第二十八話-1 迷い家奇譚の話。
お久しぶりです。
サラリと流してはいますが、人死に描写ありですのでお気を付けください。
さて、ある意味で一番最近の話でそれなりに昔の話。
決着、もしくは終焉が一番最近だ。
書き始めがは今年の一月だったんだが、今までかかってた。
迷い家をご存じだろうか。
まぁ、古民家。
それなりの土豪の小奇麗な家に、メアリセレストのように、ちょっと前まで誰かがいたようなそんな光景が残っている、それ。
一つだけ何かを持ち帰れる、と言えばわかりやすい。
浦島太郎もそういう話に部類はされるだろう。
本来ならば。
ある意味で、私はそこから帰還した。
正確には、ずっと前から巻き込まれていて、それが終わったというべきだろう。
基点が10歳の頃の記憶がない頃のことだから、かれこれ30年弱か。
シェンナ、道化師執事。
わんこ()もとい、颯牙。
後は、交流があった未契約の子らが、ついてた幽霊をどうにかして、その上でその記憶を奪っていた時期。
だから、それもあって本当、気づいたらそこに来ていたという感じである。
いつの間にか気づいたらそこにいたというような意味での。
のちのちに黒幕に聞いて、来たのは偶然らしいけど縁もよすがもあった。
うん、物理的に迷い家に来たわけじゃない。
夢の中に、無意識下にあるそこに誘拐された感じかな。
何度も何度も繰り返し繰り返し見ていた夢。
繰り返すが、その手を見ているけど、幼気な十歳の幼女の頃にだ。
一応、親戚が土豪というほどではないけど、時代が時代なら村長格/有力者だったせいもあるんだが。
そういう田舎の広い家というのはある程度知ってはいた。
或いは町内に、村長格の農家が貸しペンション?的に一棟丸々貸されている場所もあってなんとなくわかる。
それら差し引いてもデカい。
一番近い印象を言うと「ミステリという○れ」の映画、あれのロケ地がちかいだろうか。
あれぐらい広いくて複雑だ。
広いんだけど、あれほど、統一性がないというか。
大きく分けてブロックが三つ。
中央の農村の村長格の家といったような二階建て。
入って正面に四人並んであるけそうなでかくて急な階段。
緋色の漆っぽいつやのある木製だ。
入ってすぐが砂利を固めた土間で、右が厨。
印象的にはかまど炊きだけど、洗い場はタイル製で近所の料亭ぐらい、数十人単位を作る前提。
十畳以上の部屋が点在してて、タンスと文机、座布団、畳んだ布団、あと、小さめではあるけど仏壇が絶対にあった。
後は、お茶菓子受けやお茶(茶托つき)や鉱石製の文鎮とか、迷い家伝説を知ってるなら持ち帰りそうなそれら。
火鉢や本がバラバラあったりなかったり。
中央玄関から向かって左側につながる。
そっちから初めは入った。
印象としては千と千尋の神隠しの表に近い印象。
二十年以上、見て回れる範囲は見たけど、風呂はないが、ああいうあでやかな非日常のモダン和風とでもいうか。
明治初期の和風洋館と言うかああいう感じだった。
階段一つでも母家屋の屋敷よりも鮮やかな朱塗りだったりしたし毛足の短い絨毯敷き。
ついぞ、全部を見なかったけど吹き抜けだけで五階層、7階分はあったかな。
幾つかの部屋や区域が見れなかったけど、ものすごい広い。
うん、強欲な人ならそこから選ぶんじゃない、迷い家伝説を知っていれば。
旅館とかでしか見ないようなデカい壺やアメジストの結晶窟何手のごろごろしてた。
大きい150センチぐらいの結晶窟から30センチぐらいの素手でも運べそうな。
でも、部屋の中もばらばらだったけど、ここも見た部屋は必ず仏壇があった、大小さまざまな。
一番小さいのは位牌と仏の御姿の掛け軸一つつるせば終わるような小さな。
大きいのは古い農家にありそうな三服はつるせそうな、仏具屋で洗浄前洗浄後の見本になってそうなそれ。
で、だ。
右側がある意味でセ-フティネットだった。
一番、田舎の農村家屋を知ってれば親しみの湧くような。
昭和から平成初期のああいう感じ。
畳敷きのテレビの部屋と台所、食糧庫パントリが並んでたり。
奥に作業部屋があったり、十畳ぐらいの座敷。
かといって、洋間の客室だったりオーディオル-ムがあったり。
部屋数にしても、台所とテレビ部屋。廊下とつながった作業部屋を抜いて15畳以上のが三つ。
十畳ほどが二つ。二階に20畳二つと十畳二つ。
まぁ、私が知ってる本家の木造農村家屋とそう変わらないぐらいだった。
