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File №009 言えない

前回の投稿から早1か月。読者の方に楽しみにしていただけるよう全力を!今後ともよろしくお願いいたします。

全くもって進まない主人公とヒロインの関係に進展はあるのか!?

完璧にフラグですね。

 ホームルームが終わり、1時間目の授業の準備が完了している。僕、夕涼慎は親友……もとい、戦友に朝っぱらからなぜか問い詰められていた。

 「お前、昨日何してた?」

 「さあ?何してたと思う?」

 笑顔で聞いてくる藤森に笑顔で答える。

 「ネタは上がってんだぞ~」

 「寿司の話か?すまんが僕は寿司あんまし好きじゃないんで値段のこととかはさっぱり」

 あくまでしらを切る。というか、なんで問い詰められなければならないのか。昨日のことならちゃんと説明したはずなのだが。

 「昨日、お前が夜霧と2人きりで校内を歩いているってのを見たやつがいるんだ」

―――あー成程、そういうことか。

 そりゃそうだ。友達に内緒で、年頃の男女が2人きりで歩いていたりしたらなにかあるのでは、と思われても当然だろう。だが、僕が夜霧と歩いていたのは放課後とはいえ学校内、しかも委員会があった日だ。同じクラスの男女が一緒にいてもおかしくないと思うのだが。そこまでは頭が回らなかったのか、ただ面白半分なのか。コイツのことだから面白がっているだけに決まっているか。

 「あーあれはな、ぶk………」

―――『このことは他の生徒には内緒にしておいて欲しい』

 「あれは、なんなんだ?」

 「……委員会のことで話があったんだよ」

危なかった。つい本当のことを言うところだった。もう少しで約束を破るところだった。まぁ破ったところで何もないんだが。昨日帰り際に先生と夜霧に頼まれごとをされた。この部活のことは、他の生徒には言わないで欲しいと。なぜか、と僕が問うと、先生は堂々とこう言った。

 「これ以上生徒がいると私が面倒を見きれない」

 なんという教師なのだろう。3年生が一番多くて4人、2年生が3人。面倒が見きれないという理由で今年の新入生は、部活存続の最低ラインである2人。合わせて9人。先輩が卒業する来年からは新入部員募集のために忙しくなるんだろうなぁ、と鬼に笑われそうな来年のことを僕は考えていた。

 「ほんとに何もないんだな?」

 「ああ、無い……残念そうな顔をするな」

 「あ、そうだ。ちょっと夜霧さん」

 「はい?」

 藤森は僕の席の2つ後ろの席で予習なのか復習なのか勉強をしている(僕は何とはなしに、夜霧って真面目だなぁと思っていた)の夜霧に呼びかけた。

 悪友はこっちを向いてニタッとわらう。別にやましいことなど無いので動揺することもない。

 「昨日こコイツ、夕涼と何かあった?」

 「ヘ………?」

 「いやぁちょっと、ね」

 僕は夜霧に目配せをした。直ぐに彼女は察したみたいだった。

 「委員会のことで話があっただけだけど………」

―――ナイス!やっぱ真面目だな、悪乗りもしないし。

 僕は前の席の男子を横目で睨んだ。 

 「えーマジかー」

 「マジ、マジ。おおマジ(なんだそれ)何もなかったって」

 話がまとまり、ほっとしたのもつかの間。


 「ほんと、何にもなかったよね」

 

 低めのトーンで、淡々と。それは棒読みと呼ばれるものだった。

 「「えっ?」」

 意味ありげな言い方に僕はもちろん、茶化していた藤森でさえ凍る。

 「えっ…と………」

 相手を威圧するような眼だ。睨まれているわけではない。ただ、微笑みをかけられている。それなのに背筋が凍りそうになる。

―――……ばれる様なことをするなってこと?そんなに極秘なことじゃないと思うんだけどな

 「君の方がよっぽど……」

 「え?」

 「ごほ、ごほ……あ、ごめんちょっと喉が…ごほっ」

 思考がそのまま言葉で紡がれつつあったのを咳で誤魔化す。

 「何にもないのが1番平和でいいと思うけど」

 「そうだね」

 場の空気を冷やして、何事もなかったかのようにノートに目線を戻す夜霧。僕は椅子に座りなおして前を向いた。もうすぐチャイムが鳴る。

 「お前……ほんとに何もなかったんだろうな?」

 「あぁ、なんにもなかった………はず」

 なぜ最後の一言だけ口調が違っていたのだろう、と冷めた頭で割と真剣に考えていた。


*****


 あれから数日、何の変哲もない日々を消化するように毎日を過ごしていた。部活にも慣れ、夜霧のあまりに自然な立ち振る舞いに調査のことを忘れかけていた。

 「どう見たって普通の女子高生だよなぁ」

 「どうした、悩める子羊か?」

 エセ牧師な藤森が僕の独り言を嗅ぎ付ける。その後ろには指倉もいる。

 「気色悪い。てか、お前らも確捜査に加わってたろ」

 「それのことは、ね」

 指倉は他の生徒を一瞥する。夜霧の捜索については『一応』特捜Bの間だけの極秘になっている。その割には僕も結構踏み込んだことをしているが。先生と夜霧に口止めはされたが、捜査にかかわることなので、そろそろ2人にも話しておいた方がいいだろう。幸い今日は部活は休みだ。

 「あのさちょっt――」

 「あ、そうそう夕涼最近付き合い悪いよな~?」

 僕の言葉を遮り、何か含んだ言い方をする藤森。

 「友達付き合いが悪いのは元からだ」

 「定例会議とかにも2分前とかギリギリで来ることが多くなったよな。どうした優等生?」

 部活でギリギリまでプラモデルを作って、集中しすぎで時間を忘れてしまっているだけだ。

 「誰が優等生だ、指倉」

 「なんだ、分かってるのか。それならそれでいい」

 「「お前は黙れ!!」」


 *****


 学校の帰り道、最近この3人で帰ることが少なくなっている気がする。理由は単純、僕が模型部という部活動に半ば強制的に入ったからだ。まだ仮入部の時期で正式な入部ではないが、そのままあの部活に入ることになるだろう。

 その部活には、夜霧麗華という女子生徒がいる。彼女は、僕ら特捜Bが捜索している銀髪淡褐色の瞳と瓜二つなのだ。僕は上に報告したほうがいいと言ったのだが、何故か藤森と指倉の2人は断固拒否。もっと時間をかけて様子を見た方が良いと言い出した。普通少しでも分かった事があれば報告するのが普通だろう。何故そんなにも捜査を遅らせようとしているのかは分からない。だが、明日の会議の時には2人を無視して報告をするつもりだ。

 私事ではありますがこの前知人に口頭で、主人公とヒロインの関係に進展を!と言われました。ヒロインは主人公にとってまだ容疑者みたいなもんですから。そろそろ進展はあると思います。


 執筆ペースが極端に落ちているのは紛れもない事実………どうすればこの状況を打開できるのか模索中です。長期休暇ってやること一杯あるんですよね、色々と。

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