目指せ1位の体育祭!4
皆様、お久しぶりです。やっと投稿できました!!
体育祭の種目が決まってから私たちのクラスは大きく動き始めた。まずは、陸上部のみんなである。彼らはクラスに4人しかいないけど、徐々に記録が伸びてきていると話していた。
「ええ!?また1秒速くなったの!?とりりん!」
とりりんとは鳥羽さんの事だ。彼女は陸上部に所属している。
「そりゃあ、運動会でいい点を取って優勝するためだからね!朝と夜に毎日走って、筋トレして、最近じゃあ寝てる間にも走ってるからね。これで早くならない方がおかしいよ」
いや、私は夢の中でも走ってるということの方がおかしい気がする。
「凄いね!私も最近は運動会で優勝する予知夢ばかり見てるから、イメージトレーニングは抜群だよ!転んでも受け身ですぐ立つ練習もしてるし!」
「華子はよくコケるからね~」
「私がコケたらその分とりりんが走ってくれるから!安心してコケるね!」
「…頼ってくれるのは嬉しいけどコケないように気をつけてね」
そんな会話を聞きながらいつもは女子がいっぱいいる方を見る。
そう、日向である。あの女子のキャーキャーから一変、男子の笑い声にチェンジしたのである。これはクラスに溶け込んでいる証拠だと思う。
クラスでもお昼は騎馬戦などの団体対抗の練習を毎日している。女子の応援はチアガールに決まり、各自衣装を作って、練習をしている。ちなみに、なぜか私だけ一番先頭で激しい動きをすることになっている。この事について振り付けを考えたダンス部の子に聞いてみたら、
「白雪さん、私達はバックダンサー。あなたはアイドルよ!」
とのこと。ちょっと意味が分からなかった。
玉入れに関しては野球部やバスケ部が頑張ってくれるそうだ。ただ、バスケ部は何度かダンクシュートをしようとして怒られていた。
騎馬戦では木村くんを大将として行うらしい。練習を見る限り、かなりの練度を感じることができた。
~
今日はいよいよ本番!いつも通り朝4時に起きて支度し、お弁当を作る。あ、今日は運動着です。そして書記のお迎えからのいつも通りの朝議を行い、学校へとやってきた。
学校の校庭には白いテントが建てられ、生徒会がミーティングらしきものをしていた。私はそれを横目に校舎へと入って行く。
今日の為にみんな全力で頑張って来た。私はわくわくと緊張と不安が入り混じった気持ちを抱えている。私が出るのは100メートル走、応援合戦、○×クイズ、大縄跳び、全員リレーだ。
全員リレーではアンカーもやることになっているのでそこはプレッシャーに負けないように頑張ろうと思う。
また、保護者として書記が見に来るらしい。顔バレが怖いなと思ったけど、葉月がいるから葉月の保護者に思われるように振る舞うことを条件に許可を出した。
校舎の中に入り少し賑やかな教室に入る。教室の中では運動着を着たクラスメイトが話したり、黒板に絵を描いたりしていた。
「あ、白雪さんおはよう!」
黒板に絵を描いてた黒川さんがこちらを向いて挨拶をしてくれた。
「おはよう、黒川さん!黒板に何描いているの?」
「今日の運動会の目標と絵を描いているの。今日はみんなで運動会勝てると良いよね!」
黒川さんは黒縁メガネに黒髪で二つに三つ編みしていてとても可愛い。何と言ってもメガネから覗く目の瞳が隠れ美人であるということを知らせてくる。そんな黒川さんがにこにこしてこう言ってくるのだ。私もつられてニコニコ顔で答えてしまう。
「ね!みんなで練習してきたから勝てると良いよね!!」
「っ!!」
ん?なんか先ほどまで騒がしかった教室がしーんとしている。黒川さんを見れば黒川さんは顔を真っ赤にして硬直している。一体みんな急にどうしたのだろうか…。束の間の静けさの後、真後ろのドアが開いた。
「おー、集まってるか?」
び、びっくりした…。色々びっくりした。
「…みんなどうしたんだ?白雪も…黒川は何を描いているんだ?」
先生がしんとした教室を歩き、黒川さんの横に立った。
「おお、上手な絵だな」
そこでようやく私も動きだし、黒板を見る。そこには大きく「目指せ1位の体育祭!」と書かれている。
そして、今にも動き出しそうな少女漫画風の美少女が描かれていた。先生が黒川さんに近づき耳に何かささやいていた。女子がキャーと悲鳴を挙げる。私も思わず顔を赤くする。先生と黒川さんってもしかして付き合ってるとか?
