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書記と先生の対決

 3000字超えてます。


せ、先生の顔が引き攣ったのを私は見てしまった。


しょ、書記!!初っ端から喧嘩引っ掛けないでよ!


そう心の中で思いながらも黙って成り行きを見守るしかない。そもそも書記が先生にそんな態度をとるのは…なぜだろう。


少し遡ってみよう。



~少し前


「ねえ、書記。メールにも書いたけど、今日、担任の先生が家庭訪問に来るんだけど…保護者やってくれない?」


「…担任の先生が家に来るってことですか?」


「…まあ」


「その方は女性ですか?」


「え?男の先生だよ?」


書記が衝撃を受けたような顔をした。


なんか、驚く要素あった?


「まさか、社長のことが……だったりして…」


なんか、書記がぶつぶつ呟いてるが聞かない方向で。こういう時の書記は関わらない方がいい。


「えっと、とにかく保護者役よろしくね!」


「わかりました。保護者としてガツンと言わせてもらいます」


書記がやけにキリッとして言った。


…もう突っ込む気起きないよ。くれぐれもやらかさないでくれ…。


私は心の中でそう思い、何も口に出さなかった。



そして今に至る。…あかん。これ私が悪いパターンだ。あの時書記にウザがられるほど言っておけば…。いや、書記はむしろ喜ぶか。ウザがられる=喜ぶの公式が成り立つのが書記だもんね。


そんな風に過去に浸っていたら書記がまた爆弾を投げた。


「そんな間抜けであほらしい教師が私のしゃち…誠の担任なんて務まるんでしょうか」


ちょっと待って!!!!


その書記の発言だと私が家でしゃちって呼ばれていて、書記と頭にお花咲かせて住んでいるように思われるよ!


ほら、先生が可哀想なものを見る目で私のことを見つめている!あまりにも惨めだ!


「ちょ…しょ…羽空兄さん!!そんな失礼なこと言ってないで、先生玄関に立ちっぱ!早くテーブルに連れてこう!」


ちなみに、失礼なことというのは先生はもちろん、私に対しても入っている。


書記は凄く驚いた顔をした後、満面の笑みになってこう言った。


「しゃち…誠に言われたらしょうがないですね!!さあ、先生上がってください!」


またしゃちって言った!!そして笑顔が眩しすぎて書記の顔を見ることが出来ない。先生も書記のノリに合わせられず、困った顔で促されている。


私はとにかく、内心動揺しながらもニコニコ顔で2人の後を着いて行った。


リビングのテーブルに先生が座り、書記がすごい速さでティーカップとクッキーを持ってきた。ちなみに、ここで商品紹介。


商品 ☆薔薇のティーカップセット


カップの端が金で彩られ、茜が直接デザインした薔薇がカップの周りを囲っている。カップ2個、同じようなデザインのポット1個がついて、2000円という手頃な商品です。


商品☆リラックスティー


緊張した心をほっとさせる香りを漂わせる。以上。


商品☆白雪クッキー


とにかく美味しい。男女問わず食べられ、少し甘さ控えめでさっぱりした仕上がり。一番こだわったのは食感。さくっとした食感で口に入れるとふんわり溶けるクッキー。


「どうぞ。あなたのような阿呆な方に味がわかるかわかりませんが」


書記がさらりと毒を吐き、クッキーと紅茶を勧める。


「いえ、私は紅茶とクッキー結構ですので」


先生はさらりと流す。大人だ。


「せっかく、お出ししたのを断るというのですか?あなたはなかなかひどい性格のようで…」


書記が毒舌キャラのように毒をまき散らした。


「いえ、すいませんが仕事で出されたものをいただかないと決めておりますので。気を害したらすいません。本題に入りましょうか。誠さんの家での様子はどうですか?」


せ、先生の躱し方が1流…。


「家?あなた、しゃち…誠のプライベートを聞くというんですか?プライバシーの侵害で訴えますよ?」


書記の攻撃が無差別な件について後で怒らなければならないね。私はしゃちじゃない!!そして、書記がしゃちという度に、先生が憐れみの目を私に向けてくるのがじわじわ来る!辛い!


「プライベートのことではなく、誠さんの家での態度を教えていただければ…」


先生は口調を変えずに話す。すごい…書記の毒毒アタックを避けるとは!


