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第15話:トリニティ・プラネット始動! 金星・火星の軌道補正と緑化

【前書き】


お読みいただきありがとうございます! 作者です。


「なぜ人類はこれまで争い続けてきたのか?」

その根底にある理由を考えると、やはり「居住可能な惑星が地球たったひとつしかなかったから」という結論に行き着きます。


たったひとつの小さな星で、土地や資源を奪い合い、常に全滅のリスクと隣り合わせで生きてきた……。

ですが、もし太陽系内にきれいに均衡の取れた美しく居住にふさわしい惑星が「3つ」存在したならどうでしょうか?

仮にひとつの惑星に何か天変地異が起きたとしても人類は確実に存続できますし、そもそも他者から無理に奪い合う理由そのものが根底から消滅します。


月面都市『アーク・ルナ』の完成は、まさにその「絶対安心の未来」へ向けた第一歩。

今回は、いよいよ金星と火星の同時テラフォーミングと軌道補正へ挑む、圧倒的スケールの第15話をお届けいたします!


### 1. 奪い合いの根源を絶つ——3つの青い惑星の必然性


月面都市『アーク・ルナ』の頭上に広がる、巨大な高次元透過ドーム。

その真下に広がる緑豊かな中央公園のテラス席で、四条亘は温かいコーヒーを手に、漆黒の宇宙に浮かぶ青い地球を見上げていた。


「ワタル先輩、何を考えているの?」


スカイブルーのユールスーツ姿のユーリア(16)が、シルバープラチナのショートボブを風になびかせながら、亘の隣の椅子へと可憐に腰掛けた。

その隣には、ブロンドの髪を綺麗にまとめたアリアーナ(18)と、元連隊長としての風格を漂わせる父ロベルト・ヴァイスマン大佐(40)が穏やかな笑みを浮かべて並んでいる。


『ユーリア。俺ね、ずっと考えていたんだ。なぜ人類は何千年も互いを傷つけ、奪い合ってきたのかを』


「奪い合いの……理由……?」


『うん。結局のところ、これまでは「生命が安全に暮らせる場所が地球たったひとつしかなかったから」なんだよ。ひとつの星の限られた土地、限られた資源を奪い合い、万が一隕石が落ちたり環境が壊れれば全滅してしまうという潜在的な恐怖があった。……だから人は怖くなり、他者を排除しようとしたんだ』


「なるほど……!」


ロベルト大佐が深く感嘆の息を吐き、膝を叩いた。


「地球というひとつの籠の中にすべての卵を盛っていたからこそ、人は失うことを恐れ、奪い合う不足の思想から抜け出せなかったのだな。……だが、もし生命が生きられる美しく均衡の取れた惑星が『3つ』あればどうだ?昔から大切なものは3つの籠に分けろって誰かが言ってたよな。」


『ええ、大佐。仮にひとつの惑星に何か巨大な天災が起きたとしても、人類という種は絶対に存続できる。そして、何十億人がどれほど豊かに暮らしても余りある広大な土地と資源が3つの星に均等に存在すれば……もはや世界中の誰にとっても、他者と争う理由そのものが根底から消滅するんです』


「それこそが……『トリニティ・プラネット構想』の真の意味なのですね」


アリアーナが胸の前で手を組み、澄んだ瞳を輝かせた。


『はい! 月面『アーク・ルナ』はほんの第一歩。今から、金星と火星を同時にテラフォーミングし、地球を含む3つの美しき姉妹惑星を完成させます!』


---

挿絵(By みてみん)

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### 2. 金星と火星への同時DWAS介入と軌道・質量補正


成層圏から月軌道へと移動した『超高度戦術空中母艦 アウロラ』のメインブリッジ。

全幅700mの白銀の母艦の前面に、金星と火星のリアルタイムホログラムが巨大に投射された。


ひとつは、濃硫酸の分厚い大気と90気圧・460度に達する地獄の灼熱惑星——**金星(ヴィーナス)**。

もうひとつは、大気が薄く極寒の赤く枯れ果てた砂漠惑星——**火星(マーズ)**。


「マスター・ワタル。金星および火星に対する同時高次元スピン同調準備、完了しました」


実体化AIルナが、マテリアル化(現実化)が進み、よりしなやかで存在感の増した白い衣装を揺らしながらアナウンスする。


『よし! DWASチタンカード【Planetary Trajectory & Atmospheric Transmutation】発動!』


四条邸・研究棟のオペレーションルームで、亘が指先で結晶チタンカードを軽やかに一回転させ、スロットへセットした。


シュン……! シュン……!


