第01部
【2023年09月19日16時49分21秒】
~蒲生黒矛視点~
さて、何で俺が今回語り手を勤める事になったかと言うとォ・・・・・あれェ?何でなんだァ?え?ただの繋ぎだァ?
・・・・・まぁ、そんな事はどうでも良い。取り合えずだ、俺は今某公園内にいる。その目的はただ1つ。1年前にこの俺とリンの前に現れた、上垣外とか言う白衣の男と、自称予知能力者の照沼とか言う女を探しにわざわざこんな所まで来たって訳だァ。
『何でそんな面倒臭い事を?』って?まぁ、この俺としてもつい数ヶ月前まではこんな事は考えも付かなかった訳だが、退院直前になった時にふと1年前の事を思い出してなァ。
それで、暇潰しにアイツ等2人の事を調べていたら、色々と面白い事が分かったって訳だァ。
『でも、ご主人サマ。調べ物をするのは良いんですけど、リハビリをちゃんとメニュー通りにしなかったから、こんなに入院生活が長引いたんですヨ?』
「マグネ。オマエは黙ってろォ」
俺が数年前に作った携帯端末型人工知能のマグネがそんな事を言って来る。
あぁ、補足しておくと今の俺達の状態は俺が右手でその端末を持って、その画面に表示されるマグネのイメージイラストと話しているって形だァ。
まぁ、端から見たら俺はただの『変な人』だとは思うが、元々俺は『変な人』だからなァ。そんな事は特に気にする理由も無い。
チッ。それにしてもマグネの奴、入院中はリンが近くにいたからほとんどメンテナンスも出来ていなかったのに、何でまだ動けてんだよォ。
マグネは、元々そんな専門知識を持ち合わせていない俺が作った未完成の人工知能だァ。だから、1,2ヶ月に1回はメンテナンスをしないとバグっちまうはずなんだがなァ。
・・・・・まさかコイツ、自分でプログラムを再構成しやがったなァ。だから、俺に対して説教なんてして来やがったのかァ。全く、良い迷惑だァ。また今度、元の状態に戻してやる。
『ドウモ。本編では元々出演する予定が無かったのに、作者の「あ!こんなキャラいたら面白くね?(笑)」と言う一時の思い付きで出演させられて、しかも、最終的には忘れ去られて台詞が全く無くなった人工知能のマグネでス。でも、今回はそれなりに台詞がありそうなので別に不満などではありませン』
「・・・・・何言ってるんだァ?オマエは」
『いえ、何でもありませン』
何か、マグネが変な事を口走っていたァ。言葉通り、変な電波を受信したってかァ?
やはり、リンが近くにいても俺が定期的にメンテナンスをしておくべきだったかァ。ウイルスとかに感染してたら大分面倒な事になるしなァ。最近のウイルスは駆除に手間が掛かるから困る。
『それはそうと、ご主人サマ』
「何だァ?」
ウイルス感染の疑惑があるマグネがいつも通りの調子で話し掛けて来る。
『本当にアイツ等に会いに行くんですカ?』
「まぁなァ」
今マグネが言った『アイツ等』とは、おそらく俺がさっき言った謎の2人組の上垣外と照沼の事だろう。
それに、『本当に行くのか』なんて今更言われても逆に俺が困る。こんな普段は来ない様な場所の、良く分からんネーミングの公園に来ている訳だからなァ。グラビア公園だったっけかァ?小さな子供にはかなり毒なネーミングだよなァ。
『ご主人サマ。グラヴィティ公園でハ?』
「あ?ああ、そうだったかもなァ」
俺の心を読み取って、マグネが訂正して来る。人の心を読み取る機能なんて付けた覚えはないのだがなァ。
俺は固有名詞を覚えるのが下手だァ。と言うか、そもそも物覚えが良い方ではない(むしろ悪い)。人の名前なんて特にそうだァ。
