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第13章

 【家へ帰って】


 ある夜、警官がパトロールしていると、ひとりの男が橋の上から、まさに身投みなげをしようとしているではないか。


 警官は走り寄って、彼を欄干らんかんから引きずりおろした。


 「待て、ちょっと考えてみてくれ。」


 警官は、その男に言いきかせた。


 「お前がここから跳び込んだら、俺もあとから跳び込まなきゃならん。

 今晩はひどく寒いから、救助が来る前に、俺はこごえ死んでしまうだろう。おまけに俺は、泳ぎがうまくない。溺れてしまうかもしれん。

 俺には、女房と五人のガキがいる。

 そちらの事情もいろいろあろうが・・・なあ、たのむから、ここんところは、家へ帰って、首をくくるということにしてくれないか。」


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 【名誉】


 「バーリントンほら吹きクラブ」は、最も有名な、ほら吹き団体のひとつである。


 毎年一回、「ほら吹き世界選手権大会」を催し、優勝した「ほら」は、全国の新聞に掲載けいさいされる。


 米国人だけでなく、世界中の国々にメンバーを持っている。


 ただ、どういうわけか、ロシアにだけはひとりもメンバーがいない。


 あるとき、モスクワの新聞「プラウダ」の記者が、この理由を説明した。


 (ちなみに「プラウダ」とは、ロシア語で『真実』という意味である。)


 「理由は簡単だね。ロシアには、うそつきがひとりもいないんだ。」


 バーリントン・クラブは、この記者に、名誉会員証めいよかいいんしょうを贈ったのである。

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