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【第二部】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない  作者: DAI


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第26話

ここはエルドランド王国の辺境にある魔王城遺跡。


フィーネは城の大広間で無数の魔物に囲まれていた。

「ライトニングストーム!」

周囲の魔物が一瞬で塵になって消えていく。

「キリがないわね......」

フィーネはため息をついた。

「あぁ! 面倒くさい!」

フィーネは両手に魔力を込め、階段に向かって走り出した。


襲い掛かる魔物を魔法で簡単に退ける。足速に階段を駆け上がって行くと更に長い廊下が続く。


追いすがる魔物を振り切ってフィーネは、王の間の前に辿り着いた。


「ここにアズラエルが居るのね」

フィーネは力を込めて扉を押し開ける。

ギィ......

鈍い音を立てて扉が開いた。


目の前の玉座には仮面の男ーアズラエルが座っている。その横には鎖に繋がれたリリィが項垂れて床に座っていた。


「リリィ!」

フィーネが叫ぶ。

項垂れていたリリィが顔を上げた。疲れた顔をしているが、目には力が宿っている。

「フィーネ......」

リリィがつぶやく。


「来たな。エルフ、いや、フィーネ」

アズラエルは低く落ち着いた声で話す。仮面の奥の目は鋭さを増している。

「アズラエル。あなたを私は許さない。リリィは返して貰うわ」

フィーネは声に力を込める。


「ならば、私から奪ってみろ」

アズラエルが立ち上がり、前に歩み出る。

フィーネは、両手に魔力を溜め身構えた。


「ダークネスアロー!」

漆黒の矢がアズラエルの右手から放たれる。

「バリア!」

フィーネは防御魔法で弾き返した。

「ダークネスアロー!」

今度は複数の矢がフィーネに襲い掛かる。しかし、それもバリアでかわした。


「三司祭も大したことないわね」

フィーネが言うと、

「今のは準備運動だ」

アズラエルはそう言って魔力を溜める。

「ダークネスストーム!」

黒い嵐がフィーネの周囲を包み込み、覆い尽くす。

「ライトニングアロー!」

黒い嵐の中のフィーネが光の矢を放つ。

ババババッ!

アズラエルの前後左右から光の矢が襲う。

「エルフ。思っていたよりもやるな」

アズラエルの仮面の奥の目はピクリとも動かない。

黒い嵐がおさまり、フィーネの姿が現れた。フィーネも平然と佇んでいる。

「アズラエル。お遊びはお終いよ」

フィーネは再び両手に魔力を込める。


「ライトニングドラゴン!」

光の竜がアズラエルを襲う。

「面白い......」

アズラエルは両手を掲げて防御の姿勢をとる。

光の竜は稲妻の如く空気を切り裂いてアズラエルに命中した。


が、アズラエルは悠然と立っている。

その時、フィーネはアズラエルの懐に飛び込み拳を繰り出した。

「ぐはっ!」

油断をしていたアズラエルの腹にフィーネの拳がめり込む。

「油断禁物よ!」

フィーネは間髪入れず、足元に蹴りを入れる。

「ぐっ!」

堪らずアズラエルは膝をついた。


「フィーネ。謝罪しよう。私は君を甘く見ていた」

アズラエルはゆっくりと立ち上がる。

「ここからは本気でお相手する」

アズラエルの身体が宙に浮く。両手から衝撃波のようなものが放出され、フィーネを襲った。

「くっ!」

フィーネは防御の姿勢をとる。

足や胴、腕に傷が刻まれる。

「まだまだ!」

フィーネは両手から魔法を放つ。

「ライトニングアロー!」

無数の光の矢が雨のようにアズラエルに降り注ぐ。

「こんなもの!」

アズラエルの身体に数本の矢が突き刺さるが、ダメージはそれほど大きくは無い。


「フィーネ!私と共に来い。無駄な抵抗は止めるのだ」

アズラエルは床に降りて、フィーネに向かって突進してきた。右手に魔力を集中し、その拳をフィーネの身体に叩き込む。

「くっ! ぐはっ!」

フィーネはうずくまった。


「フィーネ!」

リリィが叫ぶ。


「フィーネ、よく頑張った。これでトドメだ」

アズラエルがフィーネに向かって最後の一撃を与えようとしたその時。


(......大好きだよ......)

「や、止めろ! 私の頭の中で話すな!」

アズラエルは頭を抱えてうずくまった。


「何が起こったの......?」

リリィが、その様子を見てつぶやく。

フィーネは気絶してしまっている。




アズラエルの意識は朦朧としていた。

ぼんやりとした視界が徐々にハッキリとしてきた。

「ここは......」

長閑な田園風景。丸太で出来た小屋が建ち、畑を耕やす人がいる。道を行き交う人々は普通の人間のように見えるが、皆、耳が尖っている。

「おい!これを持って行ってくれ」

急に声をかけられて振り返ると、農夫らしい男がたくさんの野菜を持っていた。

「......ス。これをお隣に持って行ってくれ」

男から野菜を受け取り、歩き出す。



すると、長閑な田園風景は一変した。

燃え上がる火の手。逃げ惑う人々。宙を舞う焼け焦げた煤。そして、巨大な魔物。



目の前には、美しい銀髪の少女が向こうを向いて立ち尽くしている。その肩に手を置いた瞬間。

すごい力で何かに体を持ち上げられた。

グワーッ!

一つ目の魔物サイクロップスだ。

その片手に持ち上げられた身体は逃げようとしてもがいてもびくともしない。


そして、その巨大な口に足から呑まれた。

身体に激痛が走る。


その霞んだ視界に、あの少女の姿が見えた。


最後の力を振り絞り、少女に声をかける。




「ありがとう。フィーネ、大好きだよ」



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