アウロラの主機DWASジェネレーターから解き放たれた二筋の巨大な幾何学波動の光線が、太陽系を切り裂き、金星と火星へと同時に到達した。


まず始まったのは、全宇宙の物理学者すら失神するレベルの『天体軌道および質量密度補正』だった。


バリバリバリバリッ……!!


DWASの次元波動が高次元スピンの場を書き換え、太陽に近すぎて灼熱化していた金星の公転軌道を少し外側へと滑らかに移動させ、逆に太陽から遠く小さすぎた火星の軌道を少し内側へと移動させた。

さらに、DWASの質量補正場が作用し、火星の内部コアを高次元エネルギーで活性化。失われていた巨大な「固有磁場(バン・アレン帯)」を一瞬にして再生・増強させたのだ。


「す、すごすぎる……! 惑星そのものの軌道と磁場が、まるでパズルのピースのように完璧なハビタブルゾーン(生命居住適正位置)へ書き換えられていく……!」


ロベルト大佐がモニターにしがみつき、あまりのスケールに武者震いを上げた。


---


### 3. 大気浄化と『瞬時緑化(プラネット・グリーン)』


軌道と磁場が完璧に整えられた金星と火星に対し、次なる大変化が訪れた。


「ルナ! 両惑星へ向けて【Atmospheric Transmutation】の元素書き換え波動を投射!」


『了解しました、マスター・ワタル。元素再配置プログラム、投射します』


キーーーーーーン……!!


金星を覆っていた90気圧の濃硫酸と二酸化炭素の地獄の雲が、DWASの分子結合解除によって一瞬にして中和・分解された。

二酸化炭素は清らかな大気(窒素78%、酸素21%)と豊かな炭素土壌へと錬成され、過剰な温室効果が瞬時に消滅。460度だった表面温度は、地球の地中海と同じ快適な22度へと急速に冷却されていった。


空から降り注ぐのは、濃硫酸の雨ではなく、果てしない恵みの清らかな大雨。

乾燥しきっていた金星の地表に、広大な青い海と緑の湿地帯が誕生した。


一方、火星——。

磁場が再生されたことで太陽風の脅威が去った赤い大地に、アウロラから散布された『高機能テラフォーミング・ナノ胞子』とDWASの水錬成波動が降り注ぐ。


ドドドドドッ……!!


赤かった砂漠が、一瞬にして見渡す限りの深いエメラルドグリーンの森林と、豊かな青い海洋へと変わっていく。

かつて生命の存在すら疑われていた極寒の赤い星が、地球と全く同じ水と緑に満ちた「第二の地球」へと変貌を遂げたのだ。


「ワタル先輩……! 見て! 金星も火星も……青くてとっても綺麗な地球の妹たちになっちゃった!!」


ユーリアが透過ウィンドウに張り付き、瞳に大粒の嬉し涙を浮かべながら叫んだ。


「まあ……! なんて美しいのでしょう……。金星の雲が晴れて、青い海と緑の大地が広がっていくわ……!」


アリアーナも感極まり、胸の前で深く祈りを捧げた。


---


### 4. 三姉妹惑星(トリニティ・プラネット)の完成と、全人類の未来


作業完了から数時間後。


アウロラのメインモニターには、太陽を挟んで美しく調和した軌道を巡る「3つの青い惑星(地球・金星・火星)」の完璧な三次元マップが浮かび上がっていた。


『ルナ、金星および火星の環境測定データを報告してくれ』


『はい、マスター・ワタル。金星(新ヴィーナス)・火星(新マーズ)ともに、表面気圧1.01気圧、平均気温21度、大気組成・重力加速度ともに地球と99.9%同等。全地域において人間が素顔で生活・呼吸可能な環境が完成しました』