それなのに、何で俺はアイツ等2人の名前は1年間も覚えていたのかは分からない。だが、俺には『上垣外』と言う名前に少し心当たりがあったァ。
まぁ、俺はその事も含めてアイツ等と話をしたいんだがなァ。
それに、珠洲とも会ってみたい所だしなァ。11年前ぶりだっけなァ。あいつは覚えてはいないと思うが、せっかくだから久し振りに顔くらいは見て戻りたいんだよなァ。多分、上垣外は俺と珠洲の関係を知らないと思うがなァ。
『それで、ご主人サマ』
「どうしたァ?」
『宛はあるんですカ?』
「無いなァ」
『無いんですカ・・・・・』
と言うか、あったら真っ直ぐにそこへ行くだろォ。無いからこうして適当に公園の中を探しているんじゃねぇかァ。
「そう言やマグネよォ」
『何でしょうカ?』
「適当にネット繋いで地図検索してくれやァ」
マグネは普通の携帯端末としての機能が備わっている。だから、インターネットで何かを検索するくらいは簡単に出来るはずだァ。良く考えてみれば、最初からこうすれば良かったのかもしれないなァ。
『メンテナンス不良の為、現在インターネットを使用するのはかなり危険でス』
「・・・・・・・」
やはり、近くにリンがいても構う事無くメンテナンスくらいしておくべきだったなァ。マグネの性格がエラーを起こしているっぽいしなァ。
チッ。リンの奴。何て事しやがるんだよ、全く。
1年前は確かに俺が悪かったァ。正確には俺の所属する科学結社が悪かったァ。流石に、資料1つが消えたくらいで人1人を殺そうとするのは不味かったなァ。
何も追求されていないので言ってはいなかったが、一応俺は殺人未遂犯なんだよなァ。もちろん、リンもだがァ。戦った場所が場所だったから、警察も特に動いてはいないがなァ。
だが、それとこれとは別問題だァ。
資料が見つかった後、持って帰ろうとしたらいきなり土嚢をぶつけられるし、気付いたら埋まっているし、病院では何故かリンも同じ大病室だったしなァ。リン本人は全然怪我してなさそうだったのにィ。
しかもアイツ、毎日毎日俺が起きている時も寝ている時もお構いなしに遊びに来やがってェ。何歳だよ全く。いくら幼馴染みとは言え、流石に年頃の男女はその辺の一線を引いておかないと不味いからなァ。ったく、こちとら怪我人だってのになァ。
「仕方ねェ。じゃあ、適当に通行人の方にでも道聞くかァ」
『そうしましょウ(あレ?台詞があるって話だったのに、相槌ばかりの様な気ガ・・・・・)』
「何か言ったかァ?」
『いエ。別に何モ』
「そうかァ?」
やはり、マグネの様子が変だなァ。まぁ、良いかァ。
それはそうと、通行人に聞くとは言ったものの、その通行人がほとんどいない訳だがァ。どうするかなァ。出直すかァ?せめて、交番の場所くらい分かれば何とかなりそうなものだがァ。
『ア!』
「何だよォ。急に大声だしやがって」
突然、マグネがそんな大声を出した。
『あんな所から走って来る女の子ガ!』
「あ?あぁ、本当だァ」
マグネの言う通り、確かに遠くの方から走って来る女がいる。しかも、背中に何やら楽器ケースだろうか、そんな感じの何かを背負っている。
ここが見知らぬ土地だからその女の事なんて見た事はない訳だがァ、ツインテール少女とはなァ。現実世界では始めてみたぞォ。
何か急いでるみたいだが、少しだけなら迷惑は掛けないだろう。俺だって、そのくらいは気を使える。
そして、俺はその走って来るツインテールの女を呼び止め、道を聞く。
「あぁ、そこの人ォ。ちょっと良いかァ?」
「は、はい!私ですか・・・・・?」
・・・・・おどおどしながら話すなよォ。何か悲しくなるだろォ。