もちろん、仏壇があったけど。
台所にも食糧庫にもあった。
普通の家屋だと建て増し部分のよく行く書庫とゲ-ム部屋、一番奥の応接室なサンル-ムは最初は足の踏み場もないぐらいだった。
これだけなら、湯気の立つお茶や湯気の立つ定食なんかあった。
人が寸前までいたような気配があったからね。
迷い家だと勘違いするだろうさね。
陳腐ではあるが、その三つのどれにも黒いナニカがいた。
多分、行き方を考えれば“魂”を食べるナニカ。
何種類かいて。
左側のエリアを便宜的に『旅館』。
中央を『母屋』
右側を『離れ』とでも言っておこうか。
満遍なくいたけど、『旅館』>『母屋』>>『離れ』ぐらいの勢いで『離れ』には少なかった。
逆に強さ?は旅館が一番弱かった。
黒一色であることを抜いても頭と四肢、二足歩行だけどあれを人間というのは無理があると思う。
今にして思えば、人狼が某吸血鬼狩人のガルム近いかな、ああいう感じの後ろ足を無理やり二足歩行にしたような。
そういうのが廊下部分をうろうろしてた。
次にいたのは、『旅館』と『母屋』にいた。
その場にいても時代的にはおかしくない古めかしい服装。
黒一色だけどね。
例えば、背広にしても、今みたいなシュッとした感じじゃなくて、トイトンプソンで弾をばらまいてるおじさんが着てそうなそういうシルエット。
うん、1920年代、大正とかそのあたりの3ピ-スとかだったり胸元がゆったりしてたりするような。
もしくはワンピ-スにしても、モガっぽい、レトロな感じ。
黒一色でも微妙な色の違いと色付きにたまに揺らぐので分かったけど。
でも、割と明治大正昭和の戦前でも、本当に服装に微妙な差があった。
うん、バラバラ、完全な着物こそいなかったけど、某鬼殺しの刃ぐらいの和洋折衷はそれなりいた。
で、それらがヤバいとは無意識にわかってた。
でも、何回目だったかな、その記憶が奪われてた期間の初めからその後と同じぐらいなら、月1~2回で
15、回とかそれぐらいの時だったかな。
その黒い獣人もどき、足以外は人間のシルエットだったけど、まぁ、便宜的に『モドキ』と呼称するけど。
それが、普通の色形の人間を物理的に食ってた。
って言っても夢の世界だし、その肉体が魂なんだろうけど。
そん時のは運動部のレギュラ-やってそうな五分刈りって言うのかな、海鮮ファミリ-のカツオくんみたいなヘアスタイルの肉付きのいいの。
高校生ぐらい、中学生ではないぐらい。
うん、それからの二十数年間。何度もそういうモドキに食われる人間は見た。
赤くはなってたけど液体の意味の血がなかったからそういう意味で現実感が薄い。
私が見てるだけでも、20年で100人弱、老若男女問わず。
ただ、本当に食われているかは約10年後、二十歳のころ、大学のサ-クルで判明した。
まぁ、アクタの件でもわかるけど心霊ネタが好きなとこでね。
そこの先輩の一人・赤木甲四郎の知り合い。
大学は卒業してた後の後輩。
学校の方には顔出してなかったけど、LINEのグル-プで面識があった子。っていう程度。
女の子ね、今時のボ-イっシュ系。
名前は、沙山真理亜とでもしておこうか、一度きりだし。
もちろん、仮名だけど。
文章傾向としては伝奇物が好きだし、クトゥルフ神話も好きな子。
グル-プチャットでの印象は、悪気無く何でも言ってしまうけど嫌われない子だったかな。
骨太だからか見た目は細めだけどその割にごつめ。
ちょっと髪は染めててて、ボブカット。
まぁ、かわいい子だったよ、赤木先輩とその子の別グルつくってそっちのチャットで相談でね。
後出しじゃんけんもいやだし、明言するけど、その子は死んでる。
相談を受けたのは、その次の休みを希望出す少し前だったから、赤木先輩に旅費を借りて、2週間後に実際に会った。
見る影もないぐらいに憔悴しててね。
ろくに手入れもしないせいぜい、ふろ上がりの化粧水と保湿クリ-ム程度の私なんかよりガサガサだけど脂の浮いた肌と髪。
(余談だが私はアレルギ-とかで化粧は基本出来ないし、シャンプ-も選べない。)
何よりも、オタクで何かあったら睡眠よりも趣味の柵井先輩並みにくっきりとしたクマ。
化粧で隠そうとしてるけど、ね。
グル-プの時の印象として健康的にダイエットしてそうとかそういうタイプだった。
でも、ろくに眠れてないらしい。
当時駅前にあった半個室タイプの居酒屋。
