旅館と土産
夜になった。外の景色も暗くなりとても神秘的な光景が目の前に広がっていた。暗い木々と対照的に満天の星空。綺麗な三日月が私を見下ろしていた。
残念なことにお風呂はぼっちだった。なんか…みんなと一緒に露天風呂浸かりたいって言ったら琴音に怒鳴られ、拒絶された。私は何もしてないのに。書記なんかは神聖な社長がとかよくわからない事を言っていたけど、そろそろ精神科に行くべきだと思う。
という訳で個室のお風呂に寂しく入り、露天風呂に亮くんも行ってしまった為、ぼんやりと外を見ている。でも、ここは星が綺麗だ。そうするとあの日の夜を思い出す。
…いけない!悲観NG!ポジティブ精神!…暇だし、腹筋でもしようかな。
しばらくして亮くんが帰ってきた。彼の第一声は
「ただい…なんで腹筋してるの!?」
だった。
亮くんとたわいも無いお喋りをして、遅い時間になったので寝ることにした。布団を2つ敷いて、寝転ぶ。心なしか亮くんの顔が赤い。
「誠は寝相悪い?」
「いや、死んだみたいに動かないよ」
「…死んだみたいって」
「よくそう言われたからね」
「ふーん」
「亮は寝相悪いの?」
亮くんがそっぽを向いた。
「…微妙」
え!?微妙!?照れくさそうに亮くんが言った。
「いい時は良いし、悪い時は悪いから」
その時によるってことか。
そうして、私は意識を失った。失う前に亮くんがなにか言っていた気がする。
「もし、抱きついてても怒らないでね」
残念ながら聞こえなかった。
~
パチっと目が覚めれば目の前に綺麗な美少年の顔があった。
えっと、亮くんだよね?どうして私の目の前に…。体を捻ろうとするが何故か動かない。下を見れば亮くんが抱きついていた。いつもの習慣で4時に起きてしまったけど、亮くん起こしちゃうと悪いから二度寝しようかな。おやすみなさい。
~
「ん…」
少し音がして思わず目が覚めた。やはり目の前には美少年の顔があったが今度は目が開いていた。
「…亮?」
亮くんはしばらく沈黙した後、凄まじいスピードで後ずさった。
「ご、ごめん!誠…いつの間にか布団に」
顔が真っ赤に染まっている。自分が寝相悪いのが恥ずかしかったのかな?
「いや、別に大丈夫だよ」
「でも…でも…」
亮くんがブツブツ言っている。今何時だろう…。目覚まし時計を見れば7時だった。結構寝たな。身を起こして、布団をたたむ。
まだブツブツ言っている亮くんに笑いかけた。
「亮の寝顔可愛かったし」
「なっ…」
顔を真っ赤にさせていた亮くんは口をぱくぱくとし、ムスッとした顔になった。あれ?怒るようなこと言った?
「と、とにかく、準備しよ!」
慌ててそう言って私は身支度をしだした。
~
楽しかった旅行も終わり、帰りのパーキングエリア。
お土産を買おうと思う!
まずはなつちゃん、有紗ちゃん、美智ちゃんには可愛いお菓子がいいかな?
一応、このパーキングエリアは他グループのものなので私達がいた旅館のお土産は置いていない。
お、このマカロンとか良さそう。…でもこっちのご当地キャラのキーホルダーも可愛いな~。よし、やっぱりチョコレートにしようかな。
続いてはクラスのみんなにもあげよう!いつも色々とお世話になってるしね!おせんべいとか、飴とかがいいかな?あ、この白馬の園とかいうクッキーいいな!よし、1人一箱買っていこう!
私は何気にお金稼いでるから1人一箱は大したことないよ!でも、一箱800円はぼったくりだな…。
あと、赤羽くんにもあげようかな。ぐるぐるキャンディーとかどうかな?不良赤羽、その手に握るのはぐるぐるキャンディー。やばい!これは…ひどいや。やめよう。キャンディーはいけない。あ、このバラエティークッキーセットを贈呈してあげよう!多分、甘いの好きだよね。勘だけど。
こんなものかな…あとは、琴音の御褒美にこのスルメでも買っておこう。
よし、お土産終了。
こうして私たちは無事に帰路についた。ただ、着いた時に書記がこう囁いたのが気になる。
「社長…どうやらあのパーキングエリア。私達をライバル視している企業のものらしいです。社長と同い年の令嬢がいるようで…。我社から引き抜きも考えているようです。用心しておいてください」
うーん...仕事が一流だから精神科に行くのはやめさせとくか。
明日は投稿お休みしますm(_ _)m
7/3微修正




