第四十八話 五十過ぎの人々へ2(あなたこそがヒーローです)
あなたは乏しい才覚にもかかわらず、世間の冷たい風にめげずになんとか一人で踏ん張って生きてきた。富貴になれず称賛されることもなかったが、人を殺さず傷つけず盗まずに生きてきた。他人から軽くみられ侮蔑されることの方が多かったが、それでも人の道を踏み外さずに生きてきた。
素晴らしい事ではないですか。尊敬に値します。
“もし江分利が、発作の夏子(妻)と喘息の庄助(息子)を抱えて、もしも、この世をなんとか過ごしたとすれば、こりゃ大変なことじゃないか。壮挙じゃないか。才能のある人間が生きるのはなんでもないことなんだよ。
宮本武蔵なんて、ちっとも偉くないよ、アイツは強かったんだから。ほんとに「えらい」のは一生懸命生きている奴だよ、江分利みたいな奴だよ。匹夫・匹婦・豚児だよ”
(「江分利満氏の優雅な生活」 山口瞳 新潮文庫)
私もそう思います。配られた持ち札がフォーカードの奴が、ポーカーに勝つのは当たり前じゃないですか。何がすごいんですか。それよりもワンペアの持ち札で、勝負を投げずに必死に戦う姿こそが立派です。
あなたは所属する組織に、家族に、夫や妻子に、最後まで認められなかったかもしれません。でも私は、あなたの素晴らしさを承認します。そして世界中の誰からも認められなくても、あなたは自分自身を認めてあげてください。
自分で自分を誉めてあげてください。