開店直後でそれなりに静かだったし、そこで話を聞いた。
まぁ、大雑把に言うなら、おそらく、同じ迷い家に迷い込んでるらしい。
私と違って警戒して、モドキが少ない離れの方には行かなかったらしいけど。
旅館と母屋を回っていたとのこと。
初めて入ったのは5年ほど前。
で、伝奇物が好きだからね、そのせいもあって迷い家だと気付いた。
海外のより、某鈍器な奴とか国内の方が好きなせいもあったけど。
ざっくりと言うなら、「豪華な屋敷。寸前まで誰かがいた形跡はあるのに誰もいない。何か物を貰えれば
還れる」そういう異空間系の怪異だ。
幸運とかは、副次的なもんだよね。
ただ、あの屋敷は黒いモドキのせいで危ない。
で、元々、そういうことに興味があってクリア条件、「何かを貰って出ていく」をしないでいた。
うん、玄関、出入り口が『母屋』のデカい玄関以外ないんだ。
旅館の方も離れの方も玄関はあってもそこから出られないし、旅館と離れの中庭、(正確には離れと母屋の間の庭には出れても建物のライン以上は出られない。
勝手口のようなところも背景としかなくて物理的に開かない外に出ることはない。
それがわからなくても、初めて出現した場所がその玄関だ、セオリ―に倣うなら、入った場所から出ていくのが、この手の話のセオリ―だ。
私の場合、その時点で10数年。
月1~2回が2週間に1~2回程度には短くなってるけど、モドキに目の前で食われた人達と接触はできた。
「ねぇ、今、何日に一回?」
「夜に、ね、寝る度にあの場所に行ってる。
ここ1か月は 日中にウトウトする以外は寝たら。」
「なんでクリアしないの?
遠野物語とか貴方の読んでる話、現実と夢の違いはあってもあれが『迷い家』だってわかってるなら、何か貰って玄関から出るのが条件。」
「……」
「大きなあれを祓うことはできないし、それでも顔を見たことある来訪者が消えたのクリアかモドキに殺されてぐらいだ。」
「…………………………………」
真理亜ちゃんは見ちゃったんだろうね。
食われるところ、助けようとしてってのもあるかもしれないけど。
でも、何度かそういう怪異の相談をサ-クルチャットでも受けてアドバイスで言ったけど、怪異体験に置いて生き延びたいのならそういうのはやめといたほうがいい。ってね。
必要があれば個チャもしたし、そうでなくても在学期間が被ってるのは埃被って蜘蛛の巣はってようが個人で登録はしてる。
何もなければ正月の挨拶ぐらいしか動かないけどね。
私でも、友人以外を助けようと思えば、あこはかなり危ない。
絶対に私は寿命以外で死ぬわけにはいかないから。
でなくても、蹴落とせとか囮にしろとは言わないけど、自分以外の命を助けるなら優先順位はつけなきゃいけない。
もう一度、言ったけどさ。
真理亜ちゃんは怒って店出て行った。
「先輩ってみんなを助けてきたのに今回は見捨てるなんて、そんなに冷たい人とは思いませんでした。」
って、怒ってね。
「赤木先輩、あの子の家、アパ-トに出入りできる子知ってます?」
「そりゃな。」
「……多分、夏休みを超えられないでしょ。」
「ダメか?」
「ダメですね、自分の犠牲だけで終わらせられるならいいでしょうけど、サ-クルにも波及します。
だから、選びます、そっちは準備だけはしとくんで。」
「そうか。
忠告はしたしな。」
「嫁さん、子どもできたんでしょ、父なし子にさせるつもりならどうぞ。
アクタの件どうにかなったけど、他の子を巻き込む選択肢はねぇ。」
その後、おごりってこともあって、それなりに容赦なく食べた。
まぁ、っても海鮮がおいしいけどリ-ズナブルなとこだったけどね。
三人分の飲み物とすぐにできるつまみである程度全力で食べても、夏だったし牡蠣はなかったのもあって、一万行くか行かないかぐらい。
「暑くなるねぇ。」
それから、数週間後、真理亜ちゃんの訃報が届いた。
合わせて、手製の身代わり護符を100個弱仕上げて赤木先輩に送った。
うん、あの子も優しくても見限れればよかったのにね。
何回か、サ-クルメンバ―と鉢合わせたけどね、うんそれはどうにかした。
少なくとも、お人よしに見えてそういうことにはまぁ、厳しいもの私は。
都合上、一万字超え確定なので、流石に読むほうもつらたんな展開って言うのもあり切りました。
2は、黒幕と種明かし?と終わりまで、ですかね。




