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首根っこ掴まれて引きずられるなんて漫画みたいだよね

 ゴブリンナイトを倒した俺たちは次の街タナクスへと歩き始める。

 とりあえず次の街に着く前に、今回のボス戦で手に入れた成果と解放された機能について確認したいと思う。まずは成果だ。ゴブリンナイトを倒したことで多めの経験値とドロップアイテムを手に入れた。まあレベルはギリギリ上がらなかったし、ドロップしたものはゴブリンナイトが使っていた大曲刀だ。正直いらないので売ることになるだろう。

 本題はこっちだ。ゴブリンナイトを倒した時に『致命の一撃』というスキルを覚えた。俺にとって初の攻撃スキルだ。


『致命の一撃』

 スタミナを消費して突き攻撃を行う。その攻撃が敵の急所に当たると通常の急所攻撃時よりも高いダメージを与える。代わりに敵の急所以外に当たった場合与えるダメージは半減する。


 普通の人にとっては使いずらいスキルだが俺にとってはとてもうれしいスキルだ。欲を言えばボスと戦う前に欲しかったところだが…


 次に解放された2つの機能についてだ。1つ目は開拓旅団の設立及び加入ができるようになった。開拓旅団は前作におけるギルドと同じもので、趣味嗜好や目的が同じ人などの集まりのようなものだ。同じ開拓旅団に所属していればフレンドでなくても連絡を取れるようになったりといろいろと利点は多い。ちなみにタスクが開拓旅団を設立してハルとエクルはそれに加入するらしい。


「レインも入らないか?」


 タスクからそう誘われたが前作と同じ開拓旅団に入るということで断った。

 2つ目に解放された機能は自分のキャラクターの種族を変えられるようになる機能だ。これは文字通りのものだが基本的には人族から他種族へ変更する人が多い。

 そうこうしているうちに次の街タナクスへと到着した。

_____________________________________


「じゃあ攻略登録だけして解散するか。」


 タスクがそう言い俺たちはタナクスの中心へと向かう。

 攻略登録はボスを倒して町へたどり着いたことを登録することで、これをしておけば登録している町から町へと転移できるようになるのである。カールは最初から登録されていて次の街から自分で登録する必要があり、登録するには町の中心にある大きなクリスタルに触れる必要があるのだ。


 タナクスの街を見ながら歩くこと数分。俺たち4人は中心へと着き、無事に攻略登録を済ませた。あとは解散するだけなのだが、そこへとある人物が俺の肩を掴みながら声をかけてくる。


「やあ、レイン!久しぶりだね!」


 声の方向を向くとそこにいたのは前作と変わらぬ姿のルークだった。ルークと違い俺の姿は前作から変わっているが、昨日話した時にキャラクターの特徴は話していたのでそれで分かったのだろう。そこはいい。それよりも気になることが一つ。


「久しぶり、ルーク。………ええと、なんか怒ってる?」


 そう、この人なんか怒ってる気がするのだ。だってなんか顔は笑ってるけど目が笑ってないから変に威圧感あるし、何より掴まれた肩がミシミシ言いそうなくらい力が入れられてるのだ。まるで逃がさないとでもいうように。


「いやあ、そんなことないよ。君たちがレインとパーティを組んでた人達かな?」


 ルークがそばにいたタスクたちに声をかけ、そしてタスクがその質問に頷く。


「俺がタスクで隣のがハルとエクルだ。あんたは?」


「ああっと、名乗ってなかったね。僕はルーク。レインとは前作からの付き合いでね。突然で悪いんだけどレインを借りていいかな?」


 俺はその言葉に悪い予感がして助けを求めてタスクのほうを見つめる。


「あっはい、どうぞ…」


 残念ながら俺の思いは届かなかった。正確に言うなら届きはしたがルークの出す威圧感には勝てなかったようだ。


「いやー、よかったよ!レインにはいろいろと () () () () があるからね。」


「やっぱ怒ってるじゃないですかやだー!」


 そんなことを言ってる間にルークに首根っこをつかまれ引きずられていく俺。昨日始めたばかりの貧弱ステータスで先にプレイしてるルークに抵抗できるはずもなく…


「やめろー!死にたくなーい!放せー!」


 俺はそのまま引きずられてタスクたちのもとを後にした。

_____________________________________


「なんというかあっという間だったわね。」


 レインが突然現れたルークという人に連れていかれるとハルがつぶやいた。


「そうですねー。それにしてもレインさんの知り合いといってたルークさんですが、確か…」


 その言葉にエクルが反応しそのまま言葉を続けようとするが、それを遮ってさっきのやり取りを見ていた男のドワーフのプレイヤーが話しかけてくる。


「あんたらルークと知り合いなのか?」


「いや違うよ。一時的にパーティを組んでたやつが知り合いだったみたいだ。」


 タスクが話しかけてきたプレイヤーに返す。


「ああ、さっき引きずられていったやつか。」


 その時の光景を思い出したのだろう、ドワーフのプレイヤーが笑いながら話す。


「ルークさんって有名なんですか?」


 ドワーフのプレイヤーへハルが尋ねる。わざわざこうして聞きに来るくらいだ、恐らくそうなのだろう。そう思いながらもタスクも返事に耳を傾ける。


「あんたら開拓旅団の黄金平原って知ってるか?」


 ドワーフのプレイヤーが質問を返してくる。開拓旅団『黄金平原』といえばアナオンで知らないプレイヤーはいないだろうというほどの開拓旅団だ。少数ながらほかの大型旅団にも引けを取らない名実ともにトップクラスの開拓旅団。しかしなぜそんなトップ旅団の名前が出てくるのか。答えは思わぬところからもたらされた。


「ルークさんは黄金平原の団長をされている方ですよねー?」


 エクルが返し、ドワーフのプレイヤーがその言葉に頷く。


「「え…?」」


 タスクとハルの声が重なる。エクルが知っていたことにも驚きだがレインの知り合いがそんな有名人なことにも驚きだ。


「それにしても初心者プレイヤーにルークの知り合いがいるとはな。何者だ?」


 呆気にとられるタスクとハルを置いてドワーフのプレイヤーが話を続ける。


「レインさんは前作プレイヤーですし特に不思議はないかとー。」


「レ、レインだと!それは本当かい、嬢ちゃん?」


 エクルの返答を聞いたドワーフのプレイヤーがただならぬ様子で聞き返す。その言葉に頷くエクル。


「レインも有名なのか?」


 ドワーフのプレイヤーの様子を見てタスクが聞く。明らかに普通ではない反応に少し心配になりながら返事を待つ3人。


「有名というか、前作プレイヤーにはある意味トラウマの塊というか…」


 歯切れの悪い反応を返すドワーフのプレイヤー。その後レインが前作で行ったプレイの数々を聞いたのだが…


「「「えぇ…」」」


 タスクたち3人は同じ反応を返すことになるのだった。

やっとここまで来ました。次回、黄金平原が登場しますよー。


あっ、少しでも面白いと思っていただけたら感想とかもらえると蚊取り閃光が土下寝します。

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