「…これは、白雪か?」
「さすが先生!大正解です!」
なにを先生が言ったか分からないけれど、黒川さんが嬉しそうに先生に囁いている。
「こんな特徴的な美少女はなかなかいないからな」
「ですよね!白雪さんの可愛さと言ったらこの世の美を顕現したものですよ!」
「黒川はすごい白雪を持ち上げるな…」
「…先生だって白雪さんのこと気に入ってますよね?好意を持ってるんでしょう?」
「…黒川。それは黙っておけよ」
「分かってますよ~」
なにやら楽しそうにひそひそしている二人に私は気を遣って席に戻ることにした。黒川さんと先生は一段落着いたのか先生は教卓に出席簿を、黒川さんは席に戻って行った。
黒川さんは女子に何の話をしていたのかを聞かれていた。黒川さんがクスリと笑い内緒と言っている。
…黒川さん凄い大人な感じがする。
「さ、朝のホームルーム始めるぞ。出席は…あ~、朝比奈が今日は休みだ。朝比奈は行きたがっていたらしいが、仕事が重なってしまったらしい」
あ~、日向来れないのか…という声やため息が聞こえてくる。クラスの雰囲気が少し重くなってしまった。ここは私が何かしら…。
「みんな!!」
誰かが席を立ちあがって大きな声を上げた。声主を見れば暮梨君だった。
「日向は今日結局参加できないけれど、参加したかったんだ。だから、俺らがその分運動会を楽しんで日向に色々話せるようにするんだ!!そして、なにより優勝の話はきっと日向も喜ぶ!日向の為に優勝取って来ようぜ!!」
「「「「「おー!!!!」」」」」
凄い、暮梨君。クラスの沈んだ雰囲気を一気に優勝するぞという雰囲気に持っていった。なによりあの静けさの中での発言する勇気。
「よし、盛り上がったところで今日の注意事項を言っていくぞ。みんなよく聞け」
担任が出席簿を肩に担いでにやりと笑った。
~
「さ、そろそろ外へ行ける?まこちゃん」
「私はもういつでも行けるよ」
朝のホームルームが終わり、私たちは校庭へ出る準備に取り掛かっている。教室は施錠してしまうので必要な物をすべて持っての移動が必要なのである。この日の為にサブバックを用意しておいた。
白雪社商品:しゅくしゅくバッグ
このバックは広げるとよくある手提げのバックサイズになるのだが、すごいところはすごく小さくすることができるということだ。その大きさというのも、消しゴムサイズまで小さくなる。
秘密はこのバックの布は一枚でできていることと少し力を加えるだけで物凄く収縮して一気に小さくなる繊維を使っていることだ。この繊維は企業秘密なのでこれ以上は何とも言えないが、広げる時は布を広げながら少し息を吹きかけてあげると繊維が空気を取り込み、元の大きさに戻る。
この繊維は私と琴音で作成した。まだ他の所で発見されていない繊維なので特許を申請することができるのだが、私の名が表に出てしまうと色々とまずいのと、琴音が一人での特許申請はプライドが許さないなどと言って特許を申請してくれないので保留中である。
すでにこのバックは白雪系列の店で売られており、他の店に技術を盗まれるのも時間の問題である。
…という話は置いといて、私は今日このバックを持って運動会に参加する。バックには水筒、携帯、はちまき、プログラム、応援合戦の衣装、タオル、日焼け止めが入っている。お弁当は昼食時にはこの教室が開くのでこの教室に置いてある。
「よし、日焼け止めも塗ったし、行こう!!」
有紗ちゃん、美智ちゃんが合流し、なつちゃんがそう言って教室を出て行く。私はその後を追いながら、今日のことを考えた。今日は良い1日になると良いな。




