機嫌が悪そうに俺を睨んでいる。翔ちゃんの期待をこれ以上裏切れない。
おもむろに学校の裏掲示板を開く、期待はしてないが、高原の弱みとなるものを探す。一年生は入ったばかりだから、情報が少ないな。やはり高原のいつも一緒に幼馴染を狙うべきか。たまにいる自分のことは耐えられる奴もそいつの大事なものを壊そうとすればたちまち心を乱す奴が。小学校の時も翔ちゃんに刃向かった正義感まみれのやつがいたが、そいつの妹に色々仕掛けたら、泣いて謝ってきたもんなぁ。
僕は高原から幼馴染の宮村にターゲットをかえ、尾行することにした。
ただ常に隣に高原がついているため、中々手を出せない。そして時折俺の方を振り返り、警戒してるような鋭い視線を向けてくる。僕の姿は見えてないはずなのに、勘の鋭いやつだ。後ろに目でもついてるのか。
「弥生、俺寄るところあるから」
「付き合うよ?」
「大丈夫大丈夫。また明日な」
幸運にも高原と宮村が別れた。これはチャンスだ。ここは人通りも少ない。今なら宮村にあんなことやこんなことをすれば、あいつも精神的に追い詰められるだろう。
悟られないように、徐々に距離を詰めていく、手にはカッターナイフ。これをいつものように首元に当てて脅せばいい。前にあの妹の首元に当てた時のあの表情たまんなかっ…。むぐっ!
急に後ろから布を頭にかぶせられ、視界が奪われた瞬間乱暴に放り投げられた。恐らく車の中だろうか。
「よぉ根岸、今とってやるよ」
「た、高原何を!?何でこんなことを!?」
「お前がそれ言っちゃう?」
全部知られている。僕がやろうとしたことも
翔ちゃんにだって何をするかは言っていない。いったいどこから
「お前がやることなんて見え見えなんだよ。さぁ山にでもドライブに行こうか?」




