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【第二部】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない  作者: DAI


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第28話


魔王城遺跡の王の前。


「......ありがとう。フィーネ......大好きだよ」

アズラエル=ハンスはフィーネの腕の中で息を引き取った。


「いや! ハンス! また一人にしないで!」

フィーネは嗚咽した。王の間に泣き叫ぶフィーネの声だけが響く。


ハンスの亡き骸はフィーネの腕の中でチリとなって消えた。あとには白い仮面だけが残された。


「ハンス......」

フィーネは半分に割れた仮面を手に取り、口づけをした。


「フィーネ!」

リリィの鎖が解け、フィーネに駆け寄る。

「リリィ......無事で良かった......」

「フィーネ! 私、なんて言って良いか......」

「リリィ、私は大......丈......夫......」

フィーネは張り詰めていたものがプッツリと途切れたように、意識を失った。




数週間後、エルドランド城。


「女王陛下! お知らせがございます!」

大臣が慌てて駆け込んで来る。

「どうしたの?」

リリィがキョトンとして大臣を見た。

「フィーネ様が! フィーネ様の意識が戻りました!」

「フィーネが!?」

リリィは慌てて立ち上がり、フィーネが居る部屋に向かって走って行った。




「う......ん。」

どれくらい眠っていたんだろう? 窓から射し込む光か眩しい。右腕を動かそうとしたが、まだ痛む。


「フィーネ!」

リリィが部屋に飛び込んできた。

「リリィ......」

フィーネは身体を起こす。

「フィーネ! 良かった!」

リリィがフィーネに勢い良く抱きついた。

「リリィ、心配かけてごめんね」

「フィーネ! うわーん!!」

リリィの目から涙が溢れて止まらない。


フィーネが意識を取り戻したと言う連絡を受けて、ゴブローたちもやって来た。

「フィーネ......本当に良かった」

オルガが涙を拭いながら近づく。

「オルガ.......私、何て言えば良いか......」

フィーネはオルガの方に手を伸ばし、手を繋いだ。しかし、その目には憂いが浮かんでいた。


「まだ目覚めたばかりで混乱しているだろう。しばらくゆっくり休めば良い。」

大臣が言う。

フィーネは、体力と魔力が戻るまで静養することになった。




「......ハンス......私、二度もあなたを失ってしまった......」

フィーネはうつむき涙ぐむ。

「ハンスの命を弄んだ。メルティナ、私はあなたを絶対に許さない」

フィーネは拳を握り締めた。


「フィーネ、今、大丈夫?」

オルガが部屋に入ってきた。

「オルガ、ありがとう。私は大丈夫」

「アズラエル......ハンスのことは、残念だった」

オルガがフィーネの手を握る。

「もう900年も前の話よ。今の私にはオルガや皆んながいる」

「でも、アズラエルは......」

「悪いのはメルティナよ。人の命を弄ぶ、私はメルティナを絶対に許さない」

フィーネの瞳には怒りの炎が滲んでいた。

「フィーネ、気持ちは分かるよ。でも憎しみは憎しみしか生まない。メルティナのことは、僕やゴブローに任せて欲しい」

オルガは静かに諭すように言った。

「オルガ......ありがとう。」

フィーネは穏やかな顔で言う。



フィーネたちは数日後、ウエスの森に戻ることになった。



リリィは一人考え事をしていた。

(フィーネは、本当に大丈夫かしら? 一人で無茶な事をしなければ良いけど......)

リリィの頭に不安が過ぎる。

リリィは大臣を呼んだ。

「女王陛下、お呼びでしょうか?」

「実は、私もフィーネたちと一緒に行こうと思うの」

リリィは真剣な眼差しだ。

「何を仰るのですか? 陛下!」

「勝手な事を言ってるのは分かってます。でも、フィーネを放ってはおけない。」

リリィは引き下がる気はないようだ。

「......分かりました。陛下の留守の間は私めにお任せください」

「頼みます。大臣」

リリィはフィーネを守る為、ウエスの森に戻る決意をした。




出発の日。


「準備出来たぞ!」

ハクが荷物を抱えてきた。

「私たちも準備出来たわ」

ホウオウとスザクもやって来る。

「わらわはまだ眠いぞ」

ミカエルが眠い目を擦りながら歩いている。

「そろそろ出発ですわね」

アイリスとイブも合流した。

「皆んな、揃ったな?」

オルガとゴブローは既に馬車に乗って待機している。


フィーネは一人で先に馬車に乗っていた。

(メルティナは深淵の国にいる......深淵の国に行くには深淵の鍵と月の歌が必要......エリーゼとリリィの協力無しでは行けないわ。でも、これ以上リリィを巻き込めない)


「フィーネ! 皆んな!」

明るく元気な声が聞こえて来た。

「この声は......リリィですにゃ?」

エリーゼが声のする方を見て叫ぶ。


「リリィ!? どうして?」

フィーネが馬車から顔を出す。

「だって、フィーネと皆んなは私の家族だもん! 一緒に行くよ!」


「リリィ!」

リリィを中心に家族皆んなが集まる。

「皆んな! またよろしくね!」



こうして、再びリリィが加わった家族はウエスの森の丸太小屋への帰路に着いたのであった。



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