第7話:カリブの闇と過酷な治安地帯の解放
【前書き】
お読みいただきありがとうございます! 作者です
世界では、まだまだ、資源や富は不足しているものだという、負の原理に縛られている方々が多いようです。
無限の想像ができる世界になったら、争う必要すらなくなるのだと思います。
そんな世界を実現できるテクノロジーを開発できた世界戦では、すべての人々が与え合い、分かち合うことになります。
そんな世界線を描いた本稿をお楽しみください。
### 1. 殺戮と暴力の街——カリブ海・中南米の闇
成層圏を優雅に滑空する『超高度戦術空中母艦 アウロラ』のブリッジ。
メインモニターには、地球全体の高精度ホログラムマップが浮かび上がっていた。
国と国が交戦する大規模な戦争の火種こそ鎮火しつつあったが、マップ上の特定の地域には、なおも赤く黒ずんだ無数の不吉な点滅が残されていた。
「四条殿。国家間の正規戦だけが『戦火』ではないのだ」
ヴァイスマン大佐が険しい表情で画面の一部を拡大表示する。
拡大されたのは、美しい海とリゾートの裏側に凄惨な暗部を抱える**カリブ海諸国**、そして世界で最も殺人発生率が高く、武装ギャングや密輸カルテルが実質的に街を支配している**中南米の治安危機地域**だった。
「カリブの島国や中南米の一部では、国家機能が麻痺し、重武装したギャングやカルテルが市民を恐怖で支配している。警察や行政すら買収され、一般の市民や子供たちが毎日のように誘拐され、暗殺され、貧困のどん底に突き落とされているんだ。殺人発生率は戦争地域を遥かに上回るレベルに達している」
『ええ、分かっています、ヴァイスマン大佐』
四条邸・研究棟の中央オペレーションルームから、亘の声が響く。
『大規模なミサイルや空爆だけが人を殺すわけではありません。路上で放たれる一発の拳銃、若者たちを死に至らしめる違法薬物、そして恐怖で人を繋ぎ止める暴力機構……それらもまた、排除すべき「理不尽な火種」です』
「ワタル先輩! カリブ海のお友達や、街で怯えてる女のコたちを助けに行こう! 武器を持った怖い人たちから、みんなを守ってあげたいの!」
ユールスーツを纏ったユーリアが、胸の前で小さな拳を力強く握り締める。
「ええ。法律や国家の警察機能すら機能していない場所で傷つく人々を救うことこそ、私たちの倫理の真価が問われる局面ですわ」
アリアーナも凛とした表情で頷いた。
『よし。アウロラ、カリブ海および中南米上空へ位相展開転移! DWASチタンカード【Absolute Order & Crime Neutralization】を展開する!』
『了解しました、マスター・ワタル。高次元スピン上書きプログラム、対犯罪・対暴力グリッドへセットします』
可憐なお辞儀とともにルナがシステムを駆動させると、全長700mの白銀の母艦アウロラは、カリブの澄み渡る青い空へと一瞬で姿を現した。
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### 2. カリブ海周辺の無力化と、暴力機構の解体
カリブ海に浮かぶとある島国の首都。
そこでは、警察組織を上回る火力を誇る重武装ギャング団が、街の区画を占拠し、市民から不当なみかじめ料を奪い、従わない者を路上で容赦なく殺害していた。
「おい! 今月の金を払えないだと!? 家族全員、海へ沈められたいのか!?」
自動小銃を突きつけられ、泥の上にひざまずいて命乞いをする幼い親子。
男が嘲笑いながら引き金に指をかけた——その瞬間だった。
キーーーーーーン……!!
空から降り注いだ一筋のエメラルドグリーンの光(DWAS不活性化波動)が、街全体を優しく包み込んだ。
「あ……? なんぜ銃が動かねえ!? 弾が撃てねえぞ!?」
男が焦って何度も引き金を絞り込むが、銃口からは発射音が鳴るどころか、薬莢の中の火薬すら不発のまま完全に沈黙していた。
さらに、腰に差していたナイフや大刀すらも、DWASの分子構造制御によって一瞬で柔らかいゴムのような質感へと変質し、人を傷つける強度を完全に喪失した。
「な、なんだこれは!? 刃物が曲がっちまった!?」
驚愕し混乱するギャングたちの頭上から、流星のような光とともに舞い降りましたのは、白銀の汎用型強化外装を身に纏ったユーリアとアリアーナ、そして数百機の『自立型警察AIドローン』だった。
ドサッ、ドサッ!