ルナが晴れやかな笑みを浮かべて報告する。


「全人類に告ぐ! 太陽系第2居住惑星『ヴィーナス』、ならびに第3居住惑星『マーズ』のテラフォーミングが完璧に完了した!」


ロベルト大佐の威厳に満ちた声が、地球、月面『アーク・ルナ』、そして全人類の端末へと誇らしく響き渡った。


『世界中の皆さん。これで……俺たちが求めていた「本当の安心」が完成しました』


四条邸・研究棟から、亘の静かで温かい声が世界中へ届く。


『地球、金星、火星。3つの美しい居住可能惑星が、もう誰の所有物でもなく、全人類の無償の共有財産としてここに存在します。土地を争う必要も、資源を奪い合う必要も、万が一の全滅を恐れる必要も……もう永遠にありません!』


地球、そして月面都市アーク・ルナで画面を見つめていた何十億もの人々から、地鳴りのような歓声と涙が溢れ出した。


「すごいや……! 別の星へ自由に移住できるんだ!」

「家も、農地も、綺麗なお水も全部タダで、好きな星で新生活を始められるなんて……!」

「もう戦争なんて、本当に昔のおとぎ話になっちゃったんだね……!」


人々は空を見上げ、新しく誕生した2つの青い兄弟星に向かって、笑顔で手を振り合った。


---


### 5. 木星・土星フロンティアへの大いなる一歩


夜深くなった月面都市『アーク・ルナ』の中央展望タワー。


ガラス越しに広がる静かな緑の街並みと、その上空に輝く「地球」「金星」「火星」の3つの青い光。

亘の隣には、ユーリア、アリアーナ、ロベルト大佐、そしてマテリアル化が進み、温かな実体を持つようになったルナが並んでいた。


「ワタルさん……。本当にお見事でしたわ。人類の歴史は、今日この瞬間から『奪い合いの時代』を完全に脱し、『無限の豊穣の時代』へと進化いたしました」


アリアーナが優しく微笑み、亘の手を包み込む。


「うん! ワタル先輩、私ね、今度は火星のお花畑や、金星の綺麗なお海にも行ってみたい!」


ユーリアが亘の腕にぎゅっと抱きつき、無邪気な笑顔を見せる。


「ハハハ! 忙しくなるな、ユーリア! だがワタル殿、トリニティ・プラネットが完成した今、我々の旅はこれで一段落……というわけではなさそうだな?」


ロベルト大佐が不敵な笑みを浮かべ、夜空のさらに奥——黄金色に輝く木星や土星の方向を指差した。


『ええ、もちろんです、ロベルト大佐!』


亘は胸を張り、力強く頷いた。


『3つの居住可能惑星の完成は、太陽系テラフォーミングのほんの第一幕。次は……木星の衛星ガニメデやエウロパ、土星の衛星タイタンやエンケラドスといった衛星群へのテラフォーミングと拠点開発です! 人類が外宇宙へ進出するための「最先端前線基地」や、誰もが夢見る「巨大宇宙観光リゾート」を築き上げます!』


「よし! 我らヴァイスマン一家、そしてアウロラ全クルー、どこまでもワタル殿に同行しよう!」


3つの青い惑星が美しく並び立つ太陽系で、少年の掲げる真理のテクノロジーは、人類の可能性を無限の宇宙へと解き放ち、次なるフロンティアへと力強く飛翔していくのだった!


(第15話・完 / 第16話へ続く)


【後書き】


第15話をお読みいただき、本当にありがとうございました!


前書きでお話しした「居住可能惑星が少ないことこそが紛争の根源である」という考察をもとに、DWASの絶対的テクノロジーによって金星と火星の軌道・大気を同時に補正し、地球・金星・火星という3つの美しき姉妹惑星【トリニティ・プラネット】を完成させる感動の無双劇をお届けいたしました!


奪い合う理由そのものが宇宙規模で消滅し、全人類が真の平和と豊かさを手に入れた瞬間、お楽しみいただけましたでしょうか。


次回第16話からは、いよいよ太陽系外縁部へのアプローチとして「木星衛星(ガニメデ・エウロパ)および土星衛星(タイタン)のテラフォーミング&宇宙観光リゾート化計画」が本格始動いたします!


もし作品を面白いと思っていただけましたら、ぜひブックマークや評価(★★★★★)で応援していただけると非常に大きな執筆の励みになります! 次回第16話もどうぞお楽しみに!

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