冬のほたるとおしゃべりキツネのカナ(カナの告白)
私がおしゃべりなのは、もちろん知っているわよね?
……何よその顔は。私にだってそのくらいの自覚はあるわよ。
きっと誰もが、そんなことを自分で気にしていないと思っているんでしょうけど、私はそのことをとても気にしてるの。
でもこれは性格だから直そうと思って直るものでもないし、それで誰かに迷惑をかけているわけじゃないから、私は自分から積極的に変わろうとはしなかったわ。
それに、もし私がおしゃべりじゃなかったなら、それはもう私が私ではなくなっちゃうってことでしょ。
なんていうの? アイ、アイディ……。そうそれよ、アイデンティティ!
とにかく私は今まで自分がおしゃべりなことを気にしながらも、それを受け入れて生きてきたわ。
噂話や誰も知らないような秘密の話をして、みんなが驚いた顔をして聞いてくれるのが嬉しくてたまらなかったし、私自身そういった話を聞いたり調べたりするのが大好きだった。
でもあんなことがあって、私、思ったの。ひょっとして私のおしゃべりのせいで、誰かをいやな気持ちにさせたり、深く傷つけたりしていることがあるんじゃないかって。
私にはアリスちゃんっていう小さな子供のときからの親友がいたの。毛に少し灰色の混じった、目の大きなかわいらしいキツネよ。
アリスちゃんには好きな男の子がいて、あるとき私にだけそっとその子の名前を教えてくれたわ。誰にも言わないっていう約束で。それはアリスちゃんの初恋だった。
でもサキにも分かるでしょう? 誰にも言わないでなんて言うものだから、私、誰かに言いたくて言いたくてたまらなかった……。
友達にアリスちゃんの好きな男の子の話をしたときには、アリスちゃんとの約束のことなんてすっかり忘れちゃっていたわ。
そのときの私の頭の中には、この彼女の重大な秘密を誰かに話してしまいたいっていう気持ちしかなかったのよ。約束を破ってやろうと思ったわけじゃないわ。本当に約束のことなんて、頭の片隅にさえも浮かんではこなかったの。
それから一週間して、私自身、そんな話をしたことなんてすっかり忘れていた頃ね。
アリスちゃんが私の元にやってきた。目を真っ赤に腫らして、私の知らない、彼女の友達のキツネを何匹も引き連れて。
アリスちゃんは何も言わなかった。ただ赤い目で私のことをじっと見ていたわ。まるで私のことを告発でもするように。
私からは、特に何も言い返さなかったわ。アリスちゃんがどうして私の元にやってきたのか、そのときには気づいていたけど、私、何も言わなかった。
そしたらアリスちゃんの友達の一匹が言うの、「どうして謝らないの?」って。
それから口火を切ったみたいに、アリスちゃんの友達がみんなして私のことを責めるのよ。ひどいと思わない? 全然事情も知らない子たちが寄ってたかって私のことを責めるのよ!
「あなたはぜんぜん他人の気持ちを考えてない」だとか、「アリスちゃんがどれほど傷ついたか分かってるの?」だとか、「あなたみんなから嫌われてるのよ」だとか、そういったことを。
そのときは私もカッとなっちゃって、よく覚えていないんだけど、とにかく負けないように彼女たちに言い返してやったわ。
それからしばらく激しい言い合いになったけど、どうしても多勢に無勢で、言い負かされるのが目に見えていた。だから、私は目に涙を浮かべながら、逃げるようにその場を去ったわ。
でもね、思い返してみると、アリスちゃんだけは最後まで何も言わなかった。
そのことを後から落ち着いて考えてみたんだけど、私、本当にアリスちゃんを傷つけちゃったんだって、そのときになってから初めて――