「ふぅ…仕方の無い人ですね。誠はとても真面目な人であり、周囲をよく見ていて、優しく、気遣いができ、誰よりも賢く、誰よりもできるスーパーエリートで、もう文句の1つ言いつけ用のない人です」


書記がやれやれというような感じで私のことを褒めちぎってくる。なんか、恥ずかしくて、口が引きつってしまう。


先生もいきなりの書記の言葉にぽかんとしている。


「まあ、まだまだ言いたりないこともありますが…」


私が恥ずかしくて死にそうだ。


「えっと…あ、はい。学校での誠さんはクラスの中心で真面目で優しく人気者ですね。これも保護者の羽空様のお陰かと。それと一つ質問なのですが、誠さんは一年分の予習をしていましたが、どういうことですか?」


 ぐっ。先生が痛い所を突いてきた。書記お願いだから、ボロを出さないでよ…。私がバード大出てるなんて聞いたら、大騒ぎになりそう…。先生が少し鋭い目で私を観察している。


 書記はそんな中優雅に紅茶を口に含んだ。とても絵になる様だったのでKYさが余計に目立った。


 「予習ですか?予習なんて私は大学四年分を入学時に終えていましたが何か?普通、私たちできる人は予習をしますよ。本当は人生の予習もしたいのですが、それは無理でしょう。人生にマニュアルなんてありませんからね。あなたは予習しない人なのですか?」


 しょ…書記よ。私は侮っていたよ。できる人なんだったよね。そうだったよね。書記もバード大だったんだ。


  先生が驚いた顔で書記を見つめていた。


  書記はこう見えても真面目だからね。誰よりもまっすぐで気が利く。ちょ、ちょっと変わってると思うけどね。でも、その変わっているところさえもわざとやっているのではとふと思ってしまう。


 「私も予習をしましたが、一日前のしかやりませんでしたよ。さすがに四年分は…。さすがとしか言いようがありませんね。道理で誠さんが予習をするわけです。では、ここら辺にしておきましょうか。ちなみに、あの外のネーソンは羽空さんのものですか?」


 ん?ネーソンが作ったあの車がどうかしたのかな?


 書記も疑問に思ったらしく首をかしげながら返事をする。


 「はい…。それがどうかしましたか?」


 「ど、どうしてネーソンの車を!?」


 先生が鼻息荒く言葉を出す。


  「どうして?普通の車にしては運転しやすいからですかね…」


  私もそれに同意だ。隣に乗っていて乗り心地がいい。


  「普通の車!?あれは高級車ですよ?」


  …え?


  「え?」


  私と書記は今同じ顔をしているのだろう。今までの常識を覆された気分だ。


  「…知らなかったんですね。まあ、というわけで今日はわざわざ時間をいただきありがとうございました。私は予定ありますので失礼させてもらいます」


  頭が回らないけど、なんか先生を見送っていたらしい。いつの間にか誰もいない玄関に向かって手を振っていた。


  「書記…。どうやら、今まで高級車に乗っている人だと思われていたみたいね。先生に」


  「そっちですか…。私は自分に知らないことがあることに衝撃を受けてますよ」


  「どうしよう。私は単なる一般市民っていう設定なのに…。先生に金持っているってばれちゃった。土曜日にもなつちゃん達と遊ぶ約束しているし…。外向き用の車買うべきかな…。その前に車のスペシャリストを会社で雇うべきだよね…」


  「とりあえず、私は今日のうちに高級車と普通車の名前と種類、形、カラーを覚えておきますね」


  「頑張って。私はなつちゃん達にいかに一般庶民だと認識させるかについて計画を練ってくる」


  「ではお互い明日の朝に」


  「あ、ところでなんで鯱って私のこと言ったの!?」


  「それは社長の名前を呼ぶのが恥ずかしかったからです」


  書記が顔を赤くして言った。器用な奴め。


  「絶対に先生に鯱って呼ばれてるって思われてるよ!!責任取って!!」


  「そ…それはプロポーズというやつですか?」


  「ちがーう!!!」


  書記め…。いつか仕返ししてやる。


  こうして先生の家庭訪問は終わった。


~side先生


  帰りに車を運転しながら、周囲を見る。


 「やっぱり高級住宅街だよな…」


  それにしても、あの保護者やけにイラッとするような発言してたよな。さすがに最後のほうはイラッとした。まあ、最後にネーソンの話したら間抜けな顔していたよな。あれ見てすっきりした。それにしても、俺は性格悪いよな。白雪の驚いた顔見て少しうれしくなったなんてな。というか、白雪、家だと鯱って呼ばれてるんだな。どういう経緯でその名に至ったかわからないが、今度からかってみよう。


 今日は気分良く寝れそうだ。



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