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猫街とペルシャ猫のアーナ(10)
お母さんのことを思い出していた。
お母さんの小さな顔を、お母さんの香水の匂いを、お母さんの話す言葉の端々を、お母さんの作る甘いカレーの香りを、お母さんの編んでくれたセーターの暖かさを、繁華街に消えたお母さんの後ろ姿を。
「あなたに会うのがとても辛いことがあるの」いつかお母さんは言った。
「でも、いつもあなたに会いたいと思っている」いつかお母さんは言った。
「サキ、私のことを許してね」いつかお母さんは言った。
確かに私はお母さんに捨てられて、お母さんに対してひどいことを言ったり、考えたこともあった。
でも今、誰よりお母さんの声が聞きたかった。ただお母さんに会いたかった。お母さんのことを許すも許さないもない。私はお母さんが大好きだった。私はお母さんのことが大好きだったんだ。




