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マンドラゴラ

 マンドラゴラという植物がある。いや、実際にはモンスターと呼ぶべき存在だが、植物として扱われることが多い……という表現が適切か。


 このマンドラゴラは色々な薬の材料となることでも有名であり、その採取が冒険者に依頼されることが多い。

 冒険者に採取が依頼される主な理由は、その特殊な性質のせいだ。

 マンドラゴラは土から引き抜かれる時にすさまじい悲鳴をあげる。聞くと激しい痛みすら感じる音量の叫び声だ。

 しかもモンスターのはしくれだけあってそれだけにとどまらず、手足のような根っこで攻撃してきたり逃げたりと、一般人の手に負えるものではないのである。


 そこでいろいろな危険に対処できる冒険者がその採取を担うわけだ。もちろん採取にあたっては特殊な耳栓を装備したりと念入りな準備が必要だ。決して簡単なものではない。それこそが、マンドラゴラが高値で取引される理由のひとつでもあるわけだが……。


 しかし、最近そういった昔からのやり方に反対する者が増えてきた。

 なんと、マンドラゴラがかわいそうだと言うのである。

 やはり悲鳴をあげるという特徴が、そういった連中の庇護欲ひごよくをくすぐるのだろうか?

 マンドラゴラが悲鳴をあげるのは、要するに自分を憐れむように仕向ける生存戦略なのだ。賢い人間がそんなやり口にひっかかってはいけない。


 だから昵懇じっこんにしている特別な冒険者たちに別件として依頼し、そういった連中をマンドラゴラ採取に従事させることにした。もちろん耳栓なしでだ。

 マンドラゴラの叫び声を一度聞けば、きっと彼らもそんな考えを改めるであろう。たとえ連中がいかに愚かでも判別できるはずだ。マンドラゴラは邪悪なモンスターである、と。

 なお、マンドラゴラの悲鳴を至近距離で聞くと気が狂ってしまうと言われているが、何の問題があるというのか?


 今日も秘密の荘園にマンドラゴラの悲鳴がこだまする。

 私のふところは潤う。

 うむ。すばらしい。

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