屠殺ごっこ
ぼく、知ってる!
屠殺ごっこで誰かを殺しても、罪に問われない方法があるんだ。
だから気に入らないあいつを屠殺ごっこに誘って殺してやったんだ。ナイフでグッサリ、ぼくもスッキリ。
予想通り、ぼくは裁判にかけられた。でも馬鹿な大人たちをだますなんて簡単なことさ。子どものふりをすれば平気平気。
裁判長がぼくの前にやってきて、赤いりんごと金貨をそれぞれ左右の手につかんで見せてきたよ。
ぼく、知ってる!
ここでりんごを選べばいいのさ。そしたら分別が備わってない子どものしたことだからって、無罪になるんだよ!
だからぼくは笑いながら赤いりんごを取ってやったさ!
「りんごを取って子供に見せかける知恵があるから大人だ。吊るせ」
……え?
ま、待って待って! ぼく知らなかったんだ! こんなことになるなんて! だからお願いやめて反省してます助けて!!
……。
…………。
あ、あれ?
また裁判長が赤いりんごと金貨をつかんでぼくに見せてる……。
ひょっとして、時間が過去に戻ったのかな? ちゃんと反省したから神様が助けてくれたんだ! 良かった……もう失敗しないぞ。
さっきはりんごを取ったら死刑になっちゃった。ぼくが知ってるお話と違うからびっくりしたよ。
今の時代はきっと素直に金貨を選ぶことが正解なんだね。じゃあそうしよう!
さっきは笑いながら取ったのもまずかったのかもしれない。しおらしい態度で金貨を取ろうっと。
「金貨を取ったから大人だ。吊るせ」
……え?
ま、待って待って! 結局どっちを選んでも同じじゃないか! 何でわざわざ時間を戻したの!? またあんな苦しい思いをするのは嫌だ!!
……。
…………。
あ、あれ?
またまた裁判長が赤いりんごと金貨をつかんでぼくに見せてる……。
……え? …………え? ………………え?