しかし、呼び止めたは良いものの、そもそも俺はアイツ等の居場所を知らないんだよなァ。まぁ、良いかァ。もしアイツ等の知り合いだったら話が早いし、直接聞いてみるかァ。
「上垣外って奴を知ってるかァ?あと、照沼ってのもォ」
「上垣外さんですか・・・・・?」
そんなに話が上手く進む訳ないかァ。仕方ねぇ。交番の場所でも聞いて、交番で家を聞きに行くかァ。リンに連絡を取れるのならそれで充分だが、さっき2,3回掛けても一向に繋がる気配がない。地道に探して行くしかなさそうかァ・・・・・。
すると、そのツインテール少女は何かを思い出したかの様に俺に話し掛けて来る。
「・・・・・照沼さんと言うのは知りませんが、上垣外先輩なら知ってますよ・・・・・?」
「あ?そうなのかァ?」
「(ビクッ)」
何だァ。知り合いだったのかよォ。なら話しは早い。アイツの家かアイツの通っている学校への道を教えて貰うとしよォ。
「そいつの家か通っている学校知ってるかァ?」
「え?い、家は分かりませんけど、学校でしたら私と同じです」
いや、それは上垣外の事を『先輩』と読んでいる時点で何となく感付いているから、肝心の場所を教えてくれよォ。
だが、俺は決して短気な人間ではない。しかも、俺は今道を教えて貰っている側だァ。急に怒鳴ったりなんてしない。ゆっくりと、1つずつ情報を集めて行く。
「その学校ってのはァ?」
「原子大学付属高校です。えーっと、場所はこの公園をここから真っ直ぐ進んで行くと校舎が見えて来ると思うので、その手前で曲がって頂くと着くはずです」
「そぉかい。悪いな、呼び止めてェ」
随分親切な奴だなァ。まだ俺は場所までは聞いていないってのにィ。
「いえ。もう大丈夫ですか?」
「あ?あぁ。急いでるんじゃなかったのかァ?オマエ」
「あ!そうでした!早くしないと野依先輩に怒られる!それでは!」
「お、おォ」
そうして、そのツインテール少女は走り去って行った。これから俺が向かおうとしている方向へと。
もしかして、あのツインテール少女も今からそのナントカ学校に行くつもりだったのかァ?それに、あの楽器ケース(らしき物)。部活か何かだろうなァ。まぁ、俺は部活には入ってないし、そもそも学校になんてほとんど行っていないからなァ。
『(また台詞が無かっタ。また台詞が無かっタ。また台詞が無かっタ。また台詞が無かっタ。また台詞が無かっタ・・・・)』
何か、またマグネがぶつぶつ言っているが、これもおそらくバグの一種だろう。暫くはそっとしておくのが得策だろォ。
『良いんです、私なんテ。どうせろくな台詞も与えられないまま忘れられて行くんでス・・・・・』
そんなマグネの独り言はさておき、俺は暫くさっきのツインテール少女の言った通りに公園内を真っ直ぐに進む。
どうやら俺は公園の真ん中くらいから入り込み、そして、ついさっきまで例の学校とは逆の方向に向かって歩いてしまっていたらしい。
それにしても、ここは広い公園だよなァ。公園と言うよりは緑道と言った方が適切なのか分からないが、広い。と言うかむしろ、大量の木と時々噴水やら時計塔やらがあるただの歩道だァ。
ずっと歩いていても景色がほとんど変わらない為、『歩いている』と言う感覚がなくなってしまいそうにもなる。そのくらい、この公園の中は公園の外と切り離された空間だったァ。
・・・・・あぁ?あれはァ・・・・・。
すると、俺は目的地に到着する前にアイツを見つけたァ。しかも、また白衣かよ。学生じゃないのかァ?どうでも良いがァ。
そして、俺はそいつに声を掛ける。
「よォ。久し振りだなァ。元気にしてたかァ?」




