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【第二部】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない  作者: DAI


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第15話


ここは、三司祭の一人バロールの精神世界。


少女の姿に戻ったフィーネはハンスと手を繋ぎ、荒野を歩いていた。


「ハンス、何処まで行くの?」

「......エルフの里だよ」

ハンスは一瞬口篭った。

「里は魔物に襲われて無くなっちゃったよ」

フィーネは不思議そうに聞く。

「別の里があるんだよ。そこに行こう」

「うん、わかった」

フィーネはハンスを信じることにした。


しばらく歩くと荒野が草原に変わった。

「里までもうすぐだよ。フィーネ」

ハンスが言う。

(......探して......)

フィーネの頭の中に声が響く。

「誰?」

フィーネは頭の中の声に訊ねる。

(......ィナ......探して......返して......)

「何? 誰を探すの?」

フィーネの問いに応えはない。

「どうしたの? フィーネ?」

ハンスが聞く。

「ううん。何でもない」

フィーネはハンスと繋いだ手を離してしまった。その手に光るものが見える。

「これって......?」

左手の薬指に指輪が光っている。

「......オルガ?」

その瞬間。フィーネの姿が元の大人の姿に戻った。

「そうだわ、私......何で忘れてたんだろう?」

フィーネは我に返った。

「フィーネ?さあ、行こう」

ハンスがフィーネの手を握ろうとしたが、フィーネは手を引っ込めた。

「ごめんなさい。ハンス、私は一緒には行けない。」

フィーネの言葉にハンスは驚いた表情を見せる。

「何で?フィーネ、僕とエルフの里で一緒に暮らそうよ」

ハンスの目が一瞬曇った。

「今の私には、婚約者が居るの。大事な家族もよ」

フィーネはハンスの目を見て言う。

「その人たちは、僕よりも大事なのかい?」

ハンスの瞳の色が真っ赤に変わって行く。

「ハンス、あなたはもうこの世には居ない。」

フィーネはハンスと距離を置く。

「そうか、残念だよ。もう少しだったのに」

激しい風が吹く。フィーネは思わず目を閉じた。

ゆっくり目を開けると、ハンスの姿は消え、草原は荒野に戻っていた。


「ハンス......ごめんなさい。私は"今"を生きるわ」


フィーネは、再び歩き出した。




一方。

ノーザリアの雪原。


三司祭の一人バロールとイブ、アイリス、ミカの三人が対峙している。


「女神に精霊神に魔王か。相手に不足は無いな」

バロールは不敵に笑う。

「バロール、フィーネとリリィを返してもらおう」

イブが言う。

「あの二人は俺の中にいる。俺を殺せば二人も死ぬ」

「ならば、あなたを倒して二人を取り戻しますわ」

アイリスが言う。

「さて、出来るかな?」

バロールは拳を握り戦闘の体勢をとる。


「イブ、アイリス! 行くぞ!」

ミカが両手をかかげ魔力を集中する。

「面白い。魔王ミカエル。魔族の王が俺たちに刃向かうか」

「うるさい! ダークネスアロー!」

ミカが魔法を放つ。漆黒の矢がバロールを襲う。

「こんなもの!」

バロールはいとも簡単に片腕で魔法を弾いた。

「まだまだ! ダークネスアロー!」

ミカは立て続けに漆黒の矢を放つ。

「ふっ。何発撃っても同じだ!」

両手で魔法を振り払う。


「ぼくの力を受けてみろ! ライトニングボール!」

イブは両手から光の球を連射する。

バロールはニヤリと笑いガードを固めた。

バババババッ!

バロールの身体が光に包まれる。

「まだまだ! ライトニングストーム!」

イブは攻撃の手を休めない。光の竜巻がバロールを追撃する。

カッ!

眩い光で目を開けていられない。

「やったか?」

イブが言う。

光が消える。が、バロールは微動だにせず立っていた。

「悪くなかったが、俺には効かないな」

バロールは肩の埃を払った。

「拘束せよ! フリーズ!」

アイリスが拘束魔法を唱える。

「俺に拘束魔法は効かんぞ!」

バロールは拘束魔法を弾き返した。


ミカがさらに魔法を畳み掛ける。

「ダークネスインフェルノ!」

漆黒の炎がバロールを覆い尽くす。

「グォーッ!」

バロールの身体が燃え上がる。しかし、その炎は直ぐに消えた。バロールは皮膚が少し焼けた程度で大したダメージを受けていない。


「だめだ。魔法では埒が開かない。イブ! 肉弾戦だ!」

ミカがイブに言う。

イブとミカがタイミングを合わせてバロールに攻撃を仕掛ける。

二人が拳を繰り出すとバロールはそれを全てガードする。

「面白い! 女神と魔王のコンビネーション! 素晴らしい!」

バロールは二人の攻撃を簡単にかわして反撃をする。

「うわっ!」

「くそっ!」

イブとミカはバロールの拳を喰らい、吹っ飛んだ。


「イブ! ミカ!」

アイリスは二人の方をみた。どうやら二人とも無事のようだ。

「女神と魔王、二人がかりでこの程度か!」

バロールは余裕の表情で勝ち誇る。


「まだだ! まだ負けてない!」

イブは立ち上がった。

「わらわも、こんなことではやられないぞ!」

ミカも立ち上がる。


(だが、どうする? どうやってフィーネとリリィを助ける?)

イブは考えを巡らせる。


イブとミカ。女神と魔王。

相反する二人の勝利の鍵は、二人の中にある。


(もしかして......)

アイリスは、何かに気付いたようだ。



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