File №015 同属
いつからこの小説を切ったと錯覚していた?
えぇ、ただ忘れていただけです。
「光沢紙にコピーしたの」
「いつの間に……」
「というか、ね。こっちがオリジナルの写真。ちょっと日本語おかしかったわね」
「あー、なるほど」
つまり、そういうこと。仕掛けたのは夜霧であって、仕掛けられたのは僕の方。
だが、謎が1つ残っている。
「ちょっと、待ってください。整理していいですか」
「どうぞー」
僕が犯罪者にしたて挙げられたのは多分、特Bの編入試験的な何かだろう。
では逆に、なぜ僕が仕掛けられなければならなかったのか。
「あ、今考えてること当ててあげようか」
「遠慮しときます」
「『なぜ僕が試されなきゃいけないのか』でしょ」
図星、というよりも。話の流れ的にそれ以外はありえない。よくわかりましたね、なんてことは口にせず、僕は問う。
「どうしてですか」
「どうしてでしょう」
質問に質問で返すのはやめていただきたい。いつもの自分を見ているようで頭が痛い。同属嫌悪、というやつだろうか。とてもイライラする、自分もこんなだったとは……今度周りの人に謝って回ろう。「いつもイライラさせてすみませんでした」かな?
そんなことはさておいて。
「わからないです」
そんな僕を嘲笑って、見下すように。
2秒ほど貯めてから、夜霧は言い放った。
「ふっ、そんなことだから君はいつまでも窓際なのだよ」
「…………」
勝ち誇られた。
問題起こして田舎に飛ばされた人に勝ち誇られてしまった。
「飛ばされた人がいう言葉では無いですね……」
「えぇ、そうね。私もそう思っているわ」
あぁもう嫌だこの人の相手。早く帰りたい。
あ、信号変わった。
白と黒のストライプを踏みつけることで苛立ちを発散させながら、僕は言った。
「僕が言えたことじゃないですけど――
「とも
「友達少ないわよ、私。あぁ、私『達』ね」
食い気味だった。そして、言い直された。僕も一緒くたにされていた、「達」て、おい。
「仲よさげな人はいるけど、全部表面上だもの。仕事や学校の付き合い、そうでしょ?」
夜霧は、振り返らない。
「一人のほうが気が楽でいいもの、そっちに慣れちゃったから、そう感じるのかもだけれど」
こちらを見ずに訴えている。それは同情や哀れみを誘ってるのではなく、同意。
同意を求めている。しかしこの場合の夜霧は、求めているというよりも、只の脅迫だが。
仲間を見つけた時の幸福感。それは恋愛などではなく、単なる仲間意識。同じような考えを持つ者が集まるのは自然なことだ。
「類を以って集まる、ですかね」
「何それ、類は友を呼ぶの親戚?」
「あながち間違いでは無いですね」
横断歩道を渡りきった頃、彼女は言った。
「『似ている』、と『一緒』は違うのよ」
「はい?」
僕に向きなおして、言い放つ。
「一緒にはしないでね」
「そっくりそのままお返ししますね」
間髪いれずにブーメラン。
僕らは少し、意地悪に笑う。
ようやく落ち着いたと思ったら、またもや面倒なことが山積みに。
そう、そんななかで全話読み直しつつ打ったのがこの話です。プロット探して設定思い出して……それより何より字数が少ない。