『(現地の言葉で)暴力による支配は、本日をもって終了しました』
アリアーナの声が広域スピーカーから澄み渡る。
『あなたがたが人々を脅し、命を奪うために使っていた武器は、すべて物理法則レベルで無力化されました。二度と他者を傷つけることは不可能です』
「くそっ! 銃がダメなら力づくで——」
襲いかかろうとするギャングの男たちに対し、自立型AIドローンから放たれた『DWAS拘束フィールド』が作用する。
相手を傷つけることなく、身体の動きを優しく、けれど絶対に解けない非物理的な光の帯で固定し、無力化していく。
同時に、空からは高機能救命ポッドと支援ドローンが降下。
路上で傷つき、貧困に苦しんでいた住民たちへ、ナノ医療スプレーが散布され、傷や病気が一瞬で癒やされていく。さらに、湯気を立てる温かい食事と清潔な水、そして新しい衣服が無償で手渡された。
「あ……あたたかい……! 怖くない……!」
「お巡りさんも怖くて来られなかったこの街に……天国からの使いが来てくれた……!」
涙を流して抱き合う住民たち。
恐怖と暴力で街を牛耳っていた男たちは、武器を失い、さらに住民たちが脅えなくなったことで、自らの行ってきた「暴力の虚しさ」を突きつけられ、その場に崩れ落ちるしかなかった。
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### 3. 中南米の密輸カルテル壊滅と『絶対安全領域』の確立
「ワタル殿! カリブ諸国の主要都市における対犯罪不活性化グリッドの定着を確認した! 続いて中南米の山岳地帯・密輸カルテルの巨大拠点へ向かう!」
アウロラのブリッジで、ヴァイスマン大佐が的確に司令を出す。
中南米のジャングル奥深くに存在する密輸カルテルの巨大要塞。
そこでは、私設軍隊並みの重兵器や装甲車、果ては自作の潜水艦までを配備し、世界中へ違法薬物を撒き散らし、莫大な裏資金と強力な武力で国家の司法すら脅かしていた。
「全対空ミサイル、目標上空の巨大船! 撃てえぇぇぇっ!!」
カルテルのボスが狂乱して叫び、数十発の対空ミサイルがアウロラへ向けて打ち上げられた。
しかし——。
シュン……。
アウロラの艦底から放射されたDWASバリアに触れた瞬間、ミサイルは爆発することなく全推進力を失い、ただの空き缶のようにジャングルの木々の中へとハラハラと落ちていった。
「な……対空ミサイルが効かない……!? 装甲車を出せ! 撃ちまくれ!」
突撃しようとするカルテルの装甲車群。
だが、四条邸の研究棟から亘が繰り出したDWASチタンカード【Material Transmutation & Purification】の光が戦場を包み込んだ。
バリバリバリッ……!
「うわあああ!? 薬物が……倉庫の薬物が全部ただの『砂糖』と『小麦粉』に変わっていくぞ!?」
「装甲車もだ! 鉄の装甲がプラスチックみたいにフニャフニャになっちまった!」
カルテルが莫大な資金源としていた違法薬物は、DWASの分子書き換えによって完全無害な無臭の食品へと浄化された。
重兵器も、密輸用の潜水艦も、すべてただの鉄くずへと変えられていく。
そこへ、ヴァイスマン大佐の威厳に満ちた声が響き渡った。
『カルテルの構成員たちに告ぐ! 諸君らが依存していた武器も、違法な資金源も、すべて消滅した! 諸君らが若者たちの未来を破壊し、暴力を撒き散らす時代は完全に終わったのだ!』
自立型AIドローン群が降下し、カルテルの全構成員を無傷で拘束。
同時に、カルテルによって脅迫され、不当な労働を強制されていた現地の農民たちには、広大な農地を再生させるDWAS土壌浄化技術と、無償の生活支援が提供された。
「これでもう、恐ろしいカルテルの言われるままに毒の植物を育てなくていいんだ……! 本当に、家族と一緒に安心して暮らせるんだ……!」
農民たちは農具を抱きしめ、天を仰いで感涙を流した。
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### 4. 残された地球の闇と、さらなる火種への誓い
「ワタル先輩……! カリブ海も中南米も、みんなの悲鳴が聞こえなくなってきたよ!」
アウロラのブリッジで、ユーリアが嬉しそうにモニターを見つめる。
モニター上では、カリブ海や中南米を覆っていた不吉な赤い点滅が、次々と平穏を示す希望の青色へと塗り替えられていた。
「ええ。暴力と恐怖でしか人を繋ぎ止められなかった不当な支配機構が、物理的・経済的に完全に解体されましたわ」
アリアーナも安堵の笑みを浮かべ、胸の前で深く感謝の祈りを捧げる。
「うむ。戦争だけでなく、市井の暴力や治安危機までをも完全に鎮圧する……これこそが真の意味での『全人類の救済』だな」
ヴァイスマン大佐が力強く頷き、四条邸・研究棟の亘に向かって胸を張った。
『ありがとうございます、皆さん。ですが……地球上には、まだまだ私たちが介入すべきキナ臭い地域や、表面化していない暗部が残されています』
亘は研究棟のコンソールを操作し、地球儀上の残る「未解決エリア」を提示した。
『人権侵害が横行する極寒の孤島収容所、宗教的狂信によって人々が閉じ込められている閉鎖地域、そして海賊が横行する海域……。地球上のどこかに一人でも理不尽に泣いている人がいる限り、俺たちの第1章は終わりません!』
「もちろんだ! どこへでも同行しよう! ヴァイスマンの名にかけて、すべての火種を鎮火させてみせる!」
「うん! 私たち、絶対に誰も見捨てないんだから!」
戦争のみならず、市井の暴力や治安危機をも圧倒的テクノロジーで解体した亘たち。
地球上のあらゆる理不尽を叩き潰し、全人類を完全な平和へと導くための戦いは、第1章のさらなる激動の展開へと続いていくのだった。
【後書き】
第7話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
今回は、国家間の戦争だけでなく、カリブ海周辺や中南米に根深く残る「高殺人率」「重武装ギャング」「密輸カルテル」という市井の過酷な治安危機へと本格介入いたしました!
武器を無力化するだけでなく、カルテルの違法薬物を一瞬で無害な砂糖や小麦粉へ浄化し、暴力の根源そのものを解体する無双劇、お楽しみいただけましたでしょうか。
第1章はまだまだ続きます!
次回第8話では、地球上に残された「人権侵害の極寒収容所」や「閉鎖された狂信地域」「海賊の横行する海域」など、さらなるキナ臭い地域を破竹の勢いで人道解放してまいります!
作品を気に入っていただけましたら、ぜひブックマークや評価(★★★★★)で応援していただけると非常に大きな執筆の励みになります! 次回第8話もどうぞお楽しみに!




